きみの友だち

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著者 : 重松清
  • 新潮社 (2005年10月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104075065

きみの友だちの感想・レビュー・書評

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  • 恵美は、もともと友だちが周りにたくさん群がる人気者だった。
    でも、交通事故にあって松葉づえなしには歩けなくなってから、友だちに壁をつくり、そのうちにひとりぼっちになる。
    孤独を邁進する恵美は、身体が弱くおっとりした由香と、あることをきっかけにして絆を深めていく。

    主人公の「きみ」ごとの短編。少しずつつながって、最後に大きなひとつの物語となる。
    ・あいあい傘(恵美)
    ・ねじれの位置(恵美の弟のブン)
    ・ふらふら(恵美のクラスメイト・八方美人の堀田ちゃん)
    ・ぐりこ(ブンの友だち、お調子者の三好くん)
    ・にゃんこの目(恵美のクラスメイト・友だちに彼氏ができたハナちゃん)
    ・別れの曲(ブンの先輩・いきがってるけどダメダメな佐藤くん)
    ・千羽鶴(恵美のクラスメイト・いじめで転校してきた西村さん)
    ・かげふみ(ブンの親友兼ライバル・コンプレックスむくむくのモト)
    ・花いちもんめ(恵美と由香)
    ・きみの友だち(語り手)

    「きみ」に対する語りかけで始まる独特な書き出し。
    「きみ」は、弱虫で、認められたくて、寂しくて、コンプレックスの塊で…。誰もが覚えのある、ふがいない自分自身への呼びかけでもある。
    どの子にも、かつての「自分」がいた。

    そして、各章は、女子と、男子とが順番に並ぶ。
    有川浩さんが「ひろ」で女性で、荒川弘さんが「ひろむ」で女性で、それぞれびっくりしたことがあったけれど、重松清さんも実は「きよ」で女性だったのか!?
    と、奇天烈なことを思いついてしまうほど、中学生、思春期の女子の面倒くささや心情の動きがこまやかで。
    女子の友だち関係と、男子の友だち関係って、だいぶ違うんだな。
    みんなに交じっていれば安心なのに、「みんなぼっち」、みんなといるのに孤独、という女の子。
    あいつに認められたくて、でもあいつにかなわない俺を直視したくない男の子。

    最後に語り手が登場するんだけれど、この最終章だけはちょっと微妙と思ってしまった。
    個人的には、語り手は表に出てきてほしくなかったなぁ。
    その最終章は抜きにして、実に重松さんらしいすばらしい作品だった。
    「いなくなっても一生忘れない友だちが、一人、いればいい」
    「わたしは『みんな』って嫌いだから。『みんな』が『みんな』でいるうちは、友だちじゃない、絶対に」

    私にとって、もう友だち関係であれこれ悩むような日々は去ってしまったけれど、友だち関係に現在進行形で悩む子たちにはぜひ読んでもらいたい。

  • 社会問題となっているいじめなどの問題に、マイペースで肩の力を抜いて、気の合う人とだけ付き合えば良いこと、社会に出れば実はみんなそうしてることを伝えてるのだと思う。学校という世界では、100点を取って、みんなと仲良くできることを優秀と呼ぶんだけど、それも足が速い、絵が上手い、人を思いやれる、優しい、と同じ単なる1つの能力、長所なだけなんだよな。。そこだけがやたらフォーカスされるからバランスが悪く、居心地が悪くなる。嫌なことなら逃げてよいんだよ。逃げ方も人それぞれでよいんだよ。

  • この中の「きみ」のひとりは私かも知れない。今そのただ中にいる「きみ」にはヒントになるかも知れない。

  • 「友だち」や「親友」の定義のレベルが落ちている現代。SNSなどで直接顔を合わさずに、悩みを共感したり喧嘩をする関係が「友だち」と言えるのか。安易な人間関係が、近年の不条理な事件の原因になっている気がする。
    「いなくなっても一生忘れない友だちが、一人、いればいい」「一生忘れたくないから、たくさん思い出がほしい。だから『みんな』に付き合ってる暇なんてない」
    とてもハードボイルドだ。でもハードボイルドな人生は生きづらい。終章のエピソードは、そんな恵美でも認めてくれる周囲がいるというメッセージだと思う。

  • 友だちって何なんだろう。
    自分がいま友だちと思っている人は、学生時代の派閥みたいなものからは自由になって、本当の友だちだとは思うけど、恵美と由香ほどの仲かと言われると自信がない。
    でも比べることはできないし、私は私、彼女は彼女、彼は彼、と認められる存在ならどな仲だっていいのかもしれない。

    それにしても、花いちもんめってシビアな遊びだ。
    あの頃怖れつつも笑いながら参加していた私は、堀田ちゃん的立ち位置だったのかも。
    人の痛みをちゃんと感じられる人になりたいって、いい大人な年齢で今さらだけど思う。

  • 友だちという言葉、クラスの子、いつも一緒にいるみんな。みんなが友だち、そう使う子がほとんど。
    でも、何かあったとき、みんなのなかにいる友だちは豹変する。
    だって、みんなが。と言わない子は本当の友だちと恵美は思う。
    交通事故にあったのは、自分のせい。でも、きっかけはみんな。それを責めて、ミンナノトモダチをなくしたけれど、そうしてわかったことと。最後に残ったもの。
    どっちが絶対にいい。とは思わないけど、なにかつまづいたときに、こういう見方もあるんだよと教えてあげられるような、そんな話

