- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104066025
感想・レビュー・書評
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人と時間の関係をモチーフに描いた、ファンタジー調のボーイ・ミーツ・ガール小説。
時空を超えて出逢った、ひと組の男女の淡い恋愛。
思考実験的な要素を随所に散りばめながら、断絶された時空を超えて愛を確かめ合うことの喜びや孤独さを浮き彫りにしている。
最高に盛り上がるのが、主人公の男女が出逢う場面。
切迫した状況の中、お互い真剣になればなるほど空回りしてしまう男女の滑稽さを、スリリングかつユーモラスに描いているあたり。
登場人物にも非常に好感が持てるのもこの作品の魅力だった。
特に主人公の森真希の人物造形が素晴らしい。
優しくて、寂しがりやで慎重。そして少し我が儘な29歳の女性を、瑞々しく描いている。 -
前作の「スキップ」に続き、読んでみた。
「スキップ」とは相当文体が違っている。
同じ一人称でも今度は対話式になっている……!
最初は淡々としていて、展開がまったくないのだが、
ある電話をきっかけに急展開を見せる。そこからが面白い! -
図書館で借りた作品。とんでもない事態が起こっている中でも、静かで暖かく、そして優しい語りは崩れません。ヒロインの心理描写や言葉は心にじんわり染み入ります。
刺激のある作品というわけではないけど、ゆっくり本の世界に入りたいという人にオススメできます。 -
正直、前半は退屈でした。が、あるポイントからスイスイと読み進むことができました。
事故後にターンする。
きっと、そういうことだろうな・・・と云う予感は見事に的中したけれど、1本の電話から始まるつながりはファンタジーであり、希望でもありました。二人の微妙かつ惹かれていくさまも自然で、ラストまで綺麗にまとまっていて「なるほどな。」でした。
ハッピーエンドは清々しい。 -
真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子でまどろみから目覚める自分がいた。3時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人のほか誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。いつかは帰れるの?それともこのまま…だが、150日を過ぎた午後、突然、電話が鳴った。
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事故後気づくと《くるりん》の中に入ってしまった版画画家、森真希<br /><br />色あせていく《くるりん》の中にできた外とのつながり、君<br />元に戻るためには何が必要なのか<br /><br />時と人三部作の第二作<br />これは第三作リセットでどうなるのか、期待<br /><br /><br />あと、ライオンハート 恩田陸と似ているなと思った<br />より日常を描くターンと、より愛を描くライオンハート<br />どうぞ読んでみてください<br /><br /><br />そういえば、街の灯でも出てきた仏法僧<br />この前科博で見つけた、偶然<br />…うん、声が聞けないとね<br /><br /><br /><br />------------------------------------------------------------------------------------<br />スライスチーズが床に落ちた。<br /><br />第三章5<br /><br /><br /><br />君は、くるりと振り返って、《フウの木》にいう。<br />「わたしは、真希よ」<br />そうか、と木は、葉を鳴らした。<br /><br />第四章3<br /><br /><br /><br />どうしようもないものが、胸に込み上げて来た。<br />―――わたしは、このまま一人なのか。<br /><br />第四章7<br /><br /><br /><br />わざわざ出掛けて行くのは、馬鹿のやることだ。<br /><br />第五章3<br /><br /><br /><br />馬鹿だから来た。<br /><br />第五章4<br /><br /><br /><br />戦慄と旋律は、同じ音だと、ふと思った。慄えが、ゆっくりと、柔らかな音楽でも聴くような、くすぐったい嬉しさに変わった。<br /><br />第五章4<br /><br /><br /><br /><br />あの本は、確かに《ある》んだ。大事なのは、そこだ―――と考えれば、ね、手に入れられる、入れられない、なんて、―――実は、たいしたことじゃあないんだよ。きっと。<br /><br />第七章4<br /><br /><br /><br />……ひょっとしたら生まれた時から<br /><br />ひょっとしたら、生まれる前から<br /><br />第七章7<br /><br /><br /><br />「会ってるじゃないか」<br />そういわれて、一瞬、震えた。泉さんは続けた。<br />「面と向かったって、会っていない人たちはいくらもいるよ」<br /><br />第八章5<br /><br /><br /><br />「普通にいえば、また別のいい方も……」<br /><br />「出来ますものね」<br /><br />第八章6<br /><br /><br /><br />わたしは、その《やさしさ》を餌代わりにしているのではないか<br />。<br /><br />第八章8<br /><br /><br /><br />愛情というのは、自分が《第一》ではなくなることだと思います。<br /><br />第九章3<br /><br /><br /><br />……わたしとしては、嬉しいなあ<br /><br />第十章2<br /><br /><br /><br />●<br />戦慄が走った。人間は、知恵を手に入れ、その代償として死を知らされた。自分が有限であることを知ってしまった。その最も古い恐怖が、わたしを襲った。<br />同時に、今、目の前を過ぎ行く一瞬一瞬がたまらなく愛しいものとなった。<br /><br />第十章9<br /><br /><br /><br />不毛なのは《毎日》ではなく《わたし》だった。<br /><br />第十章9
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うあああ。面白い!
数年前、映画を借りて観た記憶が。
原作のがオモチロイね。当り前やけど。