生きるとは、自分の物語をつくること

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  • 新潮社 (2008年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104013067

生きるとは、自分の物語をつくることの感想・レビュー・書評

  • 心理臨床家で文化庁長官を務められた河合隼雄先生と作家の小川洋子さんの対談集。
    小川さんの小説『博士の愛した数式』について語る河合先生は本当に楽しそうで、先生が感動されているのが、こちらにも伝わってきます。先生の笑い声や息遣いまで伝わってきそうです。
    箱庭、『源氏物語』、一神教と多神教についてなど、物語をつくる、物語を生きるという観点から生き生きと語られています。

    2006年6月のお二人の対談が結果的に最後の対談となってしまいました。その対談では、小川さんの『ブラフマンの埋葬』について河合先生が、ユングがブラフマンという言葉が大好きであることを紹介されて、次回の対談でそのことを話しましょうと提案されていました。河合先生が倒れられ、闘病を経て旅立たれたので、お二人の対談続きは読むことが出来ません。それはすごく残念なことであり、悲しいことです。しかし、対談は今でも続いているのではないかと思えてなりません。河合先生が亡くなられた故に、続いているのではないか、小川さんの胸中で。そして、新たに始まったのではないか、我々読者の心の中で。

    河合先生と小川さんの対話に、ハッとされられたり、唸らされたり。そのため本にはたくさんの付箋を貼らねばなりませんでした。その中でも、京都の国立博物館の文化財修繕の話しは、本当に身につまされる思いでした。

    布を修理するとき、後から新しい布を足す場合、新しい布が古い布より強いと古い布を傷つけてしまうことになる。人を助けようとする人は強い人が多い。そうすると助けられる方はたまったもんじゃない、と。

    河合先生が遺して下さった数々の心理臨床に関する著作を読み直さないといけない、そう感じさせられました。そして、小川さんの『博士の愛した数式』『ブラフマンの埋葬』も読んでみたいと思います。

  • 心に留まったメモ。「自分にはアースがある」「地球が聞き届けてくれる」その循環をこれからつくりたい。

  • お二人の対談+追悼文。お二人ともを好きだったのと、美しいタイトルに惹かれて手にとった。心がとても温かくなる。次回の対談の取っ掛かりも決まっていたのに実現し得なかったのが残念でならない。『博士の愛した数式』は再読必至。

  • 「たくさんの中から選ばれた言葉か、
    唯一それしかもっていない人の言葉か、」

    という言葉に、ボキャブラリーが少ない私ははっとさせられました。対人援助職として、もっと言葉を身につけたい、と。

    選ぶことができるくらいの豊かさを、身につけたいと思います。

    また、カウンセリングは、
    「望みを失わない限り大丈夫」との言葉に勇気付けられました。
    支援する側が、決して望みを失わないこと。

    一冊を通して、多くの気付きがあり、多くの学びをいただきました。支援者として、心に刻みたいと思います。

  • 一緒にいるだけで、
    「私は大丈夫」と感じさせてくれる人がいるという。

    河合隼雄先生はそんな人だと思う。

    先生は、「アースされている」といいます。
    だから、たくさんの人の人生という物語を
    誰にも言わずにいられるという。

    そう、先生は地球とつながっていて
    それが相手にも伝わるのかもしれません。

    そばにそんな「あなたは大丈夫」と伝えてくれる人がいるといい。
    家庭にも、
    職場にも。

    人生は物語。
    物語には矛盾があって
    その矛盾をどう受け止めるのか?
    どう受け止めたのか?
    それが人生という物語を面白く、楽しく、豊かにしてくれるのかもしれません。

    人生の主人公は自分。
    人生の矛盾を緩やかに、しなやかに受け取るコツが見つかるかもしれません。

  • 論理と曖昧さは矛盾するけれど、それを共存させるような人生観や世界観が必要なこと、そもそも命とは矛盾をふくんでいるもの、だからその矛盾を意識して生きていくこと。
    「矛盾を私はこう生きました」というところに個性が光る。そしてとれが物語になる。個人を支えているのが「物語」であること。物語と現実がつながっていることを河合先生は温かく語る。
    「次はまた今度にしましょうか」との言葉で永遠に中途となった対談。本当に惜しい。生きるとは自分にふさわしい、自分の物語を作りあげていくことにほかならないことを学んだ。

