いつも彼らはどこかに

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104013074

作品紹介・あらすじ

この世界が素晴らしいのは動物たちがいるから――震えるような感動を呼び起こす連作小説。たてがみはたっぷりとして瑞々しく、温かい――ディープインパクトの凱旋門賞への旅に帯同することになる一頭の馬、森の彼方此方に不思議な気配を残すビーバー、村のシンボルの兎、美しいティアーズラインを持つチーター、万華鏡のように発色する蝸牛……。人の孤独を包み込むかのような気高い動物たちの美しさ、優しさを、新鮮な物語に描く小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 小川洋子さんは、死者と生者を分け隔てしない。
    欠けてしまったものや失ったものも、けっして別世界へと追いやったりしない。
    見えないけれど、傍らに寄り添ってくれている愛おしい気配に身をゆだねながら
    「彼ら」への感謝を言の葉に乗せ、私たちへと届けてくれる。

    異国での輝かしいレースに参加する天才馬の不安を鎮めるためだけに
    飛行機に押し込められ、一緒に旅をする帯同馬。
    長年にわたり自著を翻訳してくれたのに、ついに一度も顔を合わせることなく
    この世を去った翻訳者から贈られた、真っ白なビーバーの骨。
    学校に行くのをぱったりとやめた少女を、ドールハウスの中から見守る犬。
    「h」の文字を綴りの中にひっそり隠し持つ、檻の中のチーター。
    忘れられない数字をからだに纏って、身代わりガラスの中を泳ぐ竜の落とし子。

    動物をモチーフにした短編集だけれど、どの物語の中でも
    主人公は、動物の血の通ったからだに触れることはありません。
    ことさらに可愛い可愛いと褒めそやしたり、撫でたりしないのに
    カウントダウンのカレンダーを持った作り物のうさぎにも、白い骨になったビーバーにも
    等しく敬意と愛情が注がれているのが伝わってくるのがすばらしくて。

    時の彼方に消え入りそうな記憶も、忘れられない悲しみも
    首から下げた身代わりガラスの中身のように、そっと抱きしめながら。
    人に褒め称えられなくても、たとえ奇異に見られようとも
    自分が好もしい、正しいと思ったことを、声高に主張せず、ただ静かに積み重ねる。
    時に、ニュースで知った帯同馬の奥ゆかしさや
    命ある限り木を齧り続けたビーバーの骨の中に眠る命の輝きに励まされながら。
    そんな慎ましい人たちの、慎ましい日々の尊さに
    波立っていた心が、いつしか凪いでいることに気付くのです。

    この世では二度と会えない人に贈られたビーバーの骨に
    生きるエネルギーをもらいながら本を書き続ける『ビーバーの小枝』の作家に
    小川洋子さんの姿がふわりと重なる、静かで美しい短編集でした。

    • kwosaさん
      追記です。ご参考までに。

      『ナイーヴな人々』
      http://www.youtube.com/watch?v=7M1NLLlsCLA

      『エ...
      追記です。ご参考までに。

      『ナイーヴな人々』
      http://www.youtube.com/watch?v=7M1NLLlsCLA

      『エイリアンズ』
      http://www.youtube.com/watch?v=w05Q_aZKkFw

      『愛のCoda』
      http://www.youtube.com/watch?v=C_66j8eq5MQ

      これを忘れていました。
      『雨は毛布のように』(『Fine』収録)
      コーラスがaikoという贅沢さ!!
      http://www.youtube.com/watch?v=HWyyxJoZHyY

      『Fine』もいいんですよ。
      アルバム全部いいんですよ。
      ああ、長くなりそうなのでこのへんで。
      2013/09/13
    • まろんさん
      kwosaさん!

      追記に書いてくださった4曲、youtubeですぐに聴いてみました。
      素敵でした、キリンジ!

      実は、するっと「素敵」なん...
      kwosaさん!

      追記に書いてくださった4曲、youtubeですぐに聴いてみました。
      素敵でした、キリンジ!

