博士の愛した数式

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著者 : 小川洋子
  • 新潮社 (2003年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104013036

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博士の愛した数式の感想・レビュー・書評

  • 時にはくすっと笑わせられ、
    時には人の純粋さや温もり、愛情の深さにしみじみとさせられ、
    また時には、切なくて涙させられる物語。

    人を思いやり、純粋な気持ちで起こす行動は、
    なぜこんなに心を打つのだろう。
    博士のピュアな人柄と深い愛情に、胸が熱くなる。

    ルート君の観察眼の鋭さに思ったことは、
    子どもって、実はよーく物事を見ているのだということ。
    むしろ大人より、余計な価値観とか先入観なく、
    純粋に冷静に人を見ているかもしれない。

    どうせわからない、とか、まだ子どもだから、と見下さず、
    個性や意思のある一人の「人」として、
    誠意を持って接することが大切なのだろう。
    ルート君が母親に対して怒ったのは、
    博士を信頼しなかったことはもちろん、
    そんな理由もあるのではないかと思う。

  • よかったです。
    じんわりと胸打つ作品です。
    数学(数字?)にひらめく人って、
    何気なく見える数字の羅列に
    きちんと意味を見つけらるんだな、と
    うらやましくなりました。
    オイラーの定理は有名ですが、
    博士の提示する状況に「ここで!」と
    驚くと同時に「なるほど」でした。
    何度読み返しても胸が熱くなる作品です。

  • とても話題になった小説
    小川洋子の本ははじめて

    けっこう引き込まれて
    読んでしまいました

  • 良かった。
    数学の記述箇所はほとんど理解できないけれど。
    ラブストーリーってのはどうなのかな。
    まぁ、ラブはラブだろうけど。家族愛?
    読了感がとても良い。

  •  博士がルートを心配して家政婦の私を怒りつけるところがとても印象的でした。
     

  • 事故により脳の一部に損傷を受け、80分間しか記憶を保持できなくなった元数学者「博士」と、その家に家政婦として通う「私」、そしてその息子「ルート」の、心の交流のお話。

    小川洋子さんの文章は、すっと背筋を伸ばしてたたずむ、凛とした女性のような雰囲気。
    さわさわとした風が吹いて、水面に小さな波が続く湖のような静けさに満ちた作品。

    取り戻せないものが美しく切ないことを、改めて思い知らされる。
    出てきた数学の薀蓄は、ほとんど理解できなかったけれど…
    時間を忘れて読み耽り、読後。私のこころには、温かな感動がみちている。

  • 文体が美しくて丁寧なので、静けさが際立ってそわそわします。
    押し付けがましくないのに絶対に無視出来ないあたたかさが
    余韻としてふんわり残りました。
    上品です。

  • 再読。宮下奈都さんの「静かな雨」を読んだら読みたくなったので。ふわりとした優しさに溢れていた。博士がいろんな数字に意味を見出すところが好き。特に友愛数の220と284。「見てご覧、この素晴らしい一続きの数字の連なりを。君の誕生日と、僕の手首に刻まれた数字が、これほど見事なチェーンでつながり合っているなんて」 参考文献の「数の悪魔」は大好きで何回も読んだ本だから小川さんも読んでいて嬉しい。

  • 私のだいっきらいな数学と、全く興味のもてない野球を、これほど美しく語れる本にびっくり!!

    とても幸せな気持ちになれる本

    どんなに自分の事をしていても、子供の為にはいくらでも時間を作る博士の姿勢は見習いたいな・・・

    そこにいるだけで、ただ愛すべき存在、娘の事を同じように思えば、愛情は必ず伝わるのかも・・・

    人に優しくなれない時、もう一度読もう!

  • 数学と野球という、私にとって全く興味のない分野をこんなにもわかりやすく優しい文体で書いてくれたことに感動してしまった。

  • 静かに噛み締めるみたいに幸福で、穏やかに切ない話。
    異名というのは自分を、今までそしてこれからもつきまとう“自分”から切り離して、異世界へつれていってくれる橋とか鍵とか、そういうものですね。よくも悪くも。

    幼いうちからきちんと自分に意味を与えられて、しかもそれが重責ではなく勇気や自信や誇りになるのは幸福なことだと思います。
    博士にもう二度と記憶されない、すべて思い出にならない。そういうことはたしかに悲しいですが、読後は負の感情は全くなく、むしろ温かく幸せな気持ちになれました。
    友人が「記憶は持続せず、覚えてもらえず、自分の存在は紙面上のものでしかないのに、それを未来の力に変えていける強さをもった少年(ルートくんのこと)でしたね。いい意味で数学の特徴なのかもしれないと今思いました。すっきりしている、引きずらない、そんな印象ですね。」と言っていました。そのとおり、一つの形としてその式が覚えられることはないですし、いままでに積み上げられ記憶されたやり方というもの以外はその一瞬、紙面上に存在し触れあうだけのもの、未来には繋がらない通過点ですから……。

