1950年のバックトス

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104066063

感想・レビュー・書評

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  • ホラーな話もあるけど、心が温かくなるようなお話が嬉しい。
    年を重ねて旅行に出た夫婦や、婚約者の母から指輪をもらう話など。
    表題作の時を超えた再会に感動。
    タイトルの意味にぐっとくる。

  • 『月の砂漠~』『ひとがた流し』と再読した流れでこちらも再読。
    様々な色で魅せてくれるショートショート集。
    表題作、「昔町」「アモンチラードの指環」「万華鏡」あたりが好きです。
    そしてなんといっても「ほたてステーキと鰻」。
    短い作品ではあるものの、さきちゃんとお母さんのその後が描かれていて、嬉しい1篇。
    北村さんの作品を読むと、その文章の美しさにほっとする。

  • 全23話収録の短編集。
    ぞくっとくるホラーあり、くすっとした笑いあり、不思議なミステリーあり、
    まさに北村薫の魅力を少しずつ収めた導入本のような立ち位置に思えます。
    1話あたりが10ページちょっとなので、サクっと読めます。
    この手軽さも魅力ですが、半分物足りなさも覚えます。
    彼のファンならばやはり短編よりも、じっくり読める長編なのかも。

    ベスト3をあげるならば、個人的に「百物語」「洒落小町」「1950年のバックトス」でしょう。
    「百物語」は北村ミステリーの中でもちょっと異質。
    しかし、空想の恐怖を身近なものとするあたりの上手さってば、さすが。
    「洒落小町」は北村薫のもう一つの顔。落語に近からず遠からず、
    まさかの”ダジャレ”オンパレード。
    でも若夫婦のライフスタイル・ストーリーがしっかりしてて、
    それに合わせたセリフに上手く挿入されて面白い。というか上手い。
    「包丁ドキ胸(北条時宗)」「原稿(元寇)」なんてオチもあってなおよろしい。
    「1950年~」は表題作なだけあって、完成された作品です。
    時を越えた偶然の出会いを、少年野球をベースに、
    小さな子供を持つ母親の視点から、上手に描いています。

    どれも気軽に読める作品ばかりなので、
    寝る前読書にはもってこいの1冊でした。
    電車の移動中途とかにもぴったりかも。

  • 短編集。本の前半は怖い話。
    何気なくさらりと読ませるがジワっと怖い。包丁の話とか。
    それと、昔町がとても怖かった。あの状況にポツンと一人置かれたら、まるで離人症ではないかと。
    現実感を失うって感覚はとても怖いんだからねっ。

    後半は怖くない話が増えたので、読後感はさっぱりと悪くない。
    洒落小町の膝がガックリするような旦那様のダジャレにニヤニヤし、表題作のお祖母ちゃんニコニコし。
    林檎の香に縁というものを思って背中を押したくなりして、怖い話を忘れて本を閉じた。

  • 2012.3.20読了。

    「生涯を考えるなら、生まれたポイントから始まり、最後の点に至るまでの、移動の道筋というものは誰にも必ずある。」

  • 短編小説集で、途中北村さんらしい小難しい謎解きなどもあり
    そこで、忍耐力がなかった時期に読んだらしく挫折していた跡があった
    今回は最初から最後まで、それぞれの短編がおもしろかった
    北村さんの小説は、やさしくていて淡々としていると思う
    短編になるとその感覚が更に深まるようなきがする

  • そうなのだ。これが『短編』が『短編』であることの所以なのだ!!

  • 短編集。
    安心して読めた。どれも良作。

    読み終わったときの、気持ちの持ちようをこれほど変化させられるのってすごいなと思う。
    あげればきりがないが、いくつか。
    「ふっくらと」
    祖父の説明書の読み込み方がかわいらしいぶん、孫からのメールの内容を読んでいる。その心情の深さにほっこりさせられる。
    「凱旋」
    戦争を知らない、私であっても胸に迫るものが有る。こういうものを沢山、読まないと戦争にもう触れられない、それでも戦争自体は迫ってくるという、苦しい時代になってきている。
    「1950年のバックトス」
    女の強さを感じた。あの時代の人々がリンとしているのは、こういう体験を経ているからだろうな。気持ちの芯が強い。私たちよりもよっぽど、生死に近いところで生きてきたものたち特有の強さだ。

  • 短編集でさらっと読める。言葉遊びのような文章。北村薫の本を読むと日本語が美しいと感じる。

  • 2009/08/11-2009/08/15

著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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