クォンタム・ファミリーズ

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著者 : 東浩紀
  • 新潮社 (2009年12月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104262038

クォンタム・ファミリーズの感想・レビュー・書評

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  • 量子回路の実用化が、並行世界の存在を具現化してしまい、お互いの世界が干渉し始めてしまうお話。量子論の多世界解釈を元にした思考実験のような小説で、知的で面白かった。

    また、冒頭において、wikipediaや3000はてなブックマークなど、日常利用しているサービスの記述が登場することで、作品のリアリティが増し、物語の世界にすんなり入り込めた。

    村上春樹の作品に登場する「35歳問題」についての記述も、自分がもうすぐその年齢になるということもあるかもしれないが、激しく同意してしまった。本当にその通りだと思う。

    後半はSFというより世界系っぽい展開になってしまったのがちょっと残念。前半の雰囲気が最後まで続いてほしかった。個人的なクライマックスは、第一部で赤毛の「量子脳計算機科学者」と名乗る女性が、ネットワークと並行世界の関係を説明するところ。

  • NOVAの新刊に「火星のプリンス」が載るというのを見て、急に東浩紀が目の前にちらつき出したので。
    複数の並行世界が登場するが、いずれにおいてもネットは不確かな情報によって信頼性が等しく崩れ、情報社会が崩壊している。確かにネットにばらまかれた膨大な情報を人間は把握もできず制御もできない。未来像として説得力のあるものだ。
    ネットワークで繋がれた計算機械が、多世界の存在を計算するというのはどうだろうか。それは別の宇宙についてのラプラスの魔(魔シンか…失笑)を許すことになる。いかに量子計算機が強力でもそれは不可能に思える。
    計算される世界や意志は実存するのか?イーガンを読んだ時から思う疑問だが、答えは分からない。近い将来、現実がSFを追い越すだろうし、期待している。
    登場人物たちは、あったかもしれない現実ifにみな囚われている。35歳を境にifがwasを凌駕するというのは恐ろしい。その憂鬱からは絶対に逃れられないと主人公は語るが、なんとか逃げ出さないと。ともかくifにたよることは最後には否定される。ifではなくwasのみが自分の過去なのだ。
    少し説明的なことが気になった。要は並行世界とタイムトラベルを組み合わせているわけだから、説明なしでもう少しいけたのではないか。

  • テロと平行世界の量子家族。こむずかしい言葉がいっぱい出てくるけどエンタメ小説。大事なところは太字。第一部後半がワクワク感ある。
    葦船往人、友梨花、風子、理樹、汐子、渚、江頭新、寺田、田島
    コンピューターの回路が古い回路から量子回路になったことで重ね合わされた別の現実の電子を計算資源として使うこととなり、別の現実(平行世界)の計算結果が出てくることとなる。人間の脳も複雑なリンクを張り巡らせた計算機みたいなものだから意識だけなら並行世界を行き来できるという設定。
    フラッシュメモリは雨に濡れたり土に埋もれてたんじゃ使い物にならないんじゃないかなと思ったりもした。

  • かつてない家族SF小説という煽りがそのまましっくりきた。
    結末を見ても、扱ってる並行世界というテーマを見ても、これは『九十九十九』に対するアンサーなんだろう(作中で度々言及されている『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』に対してはもちろんのこと)。

  • SF小説の部類にはいる作品。

    量子力学という言葉はそれ自体の響きは知っていても、その字面からして何を意味するのかまったくわからない。量子力学において波動関数の収縮とかいうワードがあって、それはたとえば人間が何かを決定し行動していく過程で、AかBかの選択があってAを選んだ現実よりBの選択が良かったのでは?っていう後悔は常にある。そのBを選んだ良好な世界も並行的に存在してて、なんていうかパラレルワールドのことなんだけれども、その世界を行き来して物語が展開する、家族の話です。いろんな評価があるみたいで、まあ自分としてはあまり入り込めない、専門的な言葉が多かったり、登場人物や平行世界の設定が読み取りにくくて、、一応全部は読んでみたけど、“ああ、こういう世界もあるんだ”的な感想しかない。辻原登はこの小説を評して、様々な装飾を取り払ってみると「作者の狙いどおりかもしれないが、かなり荒涼とした、通俗的な世界」になると述べているとあって、この感想が自分的にもはまっていると思われる。