  • 久しぶりに小説で目頭が熱くなり、少し涙が。温かい気持ちになりました。読後感、最高!
    時間を空けてまた読みなおしたい、心が温まる一冊ですね。
    こういう人との距離感や心のつながり、絆を深めていくという、友だちづくりって素敵だなあ。

    この本を読んでいる途中も、
    (重松清さんがこの本を生み出させたねらいや目的に、まんまと私もハマってしまったのでしょうか^ ^)
    ページを読み進めていくたびに
    自然と…
    自分がこれまでの人間関係のつきあいを振り返り、いや、それまでの思い出が断片的によみがえってきます。
    今では、どれもすべてが懐かしい思い出です。
    そのおかげで今の自分がいるんだろうなと思うので、感謝したいです(^_^)

    でも、すべてが楽しい、良い思い出ばかりではなくて、
    私にも『あったなあー、こういうの』と本を読んでいてついつい共感してしまったり、にがい思い出やめんどうだなと当時感じた経験も湧きおこってきます(苦笑)が、、^ ^

    『友だち』ってなんだろう。
    『親友(心友)』ってなんなんだろう。
    その言葉の意味をあらためて考えさせられた、心が温まる一冊でした。

    正直なところ、
    『友だち』と『親友(心友)』の差は、はっきりと答えるのはむずかしくて、今だに明確にわからなかったりするんですが(^_^;)
    『ほんとうの友だち』なら、わかる。

    なかなか会えなくても、心の中にいる。
    いつも一緒にいなくても、むしろ平気で、長い間ずーっと会っていなくて久しぶりに会っても、顔を合わせた瞬間から会っていなかった時間なんてなかったかのような、ふしぎな感覚で違和感なく話ができて、笑い合える、そういう関係こそが友だちなんだろうなと、
    あくまでも私見(^_^;)ですが、この本を読んであらためて感じました。

    重松清さん『きみの友だち』を読み終わった後、自分の友だちについて改めて考え、その友だちのことをもっと好きになりました。
    そして、これからも大事にしたいですね、友だちもこの本も(^_^)

    人づきあい不器用ですけど、不器用なりにもっと大事にしたい。
    不器用だからこそ、もっと大切にできたらいいなと…感じました☆

  • 忘れられない本。今の私を形作ったものの一つです。

  • 「友だち」「みんな」

    この言葉で、ぐん、と嬉しくなったり いたずらに凹んだりする
    そういう言葉に振り回されるのは学生の時だけじゃない
    働いても 子どもを産んでも おばあちゃんになっても
    ずっとそういうのと付き合っていかなきゃならないんだと思うとずーん・・・となる

    でもそういうのを嫌だなと思う反面、人はひとりじゃ生きていけないし、何かしらのコミュニティーにいることの良さも思う

    生きていくのに不可欠なコミュニティーなら、どうして楽に心地よくやれないのだろうね

    うまいつきあい方 出来ればいいのにね


    ひとりになればそういうのから逃れられるんだと思っていたけど、そういうのじゃなかった

    どこにだってある 学校だけじゃない 日本だけじゃない 走っても逃げられない 大人になったって、ぜんぶ分かるようになる訳じゃない

    うれしくなる基準 かなしくなる基準 そういうのをきちんと自分で持とう 合わせて嬉しくならなくていい 無理して悲しくならなくていい

    読み始めたとき、私は自分の子どもをこんなとこに通わせたくないと思ったけど、

    そうじゃなくて、形じゃなく、人の心のほんとの暖かさに気づけるように 形だけのやりとりに惑わされないように そういったことを伝えていこうと思った 

    友だち沢山作らなくてもいい
    友だちと呼べる人がいないときがあったっていい
    でも出会えて良かったなぁと思う人のことはカッコつけずに思い切り大切にしたらいい そういうこと

  • 面白い本はないかと聞かれたらとりあえず、『きみの友だち』と答えるようにしている。

    事故で足を悪くした恵美と、弟の文彦(ブン)のふたりとその友だちの成長の物語。

    小学生。学校と家が世界のすべて。
    事故により、恵美は足の自由とクラスの友人を失う。そして由香に出会う。
    ブンはクラスのガキ大将。勉強も運動も彼に敵わない。やってきた転校生に負けて初めて友情を知る。

    中学生。女の世界は恐ろしい。
    女子の仲良しグループは敵を作ることで完成する。敵になってしまった子と接する恵美と由香。ふたりはさみしいわけじゃないし、何もわかってないわけじゃない。それに気づいた堀田さん。
    女の世界で心が疲れてしまう子もいる。そんな花井さんにもふたりは優しくするわけじゃない。ふつうに接する。
    すこし空回りしてしまう子もいた。西村さん。入院している由香に千羽鶴を贈ろうとするが恵美にそれをつっぱねられる。辛い過去を引きずる西村さん。

    男子中学生だって世界が広がる。
    先輩後輩の礼儀もあるし、力の差もはっきりでてくる。ブンと親友のモトと三好くん、佐藤先輩、それぞれの成長。男子からひとりの男へ変わる時期。
    彼らが成長するのは何かを失ったり、失いそうになったとき。いつだってそう。
    尊敬できる友だちが先輩にしめられそうになったとき。部活で後輩をケガさせたとき。失恋したとき。自分が選ばれなかったとき。
    辛いときになってやっと自分を客観的に見ることができる。辛さだけが人を成長させる。

    恵美と由香。恵美に成長させられたブン。彼らの周りで一回りも二回りも成長していった人々。彼らこそが恵美の友だちであり、由香の思い描くもこもこ雲なんだと思う。

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