    ガツンと意識を変える強さみたいなものでなく、そういう“想い”というものの強さがストレートに、水を飲んだときみたいに染み込んでくる作品でした。

  • 【内容】
    交通事故のせいで,記憶が80分ごとに上書きされてしまう博士と家政婦として派遣された「私」の物語.
    その独特な後遺症や絵に書いたような研究者らしい生活,博士の数字攻めに音を上げて辞める家政婦ばかりで,博士の家政婦は長続きしない.家事のスペシャリストである「私」も博士に苦労するが,少しずつ慣れていくと共に数の持つ力に魅了されていく.

    【感想】
    数学でも何でも,まるで哲学のように語り合うのって楽しいですよね.
    久々に数学に興味をもてました.そして,物理関係でもこんな感じの小説ないかな.読んでみたい.

    「私」視点だから良かったものの,博士の視点だったら別の作品になっていたと思います.
    朝起きてはじめに目にするものが,「僕の記憶は80分しかもたない」メモだったら.昨夜見たと思っていた夢が,実は遠い昔の記憶のものだったとしたら.
    そこまで言われて初めて「80分の記憶」について具体的なイメージが出来ました.
    でも,イメージができた時にはもう遅く,博士のカセットテープは壊れていくし,家政婦解約の危機になるしで,博士と過ごす日々が少なくのが目に見えてわかるので,切なくて,途中から大事に読みました.(めっさ時間かけてしまった...)

  • 涙がとまらなかった。悲しいとか、そんなんじゃなくて、温かさとか優しさがたまらなくて。
    博士やルート、私のことが大好きになりました。

  • 「博士の愛した数式」
    記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した。


    物語は、記憶が80分しか持たない数学者「博士」、「博士」の身の回りの世話をする家政婦の「私」、そして、「私」の息子「ルート」を中心に回っていきます。80分という限られた時間の中で構成された「私」と「博士」の関係が、次の80分で0になり、また構築していく・・・、その繰り返しではあるので、一見淡々と進む物語のように思えます。


    しかし、「博士」の生業である「数学」と80分間で見せる博士自身の仕草や性質、そして、江夏という思いもよらない要素も相まって、物語がとても生き生きしているように感じます。また、台詞がとても良い。特に、表題に付いているように、「数式」の存在感は絶大でした。人間の生き方や付き合い方の素晴らしさと暖かさを感じれるような物語に、こうも馴染むとは、驚き。


    例えば、記憶が途切れる度、「博士」が「私」に尋ねる「私」に関する数字が、「博士」と「私」の関係の構築に綺麗に繋がる数字から人への流れに全く淀み無し。また、「私」に数学の面白さや美しさを教えた友愛数、「ルート」と「博士」の間に生まれた714と715、そして、「私」にとって形見であるオイラーの公式と、「博士」が残した数式や数学、数字は、いわゆるただの数字が並んだ無機質なものではなく、人の気持ちが込められた有機なものでした。


    また、「博士」と触れ合うことで、成長する「ルート」も印象的です。一番印象深いのは、「ルート」が「私」に怒った所です。子供は人知れず成長しているものだと、なんとなく実感。一人の数学者の物語であると同時に、一人の子供の成長の物語であるかのように、感じることが出来たのも、この「ルート」が「博士」から多くのものを吸収していったお陰で、無邪気さと純粋さ、素直さ、そして、ちょっとした大人心を兼ね備えた、まさに理想の10歳でしたw


    最後に、忘れてはいけないのは、「私」。温和な物語一本と思ったら、「博士」と「私」には、決して幸せとは言い切れない過去があり、「私」はその過去を背負って強く生きている、だからこそ、「博士」に対しても心から接することが出来ると思います。暖かさを感じれる登場人物の一人。「友達だから、「博士」に会いに行く」は良い台詞ですよね。


    一方、最後まで、しっくり来なかったのは、未亡人です。正直、全く意図が読めない。「博士」や「私」とは、ほぼ対極の人物として登場させただけなんでしょうか。それとも、「私」が考えたように、未亡人は未亡人なりの愛情を「博士」に持っていたのでしょうか。それにしては、ツンすぎるだろうw


