- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104190041
感想・レビュー・書評
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最近、わりと重めな、非日常系の作品が多かったので、一瞬の〜的な清涼感を求めて手にしました。
が、なんと、読みにくい。
深夜のラジオにはハマらなかったし、体育会系で歩んできた私には???なワールドが次々展開して最後まで共感には至らず。でも、楽しめました。ほんとです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
おもしろい!!!
普段ラジオはきかない、というか、好きなタレントが出てたら聞くかなぁくらいのわたしが、ラジオっておもしろいんだ!!!って力強く思った。そう思ったのが本っていうのも変だけど、この本きっかけで、芸人さんのラジオいくつか聞いてみた。
普段見ているテレビとは違う顔だ!って率直に思ったけど、声だけで話だけでこんなに面白いなんて天才か???って思った。
そういうことを教えてくれる本でもあるし、自分が変わるきっかけを作ってくれる本かもなぁ。
主人公目線のぶっきらぼうな文章だけど、彼の内心が共感できて本当に根暗陰キャの自分を投影してしまったよ。 -
ハガキ職人でもヘビーリスナーでもないけれど、大学生からくりぃむしちゅーのANNが好きで、ラジオが元になっているというこの本はずっと気になっていた。
上田もこの本を久々のANNで触れていて、読んでないけど気になっている、て言っていたのを思いだし読破。
リスナー・ハガキ職人というのを通し、人生にもがく若者の苦悩の話、という感じ。
女性・男性に関係なく、人と直接触れるということに恐怖を感じる富山。大学を1年休学し、アパート暮らしをしながらコンビニのバイトをする。もともと有名なハガキ職人。今は休憩中。
富山の同級生で、ヘビーリスナーの永川。富山の心を知ってか知らぬかお節介をやく。
個性的なハガキ職人の佐古田。女子高生で女子高に通うが、いい意味で女子感がなく、服装が奇抜。
富山と同じコンビニで深夜バイトをする鹿沢。売れてない歌い手で、ちょっとしたファンもついているほど。富山にはすごく優しい。
リスナーとしてウキウキする気持ちがすごくわかるし、読んでいて楽しかった。
それに富山をはじめ、大なり小なり悩みがあって、徐々に話せるこの4人の関係性がすごくいいな、と思った。
それにコンビニの仕事の中で、腐っていた富山が自分の気持ちに変化があるのを気づいていく様も本当によかった。 -
舞台になるらしいから行ってみたいなぁ
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佐古田と主人公が安易にくっつかないのと、ラストで今後を描かないのが余韻を残していて、今っぽい感じがした。地の文が富山の荒い口調そのままで、個人的には読みにくく感じたが、作者的には狙い通りなのだろうな、と。ほかの人の感想を聞きたいと思った。
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最近読んだ本の中で一番主人公に共感した。というより大学を1年休学したのも、何もかもから「脱出」したのも、人との距離が近いのが無理なのも、家族の空気感も同じで「分かる」と思いつつちょっと苦い気持ちも思い出した。
アニさんが富山に正面から「大丈夫なのか」と聞いてくれた時は涙が出るほど嬉しかった。
鹿沢がめちゃくちゃカッコイイ。
富山がちょっとずつ自分のガードを緩めてみんなの輪に加われて良かったな、ほっこりする小説かな。
"デートをしたいとかじゃなくて、デートをする人が勝ちという世の中がなんとかなんねえかなって" -
出版社紹介サイト
https://www.shinchosha.co.jp/book/123736/
真摯に、コツコツと続けていることを、見ていてくれる人がいる、わかってくれる人がいる。そして自分自身もわかろうとしている。
「先輩は力をこめて『天才』と言ってのけた。俺は黙って聞いていた。佐古田の中に、何かデカい力があるのは感じる。俺は、その力に言葉をはめたくない。」
主人公の富山は意図的にそこらへんにある言葉であらわさないようにしている。うすっぺらく言葉を操るだけにしないように。
富山がバイトをやめるときに「何かわけがあったんだろう」「大丈夫なのか?」と富山を見ずに声をかける副店長のアニさん。「金が必要になったら、また、ここで働けばいい」。信頼され、気にかけてもれえていることのありがたさ。
同じ大学に進学して一緒にお昼が食べたいという佐古田に「どこでも話せるだろ。約束して会えばいいんだから」って富山は言うんだよ。いいな。
富山、鹿沢、永川、佐古田。年齢もバックグランドも違う4人が、愛称や名字で呼びあい、敬語も丁寧語も使わないで話す関係になれたことが、とても羨ましい。佐古田の存在が大きい。佐古田は魅力的だ。『映像研』の浅草さんを思い出す。トイレのサンダルでも、ピンクのジャージの上下でも、髪がはねていいてもいいよ。 -
深夜ラジオを介することで、少し前を向ける物語。
主人公以外の登場人物にもスポットがあたり、それぞれが、直接的、あるいは間接的に深夜ラジオという小さなハコを通して、夢や将来に一歩踏み出す準備を始めるお話です。
2016年の作品ですが、2010年代の懐かしさとともに、雑多な現代の、重くも爽やかな夜の雰囲気を感じることができます。
嫌なことや自分のコンプレックスを受け入れた上で、ゆっくりと、着実に前を向かせてくれる作品です。 -
おもしろい。
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山本周五郎賞受賞(2017年/第30回)