海猫

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 161
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (541ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104256020

作品紹介・あらすじ

義弟との愛に、すべてをかけた、母=薫。痛みを胸に抱きながらも、恋に目覚めてゆく、ふたりの娘=美輝、美哉。光を探し、海鳥は凍てつく空をさまよう。風雪に逆らうかのように、ひとは恋という炎にその身を焦がす。函館、南茅部、札幌、女たちが心の軋むほどに求めた、運命のひとは-。谷村志穂の新生を告げる長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 都会が高度成長と浮かれていた頃、東北、北海道の農村、漁村では、まだ出稼ぎを余儀なくされていた。
    函館から嫁にきた、美しすぎる嫁、薫とともに、道南、南茅部の漁村に入っていく読者は、その頃の漁村の風景、夫婦のかたち、近隣との関係など、リアルに知ることになる。
    白系ロシア人との間に薫と、孝志のきょうだいを産み、女手一つで育ててきたタミ。ヤクザ者の弟を甘やかしながらも、自分で商売を切り開いていく。開拓第二世代のタミがいちばん逞しいのは、その時代を乗り切ってきたからだ。
    薫は、夫の邦一と性の快楽に目覚めていくが、次第に拒む気持ちが強くなっていく。邦一、平然と浮気してるし。のちに義弟の広次の思いを知って関係を持ち、それぞれの子を産む。広次とは、広次の気持ちを受け止めるべく、あえて不倫を犯しているように感じた。
    孫世代になると時代も追いつき、物語に穏やかさが出てくるが、過去を知ろうとする二人によって、当事の人々の、さらなる思いが湧き上がってくる。
    自分が体験することがない時代の、知らない人たちの人生を知ることができるのが読書の醍醐味だとしたら、間違いなくそれを味わった。しんどかったけど。

  • 妊婦が1人で旅するのには違和感が。終わりがよかった!映画も見ようと思う。

  • 2016.5.26

  • 愛憎も極まれば、ここまで美しい。

    SpecialThanks for Milkyway

  • 函館が舞台の本を読みたいな~と思って調べたらトップに出てきた作品です。
    元町の函館ハリストス正教会が、大事なシーンにたくさん出てきたよ。

    内容はね~。
    主人公さんたちがみんな20代くらいで、若くて青くて官能的すぎるんだ。
    しかし、かなりインパクトのあるお話ではありました。

    北海道らしいお話かな。
    冬のしばれる寒さがある厳しい北の大地だからこそ、この透き通った冷たい物語が似合うのだと思いました。

  • 読んでいて目が離せない展開でした。たんなる悲恋ものではすませられない作品です。
    伊東美咲主演で映画化されていて、あまり見る気しないでいたので
    まず原作の本から入ることに。

    この本の中で効果的に使われていた表現といえば、
    バスの運転手、不動産屋、タクシーの運転手、宿屋の人たち
    が突如、主人公たちに対する目線でものを考えている場面。
    たとえば、冒頭、薫が白無垢姿で乗りこんだバスの運転手さんが
    「白い花嫁だ」とつぶやいたり、嫁いで数年後の薫が同じバスに乗っていたときにも「あんまり幸せそうでない」とつぶやくところとか。

    原作読んだ後、DVDも見ました。やっぱり見るんじゃなかったという
    後悔が先に立ちました・・・。

    仲村トオルは好きなんですけどね。

  • 何年前であろうか、初めて読んだ大作。
    この作品を読んだことが、読書が日常化するきっかけとなったことには間違いない。

    登場する3世代にわたる女性たちの魅力と、北海道の情景がとても印象に残っている。
    細かいストーリーは思い出せないものの、今まで読んだ作品で最も印象的な作品と問われると、必ずこの作品の名前が思い出される。

    いずれ再読してみよう。

  • 別に。

    伊東美咲がちらついた。

  • お人形さんみたいにベッピンな娘が猟師の元へ嫁いで行くところからお話が始まる。

    内容は?と聞かれると答えに窮する・・
    恋愛、と一言で括るのもちょっと違う気がする。
    ところどころ狂気的要素が含まれた・・やはり・・愛の物語?
    うーん・・。

    文章は読み易く一気に読める。
    が登場人物全員の心情を書いてあるので
    (しまいには赤ちゃんの考えてることまで描写しはる)
    誰が何を思ってんのかわかりすぎて、わかりにくい。

  • 北海道などを舞台とした作品です。

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著者プロフィール

1962年北海道生まれ。北海道大学農学部卒。’90年『結婚しないかもしれない症候群』で鮮烈なデビュー後、’91年に処女小説『アクアリウムの鯨』を刊行する。自然、旅、性などの題材をモチーフに数々の長編・短編小説を執筆。紀行、エッセイ、訳書なども手掛ける。2003年『海猫』で第十回島清恋愛文学賞を受賞。

「2021年 『半逆光』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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