生きるとは、自分の物語をつくること

  • 404人登録
  • 3.87評価
    • (48)
    • (65)
    • (53)
    • (7)
    • (1)
  • 69レビュー
  • 新潮社 (2008年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104013067

生きるとは、自分の物語をつくることの感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 心理臨床家で文化庁長官を務められた河合隼雄先生と作家の小川洋子さんの対談集。
    小川さんの小説『博士の愛した数式』について語る河合先生は本当に楽しそうで、先生が感動されているのが、こちらにも伝わってきます。先生の笑い声や息遣いまで伝わってきそうです。
    箱庭、『源氏物語』、一神教と多神教についてなど、物語をつくる、物語を生きるという観点から生き生きと語られています。

    2006年6月のお二人の対談が結果的に最後の対談となってしまいました。その対談では、小川さんの『ブラフマンの埋葬』について河合先生が、ユングがブラフマンという言葉が大好きであることを紹介されて、次回の対談でそのことを話しましょうと提案されていました。河合先生が倒れられ、闘病を経て旅立たれたので、お二人の対談続きは読むことが出来ません。それはすごく残念なことであり、悲しいことです。しかし、対談は今でも続いているのではないかと思えてなりません。河合先生が亡くなられた故に、続いているのではないか、小川さんの胸中で。そして、新たに始まったのではないか、我々読者の心の中で。

    河合先生と小川さんの対話に、ハッとされられたり、唸らされたり。そのため本にはたくさんの付箋を貼らねばなりませんでした。その中でも、京都の国立博物館の文化財修繕の話しは、本当に身につまされる思いでした。

    布を修理するとき、後から新しい布を足す場合、新しい布が古い布より強いと古い布を傷つけてしまうことになる。人を助けようとする人は強い人が多い。そうすると助けられる方はたまったもんじゃない、と。

    河合先生が遺して下さった数々の心理臨床に関する著作を読み直さないといけない、そう感じさせられました。そして、小川さんの『博士の愛した数式』『ブラフマンの埋葬』も読んでみたいと思います。

  • 心に留まったメモ。「自分にはアースがある」「地球が聞き届けてくれる」その循環をこれからつくりたい。

  • お二人の対談+追悼文。お二人ともを好きだったのと、美しいタイトルに惹かれて手にとった。心がとても温かくなる。次回の対談の取っ掛かりも決まっていたのに実現し得なかったのが残念でならない。『博士の愛した数式』は再読必至。

  • 「たくさんの中から選ばれた言葉か、
    唯一それしかもっていない人の言葉か、」

    という言葉に、ボキャブラリーが少ない私ははっとさせられました。対人援助職として、もっと言葉を身につけたい、と。

    選ぶことができるくらいの豊かさを、身につけたいと思います。

    また、カウンセリングは、
    「望みを失わない限り大丈夫」との言葉に勇気付けられました。
    支援する側が、決して望みを失わないこと。

    一冊を通して、多くの気付きがあり、多くの学びをいただきました。支援者として、心に刻みたいと思います。

  • 一緒にいるだけで、
    「私は大丈夫」と感じさせてくれる人がいるという。

    河合隼雄先生はそんな人だと思う。

    先生は、「アースされている」といいます。
    だから、たくさんの人の人生という物語を
    誰にも言わずにいられるという。

    そう、先生は地球とつながっていて
    それが相手にも伝わるのかもしれません。

    そばにそんな「あなたは大丈夫」と伝えてくれる人がいるといい。
    家庭にも、
    職場にも。

    人生は物語。
    物語には矛盾があって
    その矛盾をどう受け止めるのか?
    どう受け止めたのか?
    それが人生という物語を面白く、楽しく、豊かにしてくれるのかもしれません。

    人生の主人公は自分。
    人生の矛盾を緩やかに、しなやかに受け取るコツが見つかるかもしれません。

  • 論理と曖昧さは矛盾するけれど、それを共存させるような人生観や世界観が必要なこと、そもそも命とは矛盾をふくんでいるもの、だからその矛盾を意識して生きていくこと。
    「矛盾を私はこう生きました」というところに個性が光る。そしてとれが物語になる。個人を支えているのが「物語」であること。物語と現実がつながっていることを河合先生は温かく語る。
    「次はまた今度にしましょうか」との言葉で永遠に中途となった対談。本当に惜しい。生きるとは自分にふさわしい、自分の物語を作りあげていくことにほかならないことを学んだ。

  • 人は、生きていくうえで難しい現実をどうやって受け入れていくかということに直面した時に、それをありのままの形では到底受け入れがたいので、自分の心の形に合うように、その人なりに現実を物語化して記憶にしていく(小川洋子)
    私は、「物語」ということをとても大事にしています。来られた人が自分の物語を発見し、自分の物語を生きていけるような「場」を提供している、という気持ちがものすごく強いです。(河合隼雄)

  • 晩年の河合隼雄さんと、小川洋子さんとの対話をまとめた本。もっとずっと読んでいたかったですが河合さんが亡くなられて、もう実現不可能になってしまいました。本当に残念です。物事がうまくいくときというのは、本当に信じられないほど驚くほどあれこれうまくいくものだ、例えば、外に出たら一億円落ちていた、というくらいのことが起こる、というくだりは大変興味深かったです。なかなか掴みきれないことをテーマにしつつも優しい平易な言葉での対話の記録なのでとても読みやすかったです。果たしてお二人が理解し合い共有されたことのどの位を自分が読んで受け止められたのか、そこは少々不安ですが、大変面白かったです。

  • だいたい人を助けに行く人はね、強い人が多いんです。
    そうするとね、助けられる方はたまったもんじゃないんです。そういう時にすっと相手と同じ力になるというのは、やっぱり専門的に訓練されないと無理ですね。


    分けられないものを分けてしまうと、何か大事なものを飛ばしてしまうことになる。その一番大事なものが魂だ、というのが僕の魂の定義なんです。
    分けられないものを明確に分けた途端に消えるものを魂という。

    やさしさの根本は死ぬ覚悟
    あなたも死ぬ、私も死ぬ、ということを日々共有していられれば、お互いが尊重しあえる。

    命というものはそもそも矛盾を孕んでいるものであって、その矛盾を生きている存在として、自分はこういうふうに矛盾してるんだとか、なぜ矛盾してるんだということを、意識していくよりしかたないんじゃないかと、この頃思っています。そして、それをごまかさない。

    「その矛盾を私はこう生きました」というところに、個性が光るんじゃないかと思っているんです。

    そこで個人を支えるのが物語なんですね。

  • どんな評論よりも、河合隼雄は物語(作品)の的を射ているように思う。それは解説してくれる、というのともちょっと違う。なぜか心惹かれる小説のように、その言葉になぜか惹きつけられるような感じ。

全69件中 1 - 10件を表示

小川洋子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
川上 未映子
三浦 しをん
小川 洋子
有効な右矢印 無効な右矢印

生きるとは、自分の物語をつくることを本棚に「読み終わった」で登録しているひと

生きるとは、自分の物語をつくることの文庫

生きるとは、自分の物語をつくることのKindle版

ツイートする