しゃべれどもしゃべれども

著者 :
  • 新潮社
3.79
  • (62)
  • (94)
  • (103)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 427
感想 : 91
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104190010

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • これからどう進むべきか。

    26歳の落語家・二ツ目の“三つ葉“こと外山達也は、先が見えない毎日を悶々と過ごす。

    同じだ。定年後、どうするんだ、オレは・・・。

    でも、根本的に違う。

    “三つ葉“のように古典を追求する落語家は、江戸や明治に生まれた笑いを、身一つで今の人たちに伝えなければならない。

    それがどんなにむずかしいことか、僕自身を振り返ればすぐに分かる。

    物心ついてから、ほんの5年前まで落語で笑ったことはなかったではないか。

    落語を最初から好きな人もいるが、若い頃は、その楽しさが分からなかった人も多いのではないか。

    “三つ葉“の前にどういうわけか、うまく「話す」ことができない人たちが、集まってきた。

    従弟の良、小学5年の村林、黒猫を連想させる女性・十河、元プロ野球選手の湯河原。

    まったく仲が良くならない4人は落語を教わるため、“三つ葉“の家に不定期に集まるようになる。

    こんな集まり、早く終わってしまえばいい・・・と思っていた“三つ葉“は、

    いつのまにか、悩みを抱えた彼らに憎まれ口を叩くようになっていた。

    なんとかしてやりたいと、勝手に身体が動くようになっていたのだ・・・。

    小説全体が人情話のようだった。

    読んでいる場面場面で、作品と自分との距離感が少しずつ変わっていく気がした。

    マネでもなんでもいい。

    本気で惚れたもの、“小三文師匠“、『茶の湯』に突き進めば、光は射してくると感じた。

  • とてもいい作品でした。
    登場人物それぞれの人生がパッと開けていくような終わり方
    でよかった。
    まだ映画版を見ていないので、是非見てみたいと思います。

  • 読んでるうちからカット割りが鮮明に浮かぶ。ほんと、映像向きだな。
    三つ葉さんが小粋で可愛い。こんなに不器用な男の人は逆に魅力的だと思う。

  • 不器用な人の勢ぞろいが、とっても楽しかった。

  • 落語 黒猫 テニス 大阪弁の小学生 元野球選手

  • 噺家が主人公の小説というだけで、なぜだかひいきしてしまう。「落語娘」もよかったし。
    さてこの小説、読んでみたら、本当に面白かった。特に、話すのが不得意な人たちが感動的だった。伝えたい気持ちが言葉にならない、その悔しさ、はがゆさが胸を打った。

    「しゃべれどもしゃべれども」にでてきた曲。
    ウィリー・ザ・ライオン・スミスの曲。久保田利信の曲。神田祭。六甲おろし。いぬのおまわりさん。

  • 読後が非常に爽やか。
    主人公三つ葉、短気だが粋なキャラクター。
    また、文章がとても小気味よい。

  • 国分太一さん主演で映画化された本。ずっと読みたいと思っていて、やっと手にとることが出来ました。初め想像していた内容と違って、終始楽しんで読めました。もっと落語界のお話かと思っていたけれど、もちろん落語の話しだけれど、落語を通してそれよりも人間の成長とか強さ弱さについて書かれている感じ。全て解決できるわけじゃないけれど、前を向く力を身につける登場人物たちが愛しいです。主人公の三ツ葉さんがいい!これは映画を観てみたくなりました。太一君が三ツ葉さん役?

  • いいね こういう本。
    うまく説明できないけど。

    文庫版の巻末解説 北上二郎さん以上によい表現はない。

    そして、この本を年度ナンバーワンに選ぶ「本の雑誌」 さすがです。
    本の雑誌が続く限りついて行きます。(毎月買ってないけど)
    目黒さんの解説 とっても好き。

  • 今、波に乗っている佐藤多佳子。映画化される作品ということで読書。
    根拠の無い自信に裏打ちされた、生きのいい落語を得意とする噺家・今昔亭三つ葉。
    ある日、師匠に言われた一言で自身を見失ってしまう。
    そんな彼の元に、吃音のテニスコーチ、ひねくれた黒猫のような女、いじめられている関西弁の少年、口下手なプロ野球解説者が落語を習いにやってくる…。

    映画化される前に読んでしまえということで読んでみたんだけど、これは本当に面白かった。
    落語の世界のことも分かるし、掛け合いや落語の件では笑えてくるし、それぞれの生徒が抱える事情には泣けてくるし。
    こんな名作が10年前に発行されていたんだなぁと思ってびっくりしました。
    すっごいオススメ!!

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。1989年、「サマータイムで」月刊MOE童話大賞を受賞しデビュー。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で98年、産経児童出版文化賞、日本児童文学者協会賞、99年に路傍の石文学賞を受賞。ほかの著書に『しゃべれども しゃべれども』『神様がくれた指』『黄色い目の魚』日本代表リレーチームを描くノンフィクション『夏から夏へ』などがある。http://www009.upp.sonet.ne.jp/umigarasuto/

「2009年 『一瞬の風になれ 第三部 -ドン-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤多佳子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×