ターン

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104066025

感想・レビュー・書評

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  • この単行本がでた直後くらいに(97年か)買って、
    一度読んだ本です。

    「時と人」三部作の、これが第一作目かと思ってましたが、
    一作目は「スキップ」でしたね。

    改めて読んで「ターンって、こんな話だったっけ?」と
    最初は思ってましたが、だんだんと「そうそう、こんな話だった」
    と思い出してきました。

    ちょうど先日、「乙女の美術史」を読んだところで、
    そこに出てきたカミーユ・クローデルのことがここにも
    出てきて、昔は「誰ですか」と思ってたこともしっかりと
    わかってる上で読めて、タイムリーでした。

    同じ1日を、何度も繰り返す。しかもたった一人で。
    そんなことになったら、私は一体どうするだろうなぁ。
    とりあえずしばらくの間は、好きなところに行って、好きなものを
    食べ、好きなものを見て、好きな本を読んだりするけど、
    すぐ嫌になるだろうな。
    ゲームなんてやってて、セーブしても無駄なんだし。
    そこにかかってきた、一本の電話。
    しかも相手は異性で、好ましい感じ。
    いや~、好きになるでしょ。

    しかし、最後の辺りで出てきた柿崎君。
    この人は、登場させる意味あったのかな?
    出てきたほうがドキドキ感があったのは確かだけど。

  • 3部作のうちのひとつ。
    スキップ読んだので読みたくなって借りて来ました。

    おんなじところに戻ってくるってことは単調な生活なわけであって、書くのも大変だろうなぁと思いました。
    導入部はスキップの印象が強くてなかなか世界観になれることができず。
    でも後程説明はバッチリ来るので大丈夫。

    どうしても三部作だから比べてしまうけど、スキップのほうが扱ってること、内容全てにおいて優れてる気がする。
    どうも淡々としていて、あまり進化のないイメージ。

    電話が一人とだけ繋がるってのはロマンチストな私にはよし!でした(笑
    でも面白いですよー。


    @図書館本

  • 人と時間の関係をモチーフに描いた、ファンタジー調のボーイ・ミーツ・ガール小説。

    時空を超えて出逢った、ひと組の男女の淡い恋愛。

    思考実験的な要素を随所に散りばめながら、断絶された時空を超えて愛を確かめ合うことの喜びや孤独さを浮き彫りにしている。

    最高に盛り上がるのが、主人公の男女が出逢う場面。
    切迫した状況の中、お互い真剣になればなるほど空回りしてしまう男女の滑稽さを、スリリングかつユーモラスに描いているあたり。

    登場人物にも非常に好感が持てるのもこの作品の魅力だった。
    特に主人公の森真希の人物造形が素晴らしい。
    優しくて、寂しがりやで慎重。そして少し我が儘な29歳の女性を、瑞々しく描いている。

  • 再読。
    「時と人」3作シリーズの内2作目にして、一番のお気に入り作品です。

    事故後気がつくと、日付は前日で自分以外誰もいない世界だった。
    そして何をやっても一定の時間になると事故前日に戻ってしまう。
    そんな時の牢獄みたいなものに閉じ込められた女性のお話。

    初めは登場人物一人の場面なのに『天の声』と会話してて戸惑いましたが、読んでるうちに慣れた上、その声の正体がわかってからは更に楽しめました!

    それにしても、「スキップ」でも思ったのだけど、私が同じ状況だったならきっと持たないだろうなあ。
    女性は強しということか

  • 前作の「スキップ」に続き、読んでみた。

    「スキップ」とは相当文体が違っている。
    同じ一人称でも今度は対話式になっている……!

    最初は淡々としていて、展開がまったくないのだが、
    ある電話をきっかけに急展開を見せる。そこからが面白い!

