一人っ子同盟

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著者 : 重松清
  • 新潮社 (2014年9月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104075133

一人っ子同盟の感想・レビュー・書評

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  • 冒頭───
    ぼくとハム子は、小学一年生の秋に出会った。
    ハム子は転校生だった。お母さんと二人でぼくたちの団地に引っ越してきて、ぼくたちの小学校に転入して、ぼくと同じ一年一組になった。
    転校初日、担任の岩崎先生はハム子の名前を黒板に書いた。
    藤田公子。
    もともと、字のあまり上手ではない先生だった。
    ───

    昭和四十年代、高度経済成長真っただ中の日本。
    一人っ子が珍しい時代だった。
    だいたいが、兄弟二人の四人家族、或いは三人の五人家族。
    それが当たり前だった時代に、クラスで一人っ子だったのはぼくとハム子だけだった。

    そういえば、そうだったなあ、あの頃は。
    兄弟のいない一人っ子は、一緒に遊ぶ人間がいなかったので、ぼくらはよく、一人っ子の友だちの家に呼ばれて遊んでいたものだ。

    ハム子と思わず呟いてしまった僕の一言に、ハム子は何気ない素振りを見せたかと思ったのもつかの間、ぼくの机に跳び蹴りを食らわせてきた。
    その事件をきっかけに、ぼくとハム子は友だちになる。
    それから四年半、ぼくらは六年生になった。
    小学校の最上級生にもなると、いろいろ大人のような悩みも出てくる。
    下の階に引っ越して来たみなしごのオサム。
    母子家庭だったハム子は、母親が再婚して弟ができた。
    ぼくとハム子を取り巻く環境も変わり、ちょっとした事件も起こる。
    大人になりかけのぼくとハム子は問題に直面して、もがきながらも成長していく。
    重松清の小学生を描く作品も、ワンパターンすぎてマンネリ化してきたかな、と思って読み進めたが、それでも結末に向かって心を揺さぶる構成には、いつものようにほろりとさせられた。
    小学生は、こんな風に少しずつ大人の階段を登っていくのだなあ、とあらためて考えさせられた。
    自分もそうだったかな------。

  • 腹が立つ。腹が立つ。子供を大人に変えてしまう大人に腹が立つ。大人の事情で子供を子供でいさせない大人に腹が立つ。
    子ども扱いして肝心なことを面と向かって話さないくせに、面倒くさいことは、何も言わずに分かってよと言う大人に腹が立つ。
    腹が立って仕方ない。

  • 一人っ子が珍しかった昭和40年代。
    兄を事故で亡くして一人っ子となったノブ、
    母子家庭で一人っ子だったのに母親の再婚で弟ができたハム子、
    両親を亡くして親戚中をたらいまわしにされているオオカミ少年のオサム。

    そして私も昭和40年代のわけアリ母子家庭一人っ子。
    当時の小中高の名簿は住所電話だけじゃなく保護者の名前と続柄までかかれていて、母子家庭というのが丸わかり。
    それが本当に嫌で嫌で仕方がなかった。
    そのときの記憶がこの小説を読みながらブワっとよみがえってきた。
    ハム子の「どうにもならないことってある」。
    そう、自分が母子家庭で一人っ子だったのは自分ではどうにもならないこと。親が再婚したり離婚したりするのも子供の自分にはどうにもならないことだった…。だからこそ悲しくて、悔しくて。
    当時の私もよくそんなことを考えてた。
    どうでもいい嘘をついてみんなに嫌われるオサムのことも理解できる。一人でいても平気なふりをして心が壊れないように精一杯自分を守ってる。
    あまり期待していなかった1冊だったけれど読んでいくうちに自分の経験とシンクロされていつのまにか涙がでてた。たぶん、兄弟がいる人両親がそろっていてそれなりに裕福な生活をしてきた人にはわからない感情だと思う。

    そして自分も親になって、
    ノブのお父さんの「自分のこどもに、好きな場所や、好きなことや、好きなものがあるっていうのは、親としてはなによりもうれしいんだよ」「好きなものを訊かれて、ちゃんと答えられるうちは、人間、みんな、だいじょうぶだ」
    すごく共感。こどもの好きな物を知っている親になりたい。

  • 一人っ子ではないから一人っ子の気持ちはわからないけれど、こんなことを考えて生活しているんだなぁ。
    団地の風景はわからなくもないけれど。
    同級生が大勢いた時代は、確かにこんな感じで遊んだりしてたもんなぁ。
    大人の事情というか過程の事情を考慮するほど大人じゃなかったけど(笑)。

  • 昭和の時代。団地の子どもたち。そして一人っ子。
    私の子ども時代とは色々違いすぎて、ああ!分かる!分かる!というような共感はなかったけど、でも、いつの時代も子どもは無力だなぁと、少しやるせなくなった。全てを決めるのは大人で、都合に振り回されるのは子どもなんだよなぁ。
    ハム子の不器用な生き方はある意味子どもらしくて、でもそんなんじゃこの先生きにくいだろうなぁと、色々心配になった。オサムも幸せな生活を送れていなさそう…。そういった人の描き方が重松さんは本当にリアルだなぁ。

  • ん~?ちょっと重い・・・かな?

  • 小学生でもこんなに大人に気を使っているのかと少々たじろぐ思いだ.小学6年生のぼくとハム子のくされ縁的な一人っ子同盟.複雑な家庭環境と昭和の団地の佇まいが溶け合った中で営まれていく日常を,自分を貫いて揺るがないハム子にほのかな思いを寄せながら過ぎ行く日々.善悪で片付けられない問題やたくさんの想いがいっぱい詰まった物語だった.挿画も素敵です.

  • 嘘ばかりつくオサムの「〇〇でやんス」という喋り方にはノブと同じくイライラしてしまった。4歳の陽介が「おねえちゃん、おねえちゃん」とハム子に懐いてるのが微笑ましい。大人になったら、4歳の時におねえちゃんがいたことなんか忘れちゃうのかな。大人になったら忘れてしまうことっていっぱいあるんだろうな。素直じゃないハム子の、淡い恋心がなんだか切ない。でも、ノブにはちゃんと伝わってたよ。

  • うぐうう。なんとも切ない。
    私の頃もそうだったけど、SNSがなかったから住所を交換してしばらく文通していてもだんだん疎遠⇒音信不通になっていたな。
    あの頃の友達、どうしているかなーとよく思う。

  • えっ疾走この人だったの?!?!まじで驚き

    ちょっとずつ運が悪かった、って一番残酷じゃないかね

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一人っ子同盟の作品紹介

あの時のぼくたちは、「奇跡」を信じて待つことができたんだ――。両親がいて、子どもは二人。それが家族の「ふつう」だったあの頃。一人っ子で鍵っ子だったぼくとハム子は、仲良しというわけではないけれども、困ったときには助け合い、確かに、一緒に生きていたんだ。昭和40年代の団地で生きる小学校六年生の少年と少女。それぞれの抱える事情に、まっすぐ悩んでいた卒業までの日々の記憶。

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