- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104260072
作品紹介・あらすじ
2002年10月、全国で次々と犯行声明付きのバラバラ遺体が発見された。被害者は平凡な家庭を営む会社員沢野良介。事件当夜、良介はエリート公務員である兄・崇と大阪で会っていたはずだったが-。絶望的な事件を描いて読む者に"幸福"と"哀しみ"の意味を問う衝撃作。
感想・レビュー・書評
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「空白を満たしなさい」、「ドーン」を読み分人という考え方に対して違和感が薄れてきた勢いで、本作を読んでみた。精神の崩壊が「決壊」し、家族が崩壊していく物語であると前振りで理解をしている。上巻最後で、主人公・野沢崇の弟・良介がバラバラ遺体で発見されたことがわかり、家族の崩壊へと、ここの物語が進んで行くことを暗示される。
本作の中で、人間の心理をついているが、嫌いな言葉がある。「問題はただ一つ。殺人が、自分の身に起こるかどうか、だ。殺戮はむしろ歓迎されている。そこにいて身に危険が及ばない限り。人間は相変わらず愚かだ。しかし、だからこそ、今ここにある平和は人間的な意味で尊い。」
家族に突きつけられた「殺人による死」を想像すると、この悲惨な事実を歓迎する人間が、自分の身には起こっていないという事で、歓迎するであろうか? この悪魔の男の考えが、殺人を実行する人間の感覚なんだろうかと思うと、作者が少し恐ろしく思える。
はじめに登場した壬生実見が気になる。単なる通りすがりの登場なのだろうか?
下巻の展開が気になる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者の作品は、数冊読んでいます。相変わらず知的で理詰めの文章です。上巻は物語のイントロ部分なので、下巻でどのように展開していくのかが楽しみです。
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何の予備知識もなく読み出し、最後の方びっくり‼︎
えっ、良介…⁈
下巻もすぐ読まなければ。-
こんにちは。「いいね」ありがとうございます。平野啓一郎さんの作品には冷静な知性を感じます。こんにちは。「いいね」ありがとうございます。平野啓一郎さんの作品には冷静な知性を感じます。2022/09/11
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哲学的で難解ではあるが面白い。下巻に続く。『空白を満たしなさい』以来、すっかり平野作品がツボだ。
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表紙にストーリーが書いてあって、その通りです。(前置きが長くないか?と思ったり)
途中で難しい話もあり、すうっと頭に入ってこなくて、ちょっと手こずりましたが、下巻もあるということで。
表紙のストーリーの書き方もうちょっと何とかならなかったかなぁと。 -
色んな方の目線から書かれて途中外交の話もあったりで挫けそうになりながらも読了。
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久しぶりに大作読破できた達成感。
読む人の倫理観を試されてる。
駟不及舌。
日本に住む上で日本人同士に生じる、人間の下衆い部分の描写が細かくて、引き込まれました。 -
ストレス発散のために読書をしていたのになぜこうもストレスを溜めなければならないのか
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【要約】
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【ノート】
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現実社会でも最近起きているような、無差別で猟奇的な殺人を題材にした作品。タイトルの通り、犯罪を含めた極端なアクションを取るまでに少しずつネガティブな感情が積み重なっていく場面の描写が続き、読んでいる際の気分は重いが、結果として起こる出来事の説得力は増している。。ネガティブな感情につながる背景として現代社会の抱える様々な問題を描いているが、あまりにも多くのテーマを盛り込み過ぎて物語としてのまとまりを欠いている感はある。読後に残る混沌を伝えたかったとすれば成功かもしれないが。