  • 家族ってなんだろう、わたしにとっての「行う《かもしれなかった》こと」ってなんだろう、という、誰もが一度は考えそうなことを題材に、うまいことSFミステリーとして書かれていると感じた。好き嫌いはありそうだけど、私はこれ、嫌いじゃない。

  • 読了。量子的に崩壊してしまった家族の軌跡を、時間の境目なく辿っていくうちに、自らの「世界の捉え方」が平衡感覚を失っていく。その実、ドメスティックな家族の描写がひとたび、便宜上の定義を失ってしまうと、それはスペースオペラのように陳腐でとりとめがない。
    「世界の終わり」を定義し、並行世界の描写をある程度「手に取れる」かたちで持ってきている点、たしかに村上より評価できる。
    今私の隣にあるパラレルワールドが数学上実証できたとしても、それが一体何の意味を成すのだろう?

    とにかく色々、便宜上の定義をぐるりと回転させられる、面白い試みの本、と思った。

  • 東さん意外と親切だ。時空移動的な、ちょっと面倒な説明のあとはだいたい登場人物が「つまり、」って解説してくれる。
    そういえば動物化とかも読みやすかったっけ。

    キャッチコピーか書評かなんかで、核家族にすらなれない量子家族の物語、とか書いてあって、ああいいかんじのフレーズと思ったがどっちかというと個人の問題っぽくなかったっけ?

  • 東浩紀「クォンタム・ファミリーズ」というとんでもない小説を読了した。

    2035年の未来にいるという、覚えのない自分の娘から、ある日メールが届く。並行世界というパラレルワールドだ。

    ちなみに一、二節
    「私たちの量子脳もまた、並行世界からのボーア=ペンローズ干渉かがなければ意識を生成できません」
    「・・・量子脳計算機科学は、並行世界が『実在する』ことと、複雑さの閾値を超えた量子ネットワークが、特定の並行世界が実在する『かのような』情報を生み出すことのあいだを区別しません。」

    なんのこっちゃ。

    あまりにも難しくて、笑ってしまう。

    あったかもしれない人生、いたかもしれない家族が交差する。小説家で大学教員でテロリストだったかもしれないぼくと、童話作家でカルトの教祖であったりする妻と、いたかもしれない娘と、やはりいなかったりいたりする息子が往ったり来たりする。それぞれ、死んでしまったような、生きているような、小さいころの娘と大きくなった娘が同時にいて、後者が前者を可愛がったり・・・

    おいおい、どうなってるんだ。

    もう一度最初から読み返してみると、ほとんど最初に読んだ記憶がない。こんなこと書いてあったっけ・・・となる。

    そうか理解せずに読んでいたのだ。そもそも理解できない部分が多い。
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    ツイッターでの東浩紀自己紹介
    東浩紀。1971年生。批評家/哲学者/小説家。東工大特任教授。経歴についてはwikipediaなど見てください。
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    wikipediaより
    東 浩紀(あずま ひろき、1971年5 月9日 - )は日本の批評家、哲学者、小説家、愛娘家。東京都三鷹市出身。博士(学術)。大学での専攻は現代思想、表象文化論、情報社会論。日本SF作家クラブ会員。日本推理作家協会会員。愛称はあずまん[16]。

    妻は作家・詩人のほしおさなえで1児あり。義父は『探偵物語』の原案者で翻訳家の小鷹信光。
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    ほお、小説の主人公にそっくりなプロフィールである。

    とんでもない小説家だなあ。

    浅田彰と仲いいんだ。そんな感じだなあ。

    司馬遼太郎はなんて読みやすいんだろう。

  • 地味で総花で既視塗れだが娯楽性高い

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クォンタム・ファミリーズの作品紹介

2035年から届いたメールがすべての始まりだった。高度情報化社会、アリゾナの砂漠、量子脳計算機科学、35歳問題、ショッピングモール、幼い娘、そして世界の終わり。壊れた家族の絆を取り戻すため、並行世界を遡る量子家族の物語。

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