      実は、するっと「素敵」なんてひと言で書けないくらいの、
      「!!!」や「!?!」や「♪☆♪」が心を飛び交う、うれしいびっくりでした。
      kwosaさんが書いてくださった
      「これぞキリンジ!というカラーがないのに、一聴してキリンジだ!とわかる」
      というお言葉、聴いていて「まさに!」と思いました。

      うわあ、どこまで行くの?とどんどん上り詰めていって、さあ頂点に届く!というところで
      ひょいと階段を1階ぶんまるごと飛び降りてしまうようなメロディ。
      次の小節では、ぜったいメジャーコードに進むな、と思っているところに限って
      予想を軽やかに裏切って、まさかのマイナーコードに転んで
      しかもそのコードが、悔しくなるくらい洒落ていて。
      普通の話し言葉で書かれているのに、ぱあっと物語世界が拡がるような
      映画のワンシーンが浮かんでくるような、不思議な歌詞。
      1曲めの『ナイーヴな人々』の歌に入ってわずか6小節めの「そうなの?」の
      さりげなさ、奥深さに、いきなり心を鷲掴みにされました!

      曲調と歌詞はだんぜん『ナイーヴな人々』が好きなのですが
      kwosaさんがおっしゃる通り、曲としての完成度は『愛のCoda』が飛び抜けていますよね!
      そして、「あ、ほんとにaikoの声がする!」と聴き入ってしまった『雨は毛布のように』は
      PVの映像のしなやかなダンスとのシンクロがもう、すばらしくて。
      そして、素敵だけどちょっと気怠い雰囲気だなぁ、と思った『エイリアンズ』の
      「ぼくらはエイリアンズ」というサビの部分が
      いちばん好きな『ナイーヴな人々』を差し置いて、頭の中でずっとリフレインしてしまう不思議さ。

      演奏も含め、まさに稀有な才能がよくこうも集まったなあ、と感動しています。
      教えていただいて、ほんとうにありがとうございます!

      そして、最愛の奥様と一緒にバックステージツアーに参加して、
      まだ見ぬ我が子をお腹の上から撫でてもらうkwosaさんを想像して
      私までなんだかうれしくなってしまいました。
      奥様も、キリンジの祝福を受けた娘さんも、お幸せですね♪
      キリンジ、遅ればせながら、私も追いかけます!
      2013/09/15
    • kwosaさん
      まろんさん!

      気に入っていただけて本当に嬉しいです。
      別にプロデューサーでもプロモーターでも、ましてや本人でもないのに、自分のことのように...
      まろんさん!

      気に入っていただけて本当に嬉しいです。
      別にプロデューサーでもプロモーターでも、ましてや本人でもないのに、自分のことのように嬉しいです。

      ミュージシャン達にもファンが多いキリンジ。
      音楽に携わるまろんさんなら、きっと彼らが仕掛けた企みにどきどきわくわくさせられることと思います。

      最後にもうひとつだけ。
      僕がキリンジにはまるきっかけとなった『アルカディア』
      http://www.youtube.com/watch?v=3hLtE9gT1CE

      乾いたギターと心震えるフルートの旋律、そして「永遠(とわ)と刹那のカフェオレ」なんて凄いフレーズがさらっと織り込まれている歌詞に痺れます。
      2013/09/17
  • 8編ある短編を、一日に1話ずつ読みすすめた。
    少しずつしか読まないのは、小川さんの世界にゆっくりと浸っていたかったから。
    そして読み終えた後じっと、本を抱きしめていたくなるのがいつものこと。

    「新潮」の2012年6月号から2013年1月号に掲載された8篇の短編を収めた作品集で、すべて何かしらの動物たちが登場する。
    相互に関連性はないものの、マイノリティーな存在に向ける温かい眼差しと、まぶたの奥がじんと熱くなるような美しさに酔ってしまいそうだ。
    読み手の負の感情を否が応でも引きずり出す作品が世にあまたあり、作家さんの底意地の悪い性格を見せ付けられたようでとても気分が重くなってくる。
    小川さんの作品では、過去一度もそんなことがない。
    ある意味、稀有な作家さんではないだろうか。

    モノレールの沿線でスーパーの売り子さんをしている女性を描く『帯同馬』。
    クラシック三冠馬のディープインパクトが、闘うためにフランスに空輸される。
    移動のストレスを緩和させるために帯同する駄馬の、砂をかむような不安と孤独に、彼女は優しく寄り添っていく。
    『ビーバーの小枝』は、長年一緒に作品を作り上げてきた女性小説家と翻訳家の話。
    机上にある、よく磨かれた白いビーバーの頭の骨の物語。
    ビーバーは、【自分に与えられたささやかな歯で、諦めることも知らないまま幹を削っていく。(中略)しかし誰も褒めてくれるものはいない。ビーバーは黙々と労働を続ける。】
    作家は、そんなビーバーの骨に手を添え、小説を書き続ける。

