余命

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104256037

感想・レビュー・書評

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  • いいか悪いかは別として、生きるという気持ちを繋げたいという思いは伝わってくる。
    それでいい!

  • 余命
    谷村志穂

    末期癌の患者+妊婦
    すごく考えさせられる話だった

    意思であるがゆえに癌の進行の状況と状態の深刻さがわかると言うことはより辛くなると思う。
    最後には子育てとがん治療の両立を果たして自分のからだが元気である状態で一生懸命生きれたことが良かったなと思った。
    自分よりも夫や子供のことを考えてしまうのは本当のお母さんであって、そんな中にある不安ややりきれない思いを夫に与えてしまうのは女性であるからだと思う。
    医師であり患者であるから癌に対して両方の視点を持つことができるのだと思う。
    終末期の視点が少ないのは、多分モルヒネなどでの治療で正常な意識を持てなくなっていることを表しているのだと思う。
    再発を通した心の揺れがすごく分かりやすかった。
    乳癌の転移率の高さ、胸を無くすことによる心の悲しみなどもよく解った。
    医師ではない自分は看護師として患者の気持ちに敏感であり、その人その人で集中して治療すべきだと思った。
    大学病院が研究のようだと言う記述に納得するところがあり、このようなままでの治療は良いものでは無いと思った。
    治療をお金のためにするべきではなく、患者やその家族のために治らないにしてもその人が在りたい姿を支援する視点が今後必要になってくるのではないかと思った。

  • もっと他にできる術があったのに!と力強く言い放ったところで号泣しました。
    とても良かったです。

  • 読了日2010/05
    松雪泰子さん主演の映画の原作。
    やっぱり、谷村志穂さんの本は好き。静かな本です。

    乳がんの再発を隠しながら子どもを出産する、出産までの心の揺れ、葛藤、夫婦のすれちがい、誰にも相談できない苦しさ。とても激しい、切ない物語だけど、大号泣するような感動ではなく、静かに心にしみ入るような物語です。

    乳がん検診を一度もしたことがないので、しなきゃ!!

  • 読み始めた段階でおおよそのストーリーは想像できた。
    ただ、思っていたよりも淡々と話は進んで行った。
    主人公が医師だから成せたことも多く、一般人ではこうはいかないだろうなぁ。
    ストーリー的には病気と出産を並行させる事に主軸があり、末期のことは箇条書き程度なのが残念。
    そこも医師としての目で感じたものを知りたかったし、夫や物心のついて来た子供の様子も知りたかった。
    サラッと読み進められる一冊だった。

  • 外科医の滴は結婚10年目。
    念願の妊娠を果たすが、それと同時に乳がんも再発していた。

    出産か延命治療か。
    私でも出産を選ぶと思う。自分の命と引き換えに子供を殺すなんて出来ない。どんなにきれいごとだと言われてもいい。子供が自分が生きた証になってくれれば。

    なまじ医者だから自分の病状が分かって辛いだろうなと読んでいて思った。自分の余命があとどのくらいなのか。分かっていても他の人に聞いてしまう。その気持ちも分かる。

    辛い物語。
    でも最後に奄美の風を感じた。

  • 谷村志穂さんの本は初めてで、どんな文章のタッチなのか探るように読み始めたけれど。
    序章からすぐに物語の世界へすとんと入り込めた。

    題名からある程度内容は予測していたものの、癌と戦うよりも子どもを選んだ女性の生き方が切なくて。読み進めるほど悲しみが増していくのに涙が流れ落ちながらも、とめられない。
    夜中の2時過ぎまで読み耽ってしまった。たぶんそこを通して描かれる人達に希望があって、優しさに満ちているからだと思う。

    どうやら昼ドラにもなったらしいがキャストがとても気になる。毎日これ見てたら心がもたないような…。

  • これは。。。タイトルからして覚悟して読み進めたものの。。。

    何回も涙が出ました。

    号泣というよりは、ダラダラ出るという感じ。

    乳がんを 抱えたまま 初めての妊娠。

    新しい命と限りある命。

    やっとできた子を諦めろと言われたくないため
    再発したと 誰にも言わず
    不安を抱えたまま 子供を産む滴。

    どれだけ生きていられるだろうとか、
    切なすぎる。。。

    けど、傍らにいつもいる良介が
    かなりいい。

    なんというか、静かだけど
    強く支えてて、こんな旦那さんが
    ほんとにいたら いいなぁと思った。

    悲しい話だったけど、
    なんか すごいよかったです。

    成長し瞬太の性格もいい感じだったし。

    結構 好きな話です。

  • 昼ドラマを見て原作を手にとりました。
    やっぱり原作のほうが人間らしさがあるなーと思いました。
    ドラマはとってもきれいにまとめられていて・・・
    それでも音楽とともに見ていると涙していました。
    命の尊さと夫婦の在りかた、医療の現場といろいろ考えさせられた。

  • 死を美化することも過剰に悲劇的であることもなく、妊娠・病魔の狭間で葛藤する主人公がただ淡々と描かれている。言うなれば妊娠から出産にかけてと癌の描写が共に詳細に渡って生々しいので、生と死のコントラストが印象深かった。
    ドラマティックなことは特に起こらないが、にも関わらずラストは静かな感動を呼ぶ。

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著者プロフィール

1962年北海道生まれ。北海道大学農学部卒。’90年『結婚しないかもしれない症候群』で鮮烈なデビュー後、’91年に処女小説『アクアリウムの鯨』を刊行する。自然、旅、性などの題材をモチーフに数々の長編・短編小説を執筆。紀行、エッセイ、訳書なども手掛ける。2003年『海猫』で第十回島清恋愛文学賞を受賞。

「2021年 『半逆光』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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