  • 晩年の河合隼雄さんと、小川洋子さんとの対話をまとめた本。もっとずっと読んでいたかったですが河合さんが亡くなられて、もう実現不可能になってしまいました。本当に残念です。物事がうまくいくときというのは、本当に信じられないほど驚くほどあれこれうまくいくものだ、例えば、外に出たら一億円落ちていた、というくらいのことが起こる、というくだりは大変興味深かったです。なかなか掴みきれないことをテーマにしつつも優しい平易な言葉での対話の記録なのでとても読みやすかったです。果たしてお二人が理解し合い共有されたことのどの位を自分が読んで受け止められたのか、そこは少々不安ですが、大変面白かったです。

  • だいたい人を助けに行く人はね、強い人が多いんです。
    そうするとね、助けられる方はたまったもんじゃないんです。そういう時にすっと相手と同じ力になるというのは、やっぱり専門的に訓練されないと無理ですね。


    分けられないものを分けてしまうと、何か大事なものを飛ばしてしまうことになる。その一番大事なものが魂だ、というのが僕の魂の定義なんです。
    分けられないものを明確に分けた途端に消えるものを魂という。

    やさしさの根本は死ぬ覚悟
    あなたも死ぬ、私も死ぬ、ということを日々共有していられれば、お互いが尊重しあえる。

    命というものはそもそも矛盾を孕んでいるものであって、その矛盾を生きている存在として、自分はこういうふうに矛盾してるんだとか、なぜ矛盾してるんだということを、意識していくよりしかたないんじゃないかと、この頃思っています。そして、それをごまかさない。

    「その矛盾を私はこう生きました」というところに、個性が光るんじゃないかと思っているんです。

    そこで個人を支えるのが物語なんですね。

  • どんな評論よりも、河合隼雄は物語(作品)の的を射ているように思う。それは解説してくれる、というのともちょっと違う。なぜか心惹かれる小説のように、その言葉になぜか惹きつけられるような感じ。

  • ☆今年の目標☆
    本を100冊以上読む!

    今年の1冊目はコレ!
    行間が広くて読みやすかった♪( ´▽`)

  • 生きるとは、自分の物語をつくること。小説を書くとは、誰かの物語を語ること、臨床心理士とは、誰かが自分の物語を語り直す手助けをすること。
    物を書いて仕事をする人になりたい、と子供の頃思っていた自分が、今は福祉分野で相談援助職を目指している。その繋がりがこれまで自分でも分からなかったが、この本で上記のことを二人が話しているのを読み、すとんと胸に落ちる思いがした。

  • すると、思いもしないところから、それも遠いところか ら突然、カミオカンデにニュートリノが飛び込んでくるみ たいに、偶然何かが飛び込んできて、その途端にパーッと 真っ白な所に色がつくみたいに、動き出す時があるんで す。 ― 54ページ

  • 私の大好きな小川先生と、心理学者である河合先生の対談の一冊。人の心理やこの世の事象、さまざまなことを「物語」と絡めて、最終的にそうして人は「生きている」のだ、と訴えられているような本でした。河合先生は、他にもさまざまな作家さんと対談されていて、本当はそっちが読みたかったんですけど、この本も十分に楽しめました。

  • 河合隼雄氏の本を読んでみたいと思い、まずは大好きな小川洋子さんとの対談集を手にとってみた。彼女のいつものしんとした静けさに、見えない奥行きの様な深さが加わった、とても素敵な対談集だった。
    次は私の好きな「プラフマンの埋葬」の話しだと思っていたら、後書きになっていてがっかりした。後書きでその理由が判ってとてもとても悲しくなった。本当に悲しくなった。

  • 昔話や童話、神話が好きなのでその解釈に関する本を結構読んだことがあるけれど、タイトルでもある「生きるとは、自分の物語をつくること」というのは、今まで読んできた解釈をうまくまとめた言葉だなと納得。生きるということは、楽しいこともあれば、つらく哀しいこともあり、それはきっと現代でも人類が出現した頃の遥か昔でもきっと変わらない。そういった生をなんとか自分で受け止められるように、変えていけるように、物語が必要になってくる。
     昔カウンセラーを目指していた頃もあったけれど、こういう本を読むと、とてもなれない、少なくとも自分には向いていないと実感。人の物語をただ受け止め、どんな時も希望を失わずにただ寄り添うということの、なんと難しいことか。

