源氏姉妹

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103985099

作品紹介・あらすじ

千年経てば、時効ですよね? 光源氏のすべてを知る元カノたちが本音を暴露! セフレ関係をエンジョイした。セックスレスに悶えた。他の女の影に苦しんだ。肉欲を遮断して宗教に逃れた……源氏の君を通じて「姉妹」となった身分も性分も多彩な女たち。その赤裸々な「しちゃった」体験談が光源氏という男の真の姿を浮かび上がらせる。現代人が心底共感できる最強・最エロの「源氏物語」リミックス誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 素晴らしい!
    こんな切り口があったなんて。

    新・雨夜の品定めなんて朱雀院と夕霧が出演してますけど!
    その発想がたまらない。

  • 同じ女と寝た男達が「兄弟」なら、同じ男と寝た女達は「姉妹」ってことで。

    「母娘喰いはしない」と「出家に手を出さない」が光源氏の二大禁忌…と看破され、大いに感激。あと、巻末のシスターズの座談会、人数が多過ぎるからって分科会になってるのもまた笑える、赤裸々な光源氏の元カノ達。

    こうなったら『宇治十帖』も読みたいぞ(笑)

  • しすたあずってそういう意味ですか…はぁ。
    源氏物語は「あさきゆめみし」から入ったので、この本でも思い浮かべるしすたあずさん方のお顔は大和和紀さんのそれになってました。
    そして川原泉さんの漫画内で登場人物が源氏の君をけちょんけちょんなしていたってなど色々思い出しました。
    「源氏物語は、女達の様々な不幸の形を提示する物語ですが、一人の男の果てしない孤独を描く物語でもあったのだと、私は思います。」

  • 「シスターズ」の独白というスタイルは面白い。しかも、本書を読むことで『源氏物語』を読んでいなくても内容がつかめる親切設計。冒頭の「年表」は分かりやすい。「この視点」でまとめられた年表は初めて見た。年表を見ながら本文を読むと、シスターズたちそれぞれの幸せは源氏の関わり合いの長さに関係がないことが分かる(当たり前か)。源氏は年齢のせいもあるのだろうけれど、表にしてみると、「桐壺」と「帚木」の間の空白期間に結構頑張ってたのが分かる。本文中に何度か出てくる「親子ナントカ」という表現によってギリギリ下品にならないラインを保っている。

  • 源氏物語のパロディというか新解釈とまではいかないけれど女心にフォーカスを当てた仕掛け。
    そうだよなぁ、と頷ける語りも多数(笑)
    朧月夜みたいに奔放に生きたいものデス。
    藤壺みたいに一途に思われるのもいいけど、秘密保持は辛いし。
    紫の上みたいにずっと一緒にいて甘やかされるのに、常に違う女の影があって自分は束縛され続けるとかは嫌だし。
    明石の上みたいに自分を卑下しないといけない付き合いも悲しいし。
    どちらかと言えば六条御息所みたいに粘着質な部分が多いからやや共感持てるし。
    葵上みたいに素直になれない気持ちも分からんでもない。
    やっぱり1番朧月夜が美味しいわ。

  • めっぽうおもしろい。源氏物語が好きすぎて訳文・原文を読みふけり、源氏物語についてなら何時間でも語れる私ですが、サカジュンの手にかかるとこうなるのか〜とニヤニヤしながら楽しませてもらいました。源氏物語は不思議な文学で、どこまでもハーレクイン的などっぷりロマンス小説として浸りきって読もうと思えば読めるし、男性が読めば男たちの政変物語としても読めます。サカジュンはそこにえがかれているようで微妙に隠微されている大胆な「性」という面を切り取って見せてくれました。若干お戯れが過ぎる面もありますが、そこはご愛嬌。エロ楽しい読み物で、何気に力作であります。大人の源氏物語ファン(穏健派)におススメ。

  • 面白かった。源氏と関わった女君の心情を著者が想像、色付けし独白させるという面白い趣向。今まで六条御息所の嫉妬深さに共感できなかったけど、酒井さんの掘り下げた状況描写に「それは腹立つよね」と共感できた。

  • 一度も最後まで読んだ事がない物語。
    この調子で全訳してもらいたい、そうしたら読める気がする。

  • 同じ男性とつきあった女性同士=シスターズとして、源氏物語各章を女性側からの一人称独白で語る。新・雨の夜の品定めに加え、六条会・ブス会・ママ会・エロ会などのシスターズ座談会も。

    状況が目に見えるようにわかりやすくて、なるほど、実はそんな話だったのねって理解できました。

  • 私は落ちこぼれなので、
    酒井順子さんの本を読んで、
    「高尚な源氏物語の世界」を学びたいと思いました。

    しかし、なに?!
    この本のエロさ。
    まず、いきなり「謹製 光源氏としちゃった♡年表」が登場。
    そして中に書かれていることも
    …ちょっとここには書けない…。
    源氏物語って、こんなにエロかったの?!

    もしかして高学歴の皆さんは
    中学高校時代にこういう本をマスターしていたのでしょうか。

    それで思い出したのが、「C大医学部レイプ事件」
    「W大スーパーフリー事件」
    「K大広告学研究会集団暴行事件」
    「T大生強制わいせつ事件」
    「T医大同窓生性的暴行事件」……
    偏差値が私の短大の倍以上ある彼らは、
    源氏物語をきちんと勉強して、勘違いしちゃったのではないでしょうか?

    「私は何をしても許される」
    「相手から喜ばれこそすれ、この私が拒否されるはずがない」

    まあ現代でも、朧月夜、夕顔、軒端荻、源典侍みたいな
    エロ女子もいるにはいるけど…。
    「こんなの授業で扱っていいのかしら」と思ってしまいました。

    そしたら最後のほうで、順子さん。
    「歴史的な傑作であることは確かですが、
    読もうと思えば相当エロく読むことができるこの物語。(略)
    そんな源氏物語のエロさをことさら強調してしまって申し訳ないことでした…
    と、私は心の中で紫式部に謝っていたのです。」
    でも、強調はしたけど、デタラメではないってことですよね。

    そんな順子さんがこんなことも。
    「もしも自分が平安時代に生きていて、
    光源氏が自分のところにしのんできたら、
    受け入れるか否か。…と考えた時に、
    私は『拒否はしないよねやっぱり』と思うのでした。」
    彼女は好奇心旺盛のエッセイストでガールズトーク大好きだからです。

    私はぜっったいにイヤ!!
    紫上のところでははらわたが煮えくり返りました。

    でもこの本は面白かったです♪
    酒井順子さんは文化度を下げない程度に大暴れされているのです。
    ただのエロ小説ではないんです。

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著者プロフィール

エッセイスト

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

酒井順子の作品

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