    『愛犬ベネディクト』に登場するのは、ブロンズで出来たミニチュアの犬だ。
    母は病死し、父は家を出て、祖父と僕と妹との三人暮らし。
    不登校になり、自分の精神世界に閉じこもる小さな妹は、ドールハウスを作り続ける。
    その妹の入院中、ふとしたはずみでドールハウスをひっくり返した僕が見つけたものは、妹が作製したミニチュア本の一冊だった。
    開かれたページに書かれた、「ブリキの太鼓」。
    この一行で胸の奥をぎゅっと掴まれたような気になった。
    自らの意思で成長をとめた哀れな「オスカル」に、自分をなぞらえてでもいるのだろうか。。

    そして、一番心に残ったのは、ラストの『竜の子幼稚園』。
    何らかの理由で旅ができない人のため身代わりとなる品、通称「身代わりガラス」と共にあちこちを旅する女性の物語。
    身近なものに声をかけながら誠実に仕事を果たしていくのは、5歳で早世した弟の「喪の仕事」をしていたのだと、最後の数行で明かされる。
    終盤の2ページで、涙がにじんだ。

    孤独で、静かな時間の中に生きる登場人物たち。
    彼らが思いを寄せるのは、時に癒しになり時に現実を突きつけてくる生き物たちだ。
    それぞれは、与えられた自空間の中で真摯に時を刻んでいる。
    まさに、いつも彼らはどこかにいるのだ。

    生き物たちの美しさや優しさを描きながら、実は底辺に流れる存在の悲しみと不安を凝視する著者は、狭き門より入る求道者なのかもしれない。
    『最果てアーケード』以来の、静かに心を満たす感動作だった。

    • まろんさん
      nejidonさん、こんにちは!

      この本、まさに今週、やっと図書館から届いたところなのです!
      ずっと読みたくて待っていたのでうれしくてしょ...
      nejidonさん、こんにちは!

      この本、まさに今週、やっと図書館から届いたところなのです!
      ずっと読みたくて待っていたのでうれしくてしょうがないところに
      この、nejidonさんの、感動が波のように伝わってくる、素晴らしいレビュー。
      盆と正月が一気にやってきたような♪

      「読み手の負の感情を否が応でも引きずり出す作品が世にずいぶんあり、作家さんの根暗で底意地の悪い性格を見せ付けられたようでとても気分が重くなってくる。」
      うんうんうん!と、何度も頷いてしまいました。
      多いですよね、特に最近。
      作品=作家そのもの、とまでは思わないけれど
      う~ん、こんなに意地悪に描かなくても、とか
      人間なんてこんなものだ、みたいにあんまり貶めないでよ・・・とか思ったり。
      申し訳ないけど、この作家さんとは、もしご近所になっても、お友達になりたくないなぁ・・・
      と、密かに思っている作家さんが、私にも何人かいたりします。

      小川洋子さんは、死や病や、欠けてしまったもの、失くしたものに向けるまなざしが
      いつもしみじみとやさしいですよね。
      読みかけの本を後回しにして、この本を開きそうになる誘惑と必死に戦っているのですが
      負けてしまいそうです(笑)
      2013/08/23
    • 九月猫さん
      nejidonさん、こんばんは♪

      わあ、とうとうnejidonさんのこの本のレビューが!!
      お待ち申し上げておりました(´∀`*)
      ...
      nejidonさん、こんばんは♪

      わあ、とうとうnejidonさんのこの本のレビューが!!
      お待ち申し上げておりました(´∀`*)
      あああ、待っていた甲斐があってなんてステキなレビューなんでしょう♪

      途中の作品(主にうにょうにょ)が不穏な空気を
      はらんでいたりもするけれど、
      「竜の子幼稚園」の不思議な明るさで締められているせいか
      ほんのりあったかい読後感になっていますよね。
      わたしは「愛犬ベネディクト」がお気に入りですが、
      「目隠しされた小鷺」の読後感も好きです。

      ところで・・・うにょうにょはヘイキでした??

