希望とは自分が変わること (養老孟司の大言論 1)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 252
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104160044

作品紹介・あらすじ

人は死んで、いなくなる。ボケたらこちらの勝ちである。木の葉のつき方にも複雑な規則がある。問答無用、ドカンは困る。私は純粋行為主義者である。人間の実質は不平等だが、民主社会は平等を要請する。「良識は万人に与えられている」。9年間40万字を費やし、到達した「大言論」シリーズ。全著作リストつき。

感想・レビュー・書評

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  • かつて日本社会は、「家」という共同体に対してを平等とし、西洋化により「個人」に対して平等となるように転換した。しかし、個人は根付かずに、共同体への平等は残ってしまい、日本的悪平等がでている。日本社会での生きづらさ、働きづらさはこの共同体と個人との不協和音にある。そこに、業績評価や成果主義が導入されても機能しない。能力外の条件はちがうのに、同じ尺度で評価される。?ばかりの通知表を見て感じるのは不平等、不公平、不公正ばかりである。

  • 「日本に個人主義はあるか。あるのだが、ない。個人とはなにか。大抵の人は個人とは個人の「心」だと思っている。個心が存在すると思っている。何処かに本当の自分がある。本当の自分が変わったら具合が悪い。だから人は変わらないと思っている。しかし人は変わることを認めた方がいい。もしも人が変わらなければ教育は要らない。」

    本当の自分って何だろうか、何処にあるのだろうか、と自分で考える。

  • 三葛館一般 914.6||YO||1

    本書は季刊雑誌『考える人』に連載された文章が単行本化されたものになります。
    著者の考えや、体験をもとに考えたことなどをエッセイ形式の文章にしています。1つの事象を取り上げても考え方は十人十色というのは当たり前ですが著者の考え方は、また独特な一面を持っており、そこに面白さを感じることができます。
    「情報不変・人間変化」の中に希望を見出すことができるという、著者の主張をみなさんはどのように考えるでしょうか。非常に読み応えのある1冊です。
                                  (うめ)

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=60816

  • 養老先生がどんなことをやってきたヒトか、一冊である程度わかってしまう。なかなかエコノミーな一冊る

  • この本は人生におけるスパイスである。作者はものごとの本質を常に問い続けているからだ。
    「読書は目的ではなく、象徴的行為、すなわちシンボルである。」ということを述べている章がある。そして現代人の我々は「それ自体が目的ではない行為」にばかりだとも言う。その理由を本人の行動により説明しているのであるが、昆虫に執心し、解剖学で様々な功績を作り、読書をしまくり、たくさんの図書を執筆していることから来る迫力はハンパではない。
    また、この本を読んで得た教訓は、何かトコトンやり続けることの重要性である。自分を振り返ると、極度の完璧主義である。しかし、直ぐに日和ってします。最後まで続けない。その理由は失敗を怖れているからである。しかし、筆者にはそれはない。むしろ失敗して当たり前という覚悟がある。その源泉はもちろん彼の趣味である「昆虫採集」にあると邪推する。何故ならばそれは失敗知ることでしか向上しない活動だからである。
    ゆえに自分は悔やんでしまう。覚悟を持ってやり切ることがあまりに少なかったことを。

  • 著者の本はこれまでに何冊か読んだが、本書はかなり難解であり、1度読んだだけでは、なかなか理解が出来ない。著者の思考レベル(思考の深さ)に到達していない自分の未熟さを思い知らされる。
    一見、ひねくれおやじの独り言のように読める文章が多いが、よく考えてみると、やっぱりまともなことを言っているいるのでは、と思う箇所がいくつか出てくる。現代社会の中で多数意見に流されつつある(思考停止化している)大衆への警鐘ともとらえることができる。
    当たり前を当たり前としない、逆さメガネ的発想、常にこれが本当か、という疑いの目を持つ心構えを見習いたい。
    印象に残った文章。
    約束は言葉で、言葉は情報だから変化しない。変化する人を変化しない情報に結合することこそが、約束あるいは契約なのである(225ページ)。

  • バカの壁もそうだけど、頭よすぎ、ふつうの人の上いっている!他のエッセイとは違う!

  • 資料ID:W0164917
    請求記号: 914.6||Y 84
    配架場所: 本館1F電動書架C

  • 「考える」ことは、自分の意識の中に埋没すとることではない。そこからなんとかでようとする作業である 人間とはもっとも凶暴な動物である 真理は単純だが、事実は複雑である 人間の欲するものは、実は事実ではない 人間は平等にはできていない 万人に与えられたものが良識なのである 

  • やっぱりいいなあ と思う 安定の養老先生 人生に大切な価値を思い出させてくれる

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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