41歳からの哲学

著者 :
  • 新潮社
3.43
  • (31)
  • (38)
  • (87)
  • (13)
  • (6)
本棚登録 : 605
感想 : 57
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104001064

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 哲学者のエッセイはハズレがないというのがわたしの過去の経験。今回もそれは当てはまった。
    「死に方」または「死」をテーマに池田晶子さんが始めたコラムだそうだが、テーマは実は幅広い。取り止めのないことも多かったりする。
    そして、愛犬や家族の死についても論じていく。だが彼女自身がこの本の3年後に亡くなっている。ドラマだと思って読むこともできる不思議な感覚になる本でした。


    以下は唸ってしまった箇所。

    科学技術とは、わからないことをわかったと思わせる一種の詐術であ?。しかし、人生は、わからないから生きられるのである。P41

    人生の時間は有限なのである。全く当たり前のことなのだが、いつも人はそれを忘れる。忘れて他人事みたいに自分の人生を生きている。時間は前方へ流れるものと錯覚しているからである。人生は、生から死へと向かうもの。死は今ではない先のもの。しかしこれは間違いである。死は先にあるものではない。今ここにあるものだ。死によって生なのであれば、生としての今のここに、死はまさにあるではないか。
    こういう当たり前にして不思議な事実に気がつくと、時間は前方へ流れるのをやめる。存在しているのは今だけとわかる。流れない時間は永遠である。一瞬一瞬が永遠なのである。有限のはずの人生に、なぜか永遠が実現している。永遠の今は、完全に自分のものである。人生は自分のものである。この当たり前には、生きながら死ななけりゃ気づかない。P56

  • 受験の現国みたい..

  • 誰もが思うだろう、「14歳からの哲学」の41歳版だろうと。
    14歳・・・が大変良く出来ていたので、そりゃぁ期待するワ。
    ところが全く関連性がないどころか、なんてことはない、著者が40歳頃に週刊誌に連載したもののピックアップである。
    こういうネーミングの付け方は感心しない。(巧妙だけどネ)

    内容は、彼女得意の「死」についてが大半であるが、その時代に起きた時事問題に対する彼女の意見などが書かれている。
    そこは週刊誌向け、かなりくだけた書き方で難しくない。
    まあ、ブログのような書き方だ。

    読んでいて感じたのだけれど、彼女、養老孟司に似ていますね。
    どこが似ているかというと、親切さがない。
    最後まで丁寧に説明せず、途中で読者を突き放す。
    もちろんこれは、後は自分で考えてねという意味であり、不親切なのではないことは明らか。

    如何にも哲学者として正しい態度であります。
    それでいても彼女の文体は分かりやすい。
    そこが彼女の好かれる点であろう。
    かなり思い込みが強いところには目をつむってやろうという気になる。

    それにしてもナンだな、彼女はこれを書いている時点から3年後には亡くなるんだな。
    死について繰り返し語っていた彼女は、両親より先に、飼い始めた犬より先に死ぬなんて、微塵も考えていなかっただろうと思うと、本人の意図とは別に、死というものの本質を深く考えさせられてしまいますネ。

  • 他の本も読んでみよう

  • 観念の話。

  • 目の前いあるものが、本当にあるのかそれはわからない。。
    あるとおもっているだけかもしれない。

    。。すごく頭使った。

  • 「考えることに、手遅れはない」 ていう帯コピーに惹かれて購入。
    考えることの大切さを説きつつも、「そんなことは誰にも分からない」 などと開き直ってみたり、話に整合性が無くなるチョイ手前で論理をすり替えで読者を煙に巻く。
    正しいとも、間違っているとも言えない池田節、といったところか。

  • 私にとって池田晶子さんは、この人の考えてることを理解できる自分になりたいという憧れを持っている方です。
    著作を読んだのは2冊目だけど、やはり切れ味の良い言葉に引き込まれた。

    知るとわかるは違うし、分かるためには考えるしかない。考えることで自分の血肉にして、賢い人間になっていきたいと、私も思う。

  • 14歳・・をずっと前に読んで以来の2冊目。
    歳をとってから読むと改めて色々考えさせられる本だと思いました。時に納得したり、反論したくなったり・・
    「信じる」は、疑いの気持ちの裏返し。認めるのがよい
    (ウダウダ・・失礼)考えることを「楽しいこと」と認められちゃえばよいのだが・・やっぱ面倒。無心で没頭している瞬間が美しいと思ってしまう自分もいる。肩の力を抜いて「哲学が趣味です」と言える人になれたら面白そう。

  • 哲学者のエッセイ集。
    哲学者というと何かとっつきにくいというか
    いちいち言葉尻を捉えられて面倒くさいんじゃないか
    とか、そんな印象でしたが(すんません)
    まあ普通に面白い人なんやな、というのが解ってちょっとうれしい。結構フツーに怒ったり神社に行ったり愛犬を可愛がったりしてはります。そして解りやすい言葉で生きること死ぬことについて書かれてます。
    気楽に読めて面白い。

全57件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1960年東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。文筆家。専門用語による「哲学」ではなく、考えるとはどういうことかを日常の言葉で語る「哲学エッセイ」を確立して多くの読者を得る。とくに若い人々に、本質を考えることの切実さと面白さ、存在の謎としての生死の大切さを語り続けた。著書多数。2007年2月23日没。

「2022年 『言葉を生きる 考えるってどういうこと?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池田晶子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×