    人の傍に数学を置ける著者の表現力に天晴れ。

  • 特に大げさな事件は起こらない。
    ただ、大切なものを大切にして毎日を過ごしている人たちのお話。


    博士だけでなく、
    語り手もルートも未亡人も愛したものがあり、
    今だってそれを愛している。

    泣けてくるのに、ひどく満ち足りた気分になる作品でした。
    これを読み切ったときの気持ちを忘れたくない。

  • 数学とは大学までの長いお付き合いだったけれど、こんなにも優しく慈しんであげたことは無かったので、もっと早くにこの小説を読んでいればと、数学に対して申し訳ないような気持ちになりました。
    最後は爽やかなのにぼろぼろと涙がこぼれて胸がきゅっと締め付けられた。良い小説です。

  • 数字は苦手で理解できませんが、穏やかな気持ちになれる。
    博士のように、丁寧に愛情深く子供に接する事ができたら…と、いつも子供に怒ってばかりの私は反省。
    思いやる心がたくさん詰まっている本。
    それにしても、ルートはいい子♪

  • 博士の、数学への接し方がとても素敵。
    ルートの、博士への接し方がとても素敵。

    すごくきれいな時間。

  • あたたかくて、切ない。

  • 久しぶりの再読。何遍読んでもいい。好きだなあ。

    朝のラジオ番組「おはようパーソナリティ」のゲストが小川洋子さんだった。予告を聞いてから楽しみにしていたインタビューは本当に面白く、聴きごたえがあった。思っていたよりずっと明るく楽しいおしゃべりで、大ファンであるタイガースのこと、自作のことを生き生きと語られていて、聞いているこちらまで気持ちが弾むよう。番組終了後早速本棚から「ハカセ」を取り出して読みふけった次第。(わが家は四人家族で、本をたくさん読む人二名、あんまり読まない人二名。全員が読み、かつ好きな本は極めて少ないのだけれどその最初の一冊が本作で、うちでは「ハカセ」と呼んでいる)

    「友愛数」も「完全数」も私はこの本で初めて知ったのだった。文系人間の常として、数学とは必要最小限の関わりですましてきた。嫌いというわけではないけれど、気むずかしい人をできれば避けたいような感じ、というか。でも、ここで博士が垣間見させてくれた数学の世界にはすっかり魅了された。よそよそしく冷たい数字の並びに、こんな秘密が隠されていたなんて。主人公といっしょにその不思議の一端に触れて、胸が震える思いだった。

    例えば、「過剰数」と「不足数」についての次のような一節。

    「私は18と14を思い浮かべた。博士の説明を聞いたあとでは、それらは最早ただの数字ではなかった。人知れず18は過剰な荷物の重みに耐え、14は欠落した空白の前に、無言でたたずんでいた」

    数学と、小川さんの言葉の魔術とがとけあって、目の前に新しい世界が広がったような気がした。

    語られているお話は辛く悲しい。悲劇的な事故で将来を断たれた博士の運命には、その才能を思うといたたまれない思いがする。ところが、その悲痛さはずっと物語の底で響いているけれど、ここにはまぎれもなく明るさがある。以前読んだときは、息子のルート君の存在が救いを与えているんじゃないかと思った。博士に無条件に愛され、博士を愛した彼が、数学の先生になるとさりげなく書かれていることにじーんとして。

    今回もその印象は変わらないけれど、もうひとつ思ったのは、博士は不幸なばかりではなかったのだということだ。いったいどれほどの人が、博士のように心から愛して人生を捧げて悔いのないものを見つけられるだろう。永遠へとつながっている世界を探求していくことにまさるものがこの世にあるだろうか。

  • 暖かくて真っ直ぐな心が洗われるような物語だった。
    数学に興味を持ってしまう。
    ルートが数学の教師として、博士の数式への愛を伝えていくのだろうなと思うとうれしくなる。

  • 二十歳ぐらいの時に読んで、当時好きだった人に貸しました。
    結局恋は実らなかったけど。
    この本を見ると今でもその人のことを思い出します。

    貸した本はまだ返ってこないけど。
    それでいいんだ。
    返ってきたら恋が終わってしまう気がするから。

  • 何気ない日常の中に数字が関わっているんだなぁ、数って不思議だと思えた。
    泣けるってわけじゃなかったけど、なんか(´・_・`)こんな感じにもやもやした気持ちになった

  • 恋愛でもない愛情が素敵な話
    博士に対する思いやりと博士の思いやりがいい

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博士の愛した数式の作品紹介

世界は驚きと歓びに満ちていると、博士はたった一つの数式で示した-記憶力を失った天才数学者、と私、阪神タイガースファンの10歳の息子。せつなくて、知的な至高のラブ・ストーリー。著者最高傑作。

博士の愛した数式の単行本

博士の愛した数式のKindle版

博士の愛した数式の文庫

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