      「時計坂の家」ですが・・・
      装丁が素敵な本はきっと手元に置きたくなるだろうしと
      あの後も本屋さんで探しましたが、見当たらず、
      このままでは夏が終わってしまう~と、
      結局、図書館で予約(というか取り寄せ)してもらいました。
      届いたよーと連絡をいただいたので、
      明日か明後日に借りに行くのです♪楽しみ楽しみ♪

      「明日もいっしょにおきようね」も、ずーっと前から
      気になっているのですが、なかなか手に取る勇気が出ません(^-^;)
      2013/08/24
    • 九月猫さん
      nejidonさん、こんばんは♪

      いつも優しいお気遣いをありがとうございます。
      また数日お休みしていたのは……お察しの通り、今度は夏...
      nejidonさん、こんばんは♪

      いつも優しいお気遣いをありがとうございます。
      また数日お休みしていたのは……お察しの通り、今度は夏カゼ気味で
      熱を出しておりました(^-^;)
      いやあ、今年の夏はなかなか厳しいですねぇ。・゚・(ノД`)・゚・。
      nejidonさんもくれぐれもお気をつけてお過ごしくださいね。

      >この作品のあとでは、何を読めば良いんだろう
      ありますよねー!
      読み終わっても、世界から抜けられずにぼーっとしてしまうような、
      ずーっと余韻に浸っていたいような、そんな本。

      ねっ、この本、すごく構成がいいですよね!!
      最初のお話で、限られた場所にしか行けない女性を描いて、
      最後のお話で、どこにでも旅に出る女性を描いて。
      しかも身体だけじゃなくて心まで開放されたラスト。
      素晴らしい構成だなぁと思いました。

      >こんな仕事なら私もうってつけなんだけどなぁ
      うふふ、nejidonさんならぴったりそうな気がします♪
      三線をおともに、津々浦々~(* ̄∇ ̄*)
      でも、おかあさんがお留守にしたら、にゃんちゃんたちが
      淋しくて困ってしまいますね(笑)

      おおっ、うにょうにょはヘイキでしたか!
      どちらかというと可愛いイメージのヤツなので、
      普通に出ててくれればワタシだってきっとヘイキだったはずっ……
      しかし「あの姿」では・・・ムリです。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。

      「時計坂の家」、本日借りてきました♪
      さっそく読み始めたのですが、これ、好きです!!
      まだまだお話は最初のほうですが、もう好きです!!
      ピッタリ好みのおススメをありがとうございます(*´∇`*)
      2013/08/25
  • 登場人物の多くは、不器用で少し孤独な人たち。
    動物をモチーフにした8篇の物語は、時に優しく温かく、時に孤独をさらに浮き上がらせ、時には滑稽さを覚えたりもする。

    「帯同馬」
    「ビーバーの小枝」
    「ハモニカ兎」
    「目隠しされた小鷺」
    「愛犬ベネディクト」
    「チーター準備中」
    「断食蝸牛」
    「竜の子幼稚園」

    なかでも好きなのは「愛犬ベネディクト」。
    不登校の妹が盲腸で入院する間、彼女の愛犬の世話を任された兄。愛犬ベネディクトはブロンズの犬だが、妹から散歩や餌について細かい指示を出される。
    彼女が家で毎日こつこつ作っている縮尺のおかしなドールハウスやベネディクトの餌。一緒に住む祖父と兄の、それらの扱い方に妹への静かで濃やかな愛情を感じた。

    「ビーバーの小枝」は描写が美しいと思った一篇。
    森の緑、庭の畑、古いピアノ、バッハのゴルトベルク変奏曲、満月の下で泳ぐ池、ビーバーの気配。
    そして、机に置かれたビーバーの骨とつややかな小枝。
    色や音や匂いや、ひそやかな気配までもがページから漂ってくるよう。

    「断食蝸牛」は怖かった。
    落丁図書室は興味深いし、風車小屋からの景色も素敵そうだけれど。
    虫がニガテ、特にうにょうにょしているものや寄生虫の話には卒倒しそうになるので、とても(生理的に)怖かった。
    頭の中で映像化しながら読む自分のクセが恨めしい。

    最初の「帯同馬」で、遠くへ行くのが怖くなり移動手段や距離に限りがある女性を描き、最後の「竜の子幼稚園」では、身代わりガラスを首から下げ依頼人に代わりどこへでも旅に出る女性を描く、という構成になっているのが、なんともいい。

