きみの友だち

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104075065

感想・レビュー・書評

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  • 「友だち」「みんな」

    この言葉で、ぐん、と嬉しくなったり いたずらに凹んだりする
    そういう言葉に振り回されるのは学生の時だけじゃない
    働いても 子どもを産んでも おばあちゃんになっても
    ずっとそういうのと付き合っていかなきゃならないんだと思うとずーん・・・となる

    でもそういうのを嫌だなと思う反面、人はひとりじゃ生きていけないし、何かしらのコミュニティーにいることの良さも思う

    生きていくのに不可欠なコミュニティーなら、どうして楽に心地よくやれないのだろうね

    うまいつきあい方 出来ればいいのにね


    ひとりになればそういうのから逃れられるんだと思っていたけど、そういうのじゃなかった

    どこにだってある 学校だけじゃない 日本だけじゃない 走っても逃げられない 大人になったって、ぜんぶ分かるようになる訳じゃない

    うれしくなる基準 かなしくなる基準 そういうのをきちんと自分で持とう 合わせて嬉しくならなくていい 無理して悲しくならなくていい

    読み始めたとき、私は自分の子どもをこんなとこに通わせたくないと思ったけど、

    そうじゃなくて、形じゃなく、人の心のほんとの暖かさに気づけるように 形だけのやりとりに惑わされないように そういったことを伝えていこうと思った 

    友だち沢山作らなくてもいい
    友だちと呼べる人がいないときがあったっていい
    でも出会えて良かったなぁと思う人のことはカッコつけずに思い切り大切にしたらいい そういうこと

  • 面白い本はないかと聞かれたらとりあえず、『きみの友だち』と答えるようにしている。

    事故で足を悪くした恵美と、弟の文彦(ブン)のふたりとその友だちの成長の物語。

    小学生。学校と家が世界のすべて。
    事故により、恵美は足の自由とクラスの友人を失う。そして由香に出会う。
    ブンはクラスのガキ大将。勉強も運動も彼に敵わない。やってきた転校生に負けて初めて友情を知る。

    中学生。女の世界は恐ろしい。
    女子の仲良しグループは敵を作ることで完成する。敵になってしまった子と接する恵美と由香。ふたりはさみしいわけじゃないし、何もわかってないわけじゃない。それに気づいた堀田さん。
    女の世界で心が疲れてしまう子もいる。そんな花井さんにもふたりは優しくするわけじゃない。ふつうに接する。
    すこし空回りしてしまう子もいた。西村さん。入院している由香に千羽鶴を贈ろうとするが恵美にそれをつっぱねられる。辛い過去を引きずる西村さん。

    男子中学生だって世界が広がる。
    先輩後輩の礼儀もあるし、力の差もはっきりでてくる。ブンと親友のモトと三好くん、佐藤先輩、それぞれの成長。男子からひとりの男へ変わる時期。
    彼らが成長するのは何かを失ったり、失いそうになったとき。いつだってそう。
    尊敬できる友だちが先輩にしめられそうになったとき。部活で後輩をケガさせたとき。失恋したとき。自分が選ばれなかったとき。
    辛いときになってやっと自分を客観的に見ることができる。辛さだけが人を成長させる。

    恵美と由香。恵美に成長させられたブン。彼らの周りで一回りも二回りも成長していった人々。彼らこそが恵美の友だちであり、由香の思い描くもこもこ雲なんだと思う。

  • いろいろ悩んで、一生懸命生きている。自分だけでなく、なんとなくいやな子でもそれは一緒。
    それをいろいろな子の視点でリアルに描かれていました。
    「みんなぼっち」という言葉が印象的でした。
    無理にみんなに合わせすぎないでもいいんだよね。

  • 重松作品のなかで、一番好きです。この歳になって、友達の意味はわかっているはず。だからこそ尚更感動したのかもしれない。
    堀田ちゃんと、三好くんに個人的に共感を覚えました。
    子供に読ませたい本です。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「子供に読ませたい本です。」
      自分が、その年代だった頃は、ノホホンとし過ぎて何も判っていなかったのですが、今の子ども達は何かと窮屈な状況み...
      「子供に読ませたい本です。」
      自分が、その年代だった頃は、ノホホンとし過ぎて何も判っていなかったのですが、今の子ども達は何かと窮屈な状況みたいなので、その中でも、何とか遣っていけるように、本当の友達が出来ると良いですね、、、
      2014/05/14
  • 自分の中のにいる、堀田ちゃん、ハナちゃん、西村さん、三好くん、佐藤さんを、すべて見通されているような感じだった。どの登場人物のエピソードも自分に重なる気がするのだ。
    重松さんはすごいな。今回もまた打ちのめされてしまった。
    読後いつも決まって、独りじゃない、みんな同じように悩んで、葛藤して、もがきながら生きているんだ、と思える。だから、また読みたくなる。

  • 中学生のとき、受験の面接のために読んだ本。


    「みんなぼっち」


    この言葉が好きでした。


    確かに、みんなといて楽しいはずなのに心のどこかで孤独で冷静な自分がいる。


    みんな、ひとりぼっち


    なんですね。

  • 久しぶりに傑作を読んだ気がする。

    小中学校時代の「友だち」に関連した重松清の連作短編小説。
    「恵美」という女の子とその友だちのエピソード。
    それぞれの話が微妙に関連し合っていて、最後には1つにまとまっていきます。

    うまく説明できないけど、とにかく心に響く作品。

    電車で読んだので何とかこらえたものの、
    本当に泣きそうになった。。。

    「友だち」ってなんだろう・・・。
    この年になって、そんなことを真剣に考えさせられました。

    10代の子ども達の微妙な友人関係。
    子どもだっていろんな事に悩んでいる。
    いや、子どもだからいろんな悩みがあるんだろう。
    そんな複雑な心情を見事に描き出している。
    重松清のよさが十二分にでている作品なんじゃないかな。

  • 小学校の時に事故に遭い、足に障害が残ってしまった恵美。弟のぶんちゃん、モトくん、三好くん、転校生の西村さん、堀田ちゃん、ハナちゃん、そしてまん丸笑顔の由香ちゃん。

    「みんな」なんて信じない。必要ない。友達のふりもしない。
    友達とか親友なんて口にしたら違ってきてしまう・・・本当に大切なものは?心に残したい人は?
    そんな気持ちを上手く描いてる1冊です。

  • また、泣かされました。エッセイとか読んでみたくなりました。

  • 友達から紹介された本
    きよしこ、青い鳥は私のバイブルで自身も吃音
    久しぶりの重松清さんワールドは鋭く暖かかった
    他にもくちぶえ番長、流星ワゴンはよんだかな

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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