随想 春夏秋冬

著者 :
  • 新潮社
3.27
  • (2)
  • (3)
  • (8)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 36
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104004270

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いやぁ、予想以上に面白かったです。
    本書、宮城谷昌光氏の随想となっていますが、つまり昔の様々な出来事を思い出しながら執筆されたエッセイ集と言えるでしょう。

    著者が、色々な出版物で依頼されたときの作品も多数含められているようです。

    著者本人も、一人の作家の随想なんて読んでも、読者はオモシロイとは思わないんじゃないかというようなコトワリを書かれていましたが、どうしてどうして、下手なショートショートを読むよりも格段に面白かったです。

    著者については、歴史作家のイメージで定着していましたが、意外な側面を多数紹介されていました。

    クラッシック音楽や陶磁器、カメラにのめり込んだ経歴の持ち主かと思えば、英語の学習塾をされていたり、かと思えば競馬で生計をたてていた時代もあるとか(笑)。

    しかしいずれにしても、そののめり込みようが半端ではない。しかも、好奇心のアンテナの感度が素晴らしい。反応しないかと思う対象にも、反応してしまったりする。

    博学で、しかもボキャブラリーが恐ろしいほど豊か。そして文章が美しい。カッコイイ作家ですね。よりファン度が増しました。

  • ・石水院は高山寺内の建物で、国宝である。石水院のなかにはいり、明るい縁側にすわってみる優雅な赤松の多い山容は絶景である。京都では、どこかへゆくより、この風景を観るために石水院にきたほうがよい

  •  エッセイ集である。採録された物はこれまでこうして単行本としてまとめられなかったものばかりと思われるが、年代や初出の先がバラバラである。
     古くは91年の物から、最近では14年の物まで、元は小説新潮での連載が半ば以上を占めている。
     その意味で、前半の小説新潮連載分のまとまりに比べると、全体的にはやや雑多な感も否めないが、なんにせよ、ひさびさに宮城谷先生の随筆に触れさせていただいた。やはり上手い。描写の美しさに心惹かれるところなど、らしいなと。
     写実的な描写が写真趣味から来ているだろうことを指摘しているところなどは興味深く読ませていただいたし、見合いの話などの私的な話は初出であろう。

     ファン向けではあろうが、良い一冊だった。星としては四つ半と評価している。

著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮城谷昌光の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×