    登場人物は孤独な人たちと書いたが、みんな、どこかで誰かを思い、繋がっている。
    くっきりとでなくても、ふんわりとした関係でも繋がっている。
    だから、淋しいだけの物語集にはなっていない。
    読み始め、不思議に感じた「いつも彼らはどこかに」というタイトルが、読み終わったとき、胸にすとんとおさまった。

    • 九月猫さん
      あやさん、こんばんはーっ♪

      いらっしゃいませ♪
      もっ、いくらでも来てください(笑)

      ひーっ!宇野亜喜良さん!!
      この方も大好...
      あやさん、こんばんはーっ♪

      いらっしゃいませ♪
      もっ、いくらでも来てください(笑)

      ひーっ!宇野亜喜良さん!!
      この方も大好きなんです!!
      寺山修司さんの童話っぽい作品が好きなんですけれど、
      それはもう絶対に宇野亜喜良さんのイラストでないとっ!です♪
      シュールな寺山さんの作品に宇野さんの妖しく幻想的なイラストが
      ぴったりでうっとりしちゃいます♪
      (寺山さんの作品は「なんでも」は読めないのですけれど;)

      ことり祭!!
      なんですか、その魅力的なフェスティバルはっ(笑)
      猫ちゃん本はよく読むけれど、鳥ちゃん本ってあまり読んでない
      ・・・というか、知らないかも(^-^;)
      鳥ちゃん本、「とりぱん」くらいしか持ってないかもーっ!
      あやさんの「ことり祭」のラインナップ、
      ぜひぜひ!ぜひ!!参考にさせてくださいっ!!
      開催の際には参加もしたいです(* ̄∇ ̄*)

      いやホント、幸せな…(アリジゴク)…ですよねぇ(^▽^;)
      2013/07/06
    • 山本 あやさん
      九月猫さん、こんにちはー♡
      またまたまたまたお邪魔しまーす[*´▽`*]

      きゃーっ!
      宇野亜喜良さんに寺山修司さん!
      またまた共通の大好き...
      九月猫さん、こんにちはー♡
      またまたまたまたお邪魔しまーす[*´▽`*]

      きゃーっ!
      宇野亜喜良さんに寺山修司さん!
      またまた共通の大好きが見つかってうれしいですー♡
      お二方ともちょっと妖艶が過ぎて…な本もあって
      読むのが、うーんって本もありますよねー[´ー`;]

      ことり祭、ぜひぜひぜひー!!!
      猫ちゃん本に比べて鳥がモチーフのステキな本って
      数が少ないけれど、鳥も本の題材としてぴったりですよね[*Ü*]
      ワタシもそんな多く持ってないんですが
      ことり祭、一緒に楽しめたらうれしいですーー♪

      先週、溢れた文庫をどうにか…と本棚を増設して
      少しすっきりしたと思ったら、すでに新しく入れるスペースが
      ない状態で[´iωi`]京極さんみたいに、自宅地下に書斎とか
      いいですよね~。絶対ムリだけれど…[笑]
      でも、そんな慢性的な悩みも幸せな…です…よ…ね…うーん…[笑]
      2013/07/09
    • 九月猫さん
      あやさん、こんにちはっ♪

      寺山修司さんもお好きですか?
      うわああ、これまた嬉しいなぁ。
      先に書いてるように、寺山作品は何でも読める...
      あやさん、こんにちはっ♪

      寺山修司さんもお好きですか?
      うわああ、これまた嬉しいなぁ。
      先に書いてるように、寺山作品は何でも読めるわけではないので、
      おこがましくてファンとは名乗れないのですが、好きなんですよねぇ。
      特に童話風味のお話♪
      シュールでリリカルで。
      童話風味なのにエロティックなお話もあったり(^-^;)

      あやさんの星さん本のほうにも参加表明してますが、
      ことりちゃん祭、ぜひぜひ参加させてくださいーーっ!
      あまり鳥さんが出てくるお話が思い浮かばないのですが、
      きっと素敵な本がたくさんあるはずっ。
      新しい出会い(といいつつ、とりぱん再読する気満々ですが)の
      きっかけとなりそうで楽しみです♪

      本棚を増設→なぜかその時点で詰まりきる
      ・・・身に覚えがあるあるすぎて orz し、幸せ、だ、なぁ…(笑)
      2013/07/09
  • いつも彼らはどこかに
    2013.05発行。字の大きさは…小。
    帯同馬、ビーバーの小枝、ハモニカ兎、目隠しされた小鷺、愛犬ベネディクト、チーター準備中、断食蝸牛、竜の子幼稚園の8話の連載短編集。

