明るい夜に出かけて

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1696
感想 : 229
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104190041

感想・レビュー・書評

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  • コンビニが舞台となる小説を探していて手に取りました。
    主人公がコンビニ夜勤のバイトをしており、そこでの働き方の様子を垣間見ることができます。
    夜勤のシフトに入るスタッフはあまり多くありませんから、そこでの人間関係もある程度固定されることになります。人と関わることが苦手な主人公が、大学に行けなくなり、実家を出て一人暮らしをしながらコンビニの夜勤バイトをする、という設定は少し無理があるような気がしないではありませんが、周囲の登場人物が彼を支えている様子は心が温まります。
    深夜ラジオや、それを支えるハガキ職人たちのアレコレも出てきて、趣味人には垂涎ものではないでしょうか。

    一年間の「逃避」生活と、そこでの出会いを経たことで、主人公の成長を感じることができまる、読後感の良い小説です。

  • 最初、大学を休学してコンビニでバイトしてる富山はなんだか誰も受け入れない感じで、くさくさしてた。

    それが突然客でやって来た佐古田の登場で、徐々に一転。お互いラジオのヘビーリスナーと知り、富山の友人永川や、バイト先の先輩鹿沢も加わって不思議な繋がりが出来上がり、段々と富山の内面も変化していく。
    一見富山は引きぎみだけど、4人の絡み具合が面白い。

    ラジオの職人。そういう世界もあるんだな~

  • オールナイトニッポン、懐かしい。30年近く前に中島みゆきやとんねるずのオールナイトニッポンを聴いていたこともあったなぁ。
    佐藤多佳子さんは私より年上。だが、今も青春時代を生きる人達を主人公に書けるのは、年と共に捨ててきてしまうものをいつまでも変わらない感性を持ち続けられるからなのかな…そのように努力しているのかもしれないけれど…。
    ラジオを取り巻く青春というか、それを拠り所としている若い世代もまだいるのだというのが、このSNSの時代に新鮮だった。

  • 最近、わりと重めな、非日常系の作品が多かったので、一瞬の〜的な清涼感を求めて手にしました。
    が、なんと、読みにくい。
    深夜のラジオにはハマらなかったし、体育会系で歩んできた私には???なワールドが次々展開して最後まで共感には至らず。でも、楽しめました。ほんとです。

  • 佐古田と主人公が安易にくっつかないのと、ラストで今後を描かないのが余韻を残していて、今っぽい感じがした。地の文が富山の荒い口調そのままで、個人的には読みにくく感じたが、作者的には狙い通りなのだろうな、と。ほかの人の感想を聞きたいと思った。

  • 最近読んだ本の中で一番主人公に共感した。というより大学を1年休学したのも、何もかもから「脱出」したのも、人との距離が近いのが無理なのも、家族の空気感も同じで「分かる」と思いつつちょっと苦い気持ちも思い出した。

    アニさんが富山に正面から「大丈夫なのか」と聞いてくれた時は涙が出るほど嬉しかった。

    鹿沢がめちゃくちゃカッコイイ。
    富山がちょっとずつ自分のガードを緩めてみんなの輪に加われて良かったな、ほっこりする小説かな。

    "デートをしたいとかじゃなくて、デートをする人が勝ちという世の中がなんとかなんねえかなって"

  • しんどい話を読んでしまった。

    深夜のコンビニバイトをしている休学中の大学生(絶賛現実逃避精神迷子中)が主人公。
    とある事件のせいで人に触られるのも、女性と対面するのもダメ。
    でもある時大好きな深夜ラジオ番組の常連リスナーと職場でばったり出会い……という少しづつ良くなる話のあらすじで、それは間違いじゃないのですが。

    まずこの主人公が超絶面倒くさい。
    本人も後半で「自分がメンヘラだってわかってる」って言ってるのですが、とにかく最初の1,2章ずっと「気持ち悪い」と連呼してて。
    人に触られるだけじゃなく、他人同士が接触してるのを見るのも、知ってる人の別の一面を見るのも、もう何もかも全部気持ち悪いって、全拒否全否定ナニサマなのか。

    世の中には綺麗なもの可愛いもの格好いいもの美味しいもの素敵なものがあふれているのに、なんでわざわざ不愉快な気持ちを読まなきゃいけないのか、ちょっと気が遠くなった。
    でも佐藤多佳子だからと頑張って読みました。
    後半は読みやすくなりましたが、乗り越えるのに100ページ以上かかるのはやっぱりちょっとなー

    現実の深夜ラジオ(2014-2015アルコ&ピースのオールナイトニッポン)を許可取ってがっつり盛り込んであります。
    あとがきによるとリスナーのTwitterも一部使っているとか。
    作中で主人公が語る深夜ラジオの熱は、半分著者の気持ちのようです。
    好きが高じてとは言え実名出す作品に出来るというのは素人には出来ないから、そこはプロの特権かもな。

    私も中学生の頃深夜ラジオ聞いてたので、ちょっと色々思い出しました。


    カバー写真 / ニッポン放送第3スタジオにて
    撮影 / 広瀬 達郎(新潮社写真部)
    装幀 / 新潮社装幀室

  • これは好みが分かれるかな…
    私はついて行けませんでした。

  • 明るい夜に出かけて
    幾千の闇の中から
    明るい夜に出かけて
    終わりのない時を数えて
    明るい夜に出かけて
    その声を探しに行く
    一人 今は一人で

    この歌詞が好き。

  • アルコ&ピースさんのラジオは名前と評判だけ知っていて聞いたことはなかったけれど、きっと多くの人の支えになっていたものなんだろうなと感じた。
    個人的には富山くんの過去についてもう少し深く掘り下げて欲しい気持ちがあるけど彼にとって忘れたい記憶なのだろうから仕方ないのかもしれない。
    4人のキャラクターが立っていてそれぞれ好きになれました。個人的には最初は嫌いだったアニさんが好きです。明るい夜に出かけてのタイトル回収も素敵だなと思いました。

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。1989年、「サマータイムで」月刊MOE童話大賞を受賞しデビュー。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で98年、産経児童出版文化賞、日本児童文学者協会賞、99年に路傍の石文学賞を受賞。ほかの著書に『しゃべれども しゃべれども』『神様がくれた指』『黄色い目の魚』日本代表リレーチームを描くノンフィクション『夏から夏へ』などがある。http://www009.upp.sonet.ne.jp/umigarasuto/

「2009年 『一瞬の風になれ 第三部 -ドン-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤多佳子の作品

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