ねじれた絆: 赤ちゃん取り違え事件の十七年

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104049011

作品紹介・あらすじ

昭和四十六年沖縄-看護婦のミスにより、生後まもない赤ちゃんが取り違えられた。だが、それは悲劇の始まりに過ぎなかった。病院との裁判、子供の再交換、悩み抜いた果てに実行した二家族の「合体」。愛娘誕生から六年後に取り違えに気づいた二家族それぞれの生きざまを十七年間にわたり克明に取材した感動のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 沖縄の病院で生まれたばかりの子供が取り違えられ、6年後に本来の親元に戻された実話。産みの親と育ての親、血の繋がりは何物にも変えがたく強力ではあるけれど、愛情のこもった育ての縁もまた強いものだと思った。

  • ■ 14163.
    〈読破期間〉
    2014/8/9~2014/8/13

  • 杉山さんのレポには及ばないなあ。
    「女性自身]らしい書きぶり。

  • 産院で赤ちゃんが取り違えられた事件を追って、成人するまでが書かれている。
    本の中では6歳の子どもが取り違えられたことが発覚して、実の親にもどされることになった。

    それぞれの親、家族は、実の子どもを迎えその教育、しつけ、に悩む。
    そして、6歳になるまで育てた他人の子どもに対する離れがたい思い。

    赤ちゃん取り違え事件が発覚すると、そのほとんどは実の親に戻されるという。
    それぞれの親はそれが正しいことだったのか、悩み続ける。

    6歳まで育てた子を手離すことはできない。じゃあ、5歳は、4歳は2歳は1歳は?

    自分が産んだ血がつながった子どもも育てたい。その気持ちもよくわかる。

  • 「そして父になる」の原案となった沖縄赤ちゃん取り違え事件。子を持つ親として想像しただけで辛すぎて映画も観る気になれなかったのだけど、実際の事件の結末を知りたくて読んでみることに。やはり途中辛くて苦しくて飛ばしながら読む。

    印象深かったこの一文。
    「たとえ血を分けた子供がいたとしても六年間も育てた情を断ち切れるはずがないとタカをくくっていたのだが、対面した瞬間から脆くも崩れ去ってしまった。似ている!それだけで激しくゆれ動いた…」

    子を想う愛情は、似ていようが何だろうが関係ないと思っていたけど、どこかしら自分と重なる面影を無意識に愛しているのかもしれない…

    この事件は最終的には良い方向に進んではいるけど、当事者たちの葛藤は今も続いているだろう。

    親子って血縁てなんだろう…しばらく頭から離れられないと思う。

  • 映画を先に観て、エンディングロールにこの本のタイトルがあったので読んでみた。
    読みはじめたら、いっきに読めた。親たちも辛いし、それ以上にこども達が新しい親と環境に慣れるのにものすごく大変で心が傷を負うということ。
    同じような経済状況と価値観なら、まだしも、片方の親はネグレクストに近い状態。こんな家に引き取られた方はたまらないわ。
    結局、こっちの子は血ではなく情を選ぶ。

    もし、わが子が他人の子だったら、でも、手離すなんて出来そうにない。
    でも、血のつながったわが子も気になる。
    ほんとに寝込んで欝病になるくらい悩むと思う。

  • 子どもの取り違えという稀有な経験をさせられた二組の家族。
    この本が本当のことを書いているなら、テレビのドキュメンタリーは嘘だし、テレビのドキュメンタリーが本当なら、この本は嘘を書いていることになります。
    この本が真実を書いているなら、被害家族、特にとり違えられた子どもの妹達にとって、書籍化は酷過ぎるでしょう。
    血の絆と情の絆のどちらが強いか、大事か、それは確かに世に問う価値のあるテーマ。でも、無辜の庶民のプライバシーを世に晒して、被害家族の傷を深めてまでするべきことだったのでしょうか。
    本は事件の発生から17年後に刊行されています。取材をするのはいいけれど、発表はもっともっと待った方がよかった気がします。普遍的なテーマだからこそ。

  • 6年間育ててきた子どもが他人の子どもだった。血液検査により出生時の取り違えが発覚。発覚時から二人の子どもが成人するまでが描かれる。双方の両親の苦難、子どもたちの悲痛な思い。「血」と「情」、美津子は後者を選んだと書かれているが、「血」と「情」というより環境のような気がしないでもない。美津子の実親の環境が違っていれば結果も違ったのではないか。血液型が異なっていたから発覚しているけど、たまたま血液型が同じで発覚していないケースもあるんじゃないかって思った。

  • 沖縄で起こった赤ちゃん取り違え事件。6歳で発覚した女児の取り違え。双方の親、そして子どもの言葉にできない苦しみ。育てたからこそ親の愛は育まれる。そして生んだからこそいとおしい。

    成人式を過ぎオトナになった時点でのインタビューに答える二人の娘の心境も複雑だ。二人は「友達以上、姉妹未満」との対応に少しホッとする。
    似ている環境、同じ地域で住まなければならなかった軋轢もある。しかし教育への考え方、躾等々「氏より育ち」的なことはあるように思えた。
    だから、育てれば他人の子どもでも自分の子だ。子どもをきちんと責任もって庇護し共存を大切にしていけば、子どもにも伝わるんだと・・・。

    丁寧な取材、そして親子という関係に真摯に向き合った良質のルポ。今後、こんな切なく辛い事件がおきないように祈る。

  • 家族にとって大切なのは血か情か。証明するのが難しい問題の答えの一つが、描かれている。

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著者プロフィール

奥野 修司(おくの しゅうじ)
大阪府出身。立命館大学経済学部卒業。
1978年より移民史研究者で評論家の藤崎康夫に師事して南米で日系移民調査を行う。
帰国後、フリージャーナリストとして女性誌などに執筆。
1998年「28年前の『酒鬼薔薇』は今」(文藝春秋1997年12月号)で、第4回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞受賞。
2006年『ナツコ 沖縄密貿易の女王』で、第27回講談社ノンフィクション賞・第37回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
同年発行の『心にナイフをしのばせて』は高校生首切り殺人事件を取り上げ、8万部を超えるベストセラーとなった。
「ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年」は25年、「ナツコ 沖縄密貿易の女王」は12年と、長期間取材を行った作品が多い。
2011年3月11日の東北太平洋沖地震の取材過程で、被災児童のメンタルケアの必要性を感じ取り、支援金を募って、児童達の学期休みに
沖縄のホームステイへ招くティーダキッズプロジェクトを推進している。
2014年度より大宅壮一ノンフィクション賞選考委員(雑誌部門)。

「2023年 『102歳の医師が教えてくれた満足な生と死』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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