    動物を題材にした短編を「新潮」に連載したものを書籍化したものです。

    翻訳家が、仕事をする時に、森の彼方此方に不思議な気配を残すビーバーが齧った小枝が、物語の登場人物としてチェスの駒のように組み立てられていることを原作者は、…知ることとなりました。

    【読後】
    物語の中に、又は、物語の最後に動物が登場します。その動物達が突然に現れることが有りビックリさせられます。
    2020.11.04読了

  • 堀込高樹、堀込泰行。二人の兄弟からなるバンド、キリンジ。
    その堀込兄弟によるキリンジとしてはラストとなるアルバム『Ten』
    そこに収録されている『ナイーヴな人々』という曲が、この本を読んでいる間、頭のなかでいつもかすかに流れていた。

    ナイーヴな人々 ナイーヴな人々
    世界をそうっと美しくしてくれるのは
    そういう人だ
    そうだろう?

    『帯同馬』
    『ビーバーの小枝』
    『ハモニカ兎』
    『目隠しされた小鷺』
    『愛犬ベネディクト』
    『チーター準備中』
    『断食蝸牛』
    『竜の子幼稚園』

    自分の気持ちと向き合いながらに静かに生きる人々。
    そして、その心にそっと寄り添う動物たち。

    物語の登場人物たちは内面世界だけをみれば、不器用や愚直さを通り越して奇妙に、あるいは少し狂っているとさえ思う人もいるかもしれない。
    でも彼らはどこにでもいる、もの静かで、少しだけ真面目で、きっと普通の人だ。

    カラオケボックスのソファではくつろげない。
    ファミレスの壁紙をみていると落ち着かない。
    いま売れています、いま流行っています、という大音量を聞くのは疲れる。
    声の大きな人が世の中を動かしているように見えるけれど、小さな声で共感しあう目に見えない大多数の人々がいるはず。
    『いつも彼らはどこかに』

    体にこびりついた垢は、目の粗いタオルでこすりシャワーを浴びて落とせばいい。
    脳みその溝につまった余計なものや、心にたまった澱のようなものは、小川洋子さんの小説が洗い流してくれる。

    一篇ずつ、時間をかけて味わって読んだ。
    騒がしい場所で流し読みするのがもったいないので早起きをした。
    朝五時半に起きて珈琲を淹れて、本を開く。
    土砂降りの休日、薄暗い窓辺で雨音に耳を傾けながらページをめくるのもなかなか乙だった。

    この本は図書館で借りたけれど、きちんと購入して時々読み返したいと思う。

    • まろんさん
      kwosaさん!

      なんとなんと!私、ついさっき、この本を読み終えたところなのです。
      夏バテ中、本棚にとりあえず並べただけでレビューを書いて...
      kwosaさん!

      なんとなんと!私、ついさっき、この本を読み終えたところなのです。
      夏バテ中、本棚にとりあえず並べただけでレビューを書いていない本がまだ残っているので
      とりあえずタイムラインを遡って、ブクログ仲間さんのレビューを拝見してから。。。
      と思ったら、なんと今日の日付でkwosaさんのレビューが!
      こんなうれしい偶然があるんですね。

      切り取られる風景、ビーバーの骨から檻の中のチーター、身代わりガラスなど
      描かれるモチーフの不思議な存在感。
      ことばのひとつひとつが、疲れ気味だった身体に沁みわたっていくようでした。
      早起きして静かにこの本の頁をめくるkwosaさん。
      まさにこの本の世界に溶け込んでいくような風景が目に浮かびます。

      こんな素敵なレビューのあとに、何を書いたらいいのか今は途方に暮れていますが
      この余韻に思う存分浸ったら、感動がどうにか伝わるよう、
      がんばってレビューを書いてみようと思っています。
      2013/08/26
    • kwosaさん
      まろんさん!

      花丸とコメントをありがとうございます。

      なんと! まろんさんもお読みになったのですね。
      なんだか僕も嬉しいです。

      今年な...
      まろんさん!