  • 対談相手である、河合さんの本も読んでみようと思いました。お二人とも、魅力のある方だという事が伝わってきました。

  • ふと心に触れてくる言葉は所々にみられるものの、このふたりであればもっと深くて味わいのある対話ができただろうと思ってしまう。今となっては望むべくもないが、ここからさらに対話を重ねていってほしかった。

  • 対談集。箱庭が実際どんなものか気になる。授業であるかな

  • 小川洋子と河合隼雄の対話集。
    小川洋子の対談って、結構「博士の愛した数式」の話題が多い。

    でもそれをとっかかりに、臨床心理からのアプローチとかタイトルどおり、自分の物語についての話が展開される。

    とてもわかりやすく、心に静かにしみてくるような内容。
    河合さんの著書を読んでみたくなった。

  • 河合先生が楽しそう

  • 相手の気持ちを大事にする。
    人生に笑いを忘れない。

    望みを失ってはいけない。
    望みが持てなかったら?
    のぞみのないときはひかりです
    あ、のぞみのないときはひかりだ
    あ、こだまが返ってきた
    とのやり取りが機智に飛んだやり取りでとてもすき

  • 「物語」に対する認識が変わった。

    今この瞬間というのは大きな流れの中のごく一部。しかし物語の中の一場面と捉えると、儚さよりも貴重さが強調されるように思う。諸行無常の一歩先へ連れて行ってもらえた気がする。

  • 私の根っこのような一冊になった。
    おおげさじゃなく、夢見過ぎてるわけじゃなく、
    「自分の物語をつくること」なんだって思える。
    おだやかに、しなやかに、多くの気づきとともに
    自分の人生を歩むために必要な一冊。
    ・・・何か大きな流れの中の一部として、自分を捉えるような見方
    ・・・矛盾との折り合いのつけ方にこそ、その人の個性が発揮される
    ・・・光より速いものがあったんです。のぞみ。

  • 作家・小川洋子と臨床心理学者・河合隼雄の対談短編集。

    人の心を慮るプロと、描き立ち上がらせるプロの対談。
    心の深いところまで一緒に沈んでいく覚悟を持つ二人の、
    人間の弱さ・醜さ・身勝手さについての言及は、
    いろいろと救いに満ちてて、発見が多かった。

    河合先生が言っている文化財修繕の話が印象的。
    「例えば布の修理をするときに後から新しい布を足す場合、その新しい布が古い布より強いと却って傷つけることになる。修繕するものとされるものの力関係に差があるといけない。〜 人を助けにいく人はだいたい強い使命感があるが、助けられる人はそれだとたまったものじゃない。そういうときにスッと、相手と同じ力になるというのは、難しいこと。助ける人は、助けられる人と同じ弱さ、寂しさを持っている人じゃないと。」

    目から鱗でした。

  • あらゆる概念への理解の深さ、
    お互いの仕事への関心の深さ、
    どれをとってもずれがなく、
    ふたりが心をゆったりと開放して語り合う様子が伝わってくる。

    それだけに河合さんの急逝により、この対談が未完のまま、小川さんの「長すぎるあとがき」で締めくくられていることがとても悲しい。

    でも、小川さんがあとがきで書かれているように、そのことにも何かの意味があるのだとしたら、私も自分自身が生きていくにあたって、もっといろんなことを受け入れて成長できるのではないかと感じた。

    やさしさの根本とは死ぬ自覚、分けられないものを明確に分けたとたんに消えるものを魂という…。このふたつが特に印象深い。

    対談内では「博士の愛した数式」の登場人物の設定を決めた背景も語られており、「博士…」ファンとしても、裏側を知ることができて嬉しい。

    そして、「ブラフマンの埋葬」ファンとしては、この対談の続き、河合さんが小川さんに尋ねたかったこと、ユングが好きだったブラフマンという言葉について、知りたくてたまらない気持になるのだ。

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