  • 図書館で借りた作品。とんでもない事態が起こっている中でも、静かで暖かく、そして優しい語りは崩れません。ヒロインの心理描写や言葉は心にじんわり染み入ります。
    刺激のある作品というわけではないけど、ゆっくり本の世界に入りたいという人にオススメできます。

  • 正直、前半は退屈でした。が、あるポイントからスイスイと読み進むことができました。
    事故後にターンする。
    きっと、そういうことだろうな・・・と云う予感は見事に的中したけれど、1本の電話から始まるつながりはファンタジーであり、希望でもありました。二人の微妙かつ惹かれていくさまも自然で、ラストまで綺麗にまとまっていて「なるほどな。」でした。
    ハッピーエンドは清々しい。

  • 真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子でまどろみから目覚める自分がいた。3時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人のほか誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。いつかは帰れるの?それともこのまま…だが、150日を過ぎた午後、突然、電話が鳴った。

  • 事故後気づくと《くるりん》の中に入ってしまった版画画家、森真希<br /><br />色あせていく《くるりん》の中にできた外とのつながり、君<br />元に戻るためには何が必要なのか<br /><br />時と人三部作の第二作<br />これは第三作リセットでどうなるのか、期待<br /><br /><br />あと、ライオンハート 恩田陸と似ているなと思った<br />より日常を描くターンと、より愛を描くライオンハート<br />どうぞ読んでみてください<br /><br /><br />そういえば、街の灯でも出てきた仏法僧<br />この前科博で見つけた、偶然<br />…うん、声が聞けないとね<br /><br /><br /><br />------------------------------------------------------------------------------------<br />スライスチーズが床に落ちた。<br /><br />第三章5<br /><br /><br /><br />君は、くるりと振り返って、《フウの木》にいう。<br />「わたしは、真希よ」<br />そうか、と木は、葉を鳴らした。<br /><br />第四章3<br /><br /><br /><br />どうしようもないものが、胸に込み上げて来た。<br />―――わたしは、このまま一人なのか。<br /><br />第四章7<br /><br /><br /><br />わざわざ出掛けて行くのは、馬鹿のやることだ。<br /><br />第五章3<br /><br /><br /><br />馬鹿だから来た。<br /><br />第五章4<br /><br /><br /><br />戦慄と旋律は、同じ音だと、ふと思った。慄えが、ゆっくりと、柔らかな音楽でも聴くような、くすぐったい嬉しさに変わった。<br /><br />第五章4<br /><br /><br /><br /><br />あの本は、確かに《ある》んだ。大事なのは、そこだ―――と考えれば、ね、手に入れられる、入れられない、なんて、―――実は、たいしたことじゃあないんだよ。きっと。<br /><br />第七章4<br /><br /><br /><br />……ひょっとしたら生まれた時から<br /><br />ひょっとしたら、生まれる前から<br /><br />第七章7<br /><br /><br /><br />「会ってるじゃないか」<br />そういわれて、一瞬、震えた。泉さんは続けた。<br />「面と向かったって、会っていない人たちはいくらもいるよ」<br /><br />第八章5<br /><br /><br /><br />「普通にいえば、また別のいい方も……」<br /><br />「出来ますものね」<br /><br />第八章6<br /><br /><br /><br />わたしは、その《やさしさ》を餌代わりにしているのではないか<br />。<br /><br />第八章8<br /><br /><br /><br />愛情というのは、自分が《第一》ではなくなることだと思います。<br /><br />第九章3<br /><br /><br /><br />……わたしとしては、嬉しいなあ<br /><br />第十章2<br /><br /><br /><br />●<br />戦慄が走った。人間は、知恵を手に入れ、その代償として死を知らされた。自分が有限であることを知ってしまった。その最も古い恐怖が、わたしを襲った。<br />同時に、今、目の前を過ぎ行く一瞬一瞬がたまらなく愛しいものとなった。<br /><br />第十章9<br /><br /><br /><br />不毛なのは《毎日》ではなく《わたし》だった。<br /><br />第十章9

  • うあああ。面白い!
    数年前、映画を借りて観た記憶が。
    原作のがオモチロイね。当り前やけど。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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