      花丸とコメントをありがとうございます。

      なんと! まろんさんもお読みになったのですね。
      なんだか僕も嬉しいです。

      今年な特に暑さが厳しかったですが、夏バテ中とのことで心配しております。
      あまりご無理なさいませんように。

      『いつも彼らはどこかに』
      よかったですね。
      小川洋子さんの静謐な世界。
      小川さんの美しい言葉と物語を前にすると、もう僕は余計なことは何も書かなくていいのではないかと思ってしまい、なかなか筆が進みません。
      だから作品世界に深く言及するのはやめにして、なんとなく感じたことをどうにかこうにか並べてみました。

      小説で語りたいことは小説のなかで完結しているのですから、元来は感想をあれこれ書くことは野暮なことかもしれません。
      でも、面白い本や素敵な本に出会ったら、これよかったよ! ってやっぱり薦めたい。
      そうやって互いにブクログを通じて、たくさんの本に巡り会いたいですもんね。

      じつは僕も少々夏バテ気味。
      なかなか本が読めずに、レビューが書けずにいます。
      2013/08/31
  • 小川洋子さんの短篇集。8つの物語が収められています。
    特に好みだったのは「目隠しされた小鷺」「チーター準備中」「竜の子幼稚園」。
    「断食蝸牛」のラストシーンには背筋がぞぞぞっと寒くなりました。

    小川さんの文章を読んでいると、いつの間にか物語の中のものに肌で触れているような錯覚を覚えることがあります。
    ウサギの胃袋の中にある黒々としてつややかな2つの球や、象牙のようにすべすべしたビーバーが齧った小枝、なめらかな曲線を描くひんやりとした身代わりガラス。
    そういったものたちが、ふと気付くといつのまにか手の平の中にあるように感じるのです。

    スーパーのデモンストレーションガールや日めくりカレンダーをめくる朝食専門食堂の男、「アルルの女」を流しながらやってくる修理屋…。
    この世界の片隅で誰の邪魔にもならないよう、ひっそりと生きている人々。
    彼らの孤独で、慎ましくひたむきな生き方に敬意を払わずにはいられません。
    きっと彼らはいるのでしょう、この世界のどこかに。

    • 九月猫さん
      すずめさん、こんばんは♪

      「断食蝸牛」、ぞぞぞぞ~っ!でしたよね(^-^;)
      虫がニガテなわたしでも、カタツムリくらいは
      「かわい...
      すずめさん、こんばんは♪

      「断食蝸牛」、ぞぞぞぞ~っ!でしたよね(^-^;)
      虫がニガテなわたしでも、カタツムリくらいは
      「かわいいヤツ」という認識でしたが、
      このカタツムリは……。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。

      って、せっかくの小川さんの静かできれいな短編集と
      すずめさんのステキなレビューに
      こんなコメントですみません(^-^;)
      2013/07/20
    • すずめさん
      九月猫さん、こんばんは!
      コメントありがとうございます(*^^*)

      ぞぞぞっ・・・ですよねw
      「断食蝸牛」は冒頭からなんとな~く不穏な感じ...
      九月猫さん、こんばんは!
      コメントありがとうございます(*^^*)

      ぞぞぞっ・・・ですよねw
      「断食蝸牛」は冒頭からなんとな~く不穏な感じがすると思っていたのですが、期待(?)を裏切らない結末でした。

      このぞわぞわ感を九月猫さんと共有できてうれしいです!
      2013/07/20
  • どこかに動物が絡んでくる短編を集めたもの。
    小川洋子さんらしい、ひそやかで切ない、心あたたまるというか、心が鎮まるような世界です。

    「帯同馬」
    スーパーで試食販売の仕事を続けている女性。
    モノレールで行ける範囲に限っていた。その理由とは。
    フランスで開催される競馬の凱旋門賞に出る名馬の緊張を和らげるため、付き添いで行く帯同馬に、思いをはせる‥

    「ビーバーの小枝」
    20年も自作を翻訳してくれていた翻訳者が亡くなり、家を訪問する作家。
    森の中にある家は快適で、その森にはビーバーが住む。
    翻訳家はビーバーが齧った小枝を机の上に乗せていた。

    「ハモニカ兎」
    町のシンボルであるハモニカ兎。
    その看板に、「オリンピックまであと何日」という日めくりが掛けられ、それをめくる仕事を担当する男。
    ところが‥?

    「目隠しされた小鷺」
    修理屋の老人はなぜか「アルルの女」をテーマ曲に流していた。
    小さな美術館の受付をしている女性は、老人がたびたび来館するため、しだいに顔なじみになる。
    修理屋もほとんど客がないようだったが、ある日‥

    「愛犬ベネディクト」
    学校に行かなくなってしまった妹は、ドールハウス作りに熱中するようになった。
    妹の入院中、愛犬ベネディクトの世話を頼まれる兄と祖父。
    ベネディクトとは‥

    「チーター準備中」
    hを手放してから何年たつか、考えないことにしている女性。
    動物園の売店で働いているたある日、チーター(Cheetah)のスペルにhが入っていることに気づく。

    「断食蝸牛」
    断食施療院に入院している女性。
    風車を見物に行くのを楽しみにしていたが‥思わぬことに?

    「竜の子幼稚園」
    調理補助の仕事を定年で辞めた後、身代わり旅人の仕事に就いた女性。
    身代わりガラスに依頼主の決めた小さなものを入れて首にぶら下げ、代わりに各地へ出向くのだ。
    代わりというよりも、一緒に行く気配を感じ取っていた‥

    センスのいいタイトルで、中身を期待させますね。
    淡々と働いている人々のささやかなこだわり、胸の奥にある悲しみ、目に映る光景の中のきらめき、意外なことが呼び起こす一瞬の思い。
    丁寧な文章に吸い込まれるように、どこかの世界に自分も入り込んでいる‥
    切なさとともに、じんわりと染み入るように、静かな喜びがこみ上げてきます。

  • 何かしら動物が出てくる短編集。
    動物たちは、そんなにがっつりとは物語に絡んで来ないが、さり気なくひっそりと寄り添ってくる感じ。まさに「いつも彼らはどこかに」というタイトル通り。
    ビーバーの骨の話と、最後のタツノオトシゴの話が良かった。かたつむりは思わず検索してしまい、寒気がした…。

  • ただ生きているというだけのことに意味を持たせようとしてしまう。
    そんな生き方をやんわりと否定しているように思える作品。

    偽りの思い出を得意げに語る小母さんの哀しさや、手製のドールハウスの中で静かに生きる少女の儚さや、3月3日が背負ってしまった喜びと絶望が、なぜかとても優しい。
    小川洋子さんの作品を読んでいると、誰かの大切な記憶の中をこっそりと垣間見てしまったかのような少しの罪悪感と、その人の悲しみを見て慰められたことによる苦味がかすかに残るように思う。
    自分とは違う。けれどよく似た絶望を知っている登場人物たちの不器用だけど実直な生き方にいつの間にか救われている。
    私ももう少し頑張らなくちゃと思う。
    そう素直に思えるのはこの作品が決して「頑張れ」とは言わないからなのかもしれない。
    どこにも行かなくても、目の前の壁から目をそらしていても、そこに立ち続けていることの頑張りを認めてくれている気がする。
    そんな優しさを感じました。

  • 誰から見ても、本人的にも、
    いつでもどこでも幸せ、そんな突き抜けるような
    幸福感に満たされている人間は世界広しと言えども
    そう簡単には見つからないだろう。

    ある程度の年齢を迎えれば、
    なんでも自分の思い通りにはいかないことを知るし、
    大切な人が自分の傍を離れていく悲しみや
    自分一人の心の奥に抱える孤独感、
    この先自分はどうなってしまうのかわからない不安、
    納得できないような気持ちの悪い不公平感など、
    幸福とは対極にある感情達の存在を知る。
    受け入れたくないのに
    力づくで入り込まれて、
    なんとか自分なりにやり過ごさなくてはならない
    気持ちを一通りは体験済みである。

    そんな複雑な感情を道連れにして、
    人は日々生きていくのだが、
    しかし、そんな「生きること」の積み重ねである
    毎日もそんな「苦難」だらけで
    出来ているわけでもない。

    ささやかな喜びや気がつけば
    そっと近くにいる小さな生命に
    心が温められる時もある。

    そんな生きることを
    コツコツ積み重ねる人々と
    小さな生命の交流の物語。

    この作品集では、人間同士の交流は
    あまり上手く出来ない、少し不器用な人々が、
    自分の周りにいる動物たちに「救われる」、
    「思いを寄せる」話が多く収録されている。

    職業も環境も、過去も違うのに、
    何故か登場人物達に気持ちが重ねることが出来て、
    少し戸惑う自分がいる。

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小川洋子の作品

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