クォンタム・ファミリーズ

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104262038

感想・レビュー・書評

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  • もっともっと、新しい世界を産んで欲しい。彼は一流のSF作家だ。
    一流のSF作家は、きっと科学的な知識より、哲学や理想のほうが重要なんだ。

    あと、著者の人間的な魅力とダメさがいい意味で滲み出ていて好きだ。

  • かつて高校時代にニューアカブームでサブカル批評にハマったボクは、ゼロ年代と共に再び活性化し始めたサブカル批評、なかでも東浩紀の批評が好きである。
    そんな彼が小説に挑んだということで早速入手したものの、しばらく積ん読状態で、よぉ〜やく読了した。

    量子脳計算機科学、貫世界通信、平行世界。
    神の見えざる手なのかただの偶然か、最近読了してきた山本弘のSFと同じ世界観の小説であり、これはSFものなのか?と興味深く読み進んでいったが、SFらしいスリリングな展開は第一部まで。
    その後、村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の話が出てくるあたりから、なんか妙に文芸的なストーリーになっていく。
    人間の「業」を深めたかったのか、主人公の原罪としたかったのであろう、高校時代の幼女相手の悪戯、性犯罪の描写は突然すぎるし、SF色よりも人間描写に移っていく第二部以降は正直無理があると思う。
    とはいえ、全体のストーリーは面白くもあるので、再読するとまた違った印象を持つ本かもしれない。

  • 並行世界もの。内容がしっかりしている。

  • 難しくてよくわからない。
    最後に娘の名前が”汐子”だったことに、どんな深い意味があるのか、だれか教えてください。

  • 伊藤計劃の虐殺器官からのクォンタムファミリーズ。911テロがなかったら両方とも生まれなかっただろうという小説。いわゆる並行世界SMものかと思うけど、最終的に家族小説。結局この家族の中で一番まともなのは汐子なんじゃないの?110623

  • 「あずまん」の初単著小説。
    量子脳計算機科学的並行世界の物語に結構惹き込まれて読んだ。
    {(村上春樹)の二乗 + (フィリップ・K・ディック)} ÷ 5 の様な作品。
    作品の解釈は一筋縄では行かず、多様性が認められる。

    2010 年 第 23 回三島由紀夫賞受賞作品。

  •  かなり狙ってるなあ、という印象で、特に文章を露悪的なまでに粗雑な機能的文章にした辺り、それだけでつまらないと思われかねないのによくやるなあ、と思ってしまった。
     しかし面白いからすべてよし。

     単純に読んでいてワクワクするような大風呂敷の広げ方にSF好きとしての東浩紀の本気を見た、という感じ。もちろんやろうとしていることは多岐に渡り、読者に対して挑戦的な側面も強いのだが、一番単純な所で共鳴した読者が一番楽しめるようになっているところは、すごいし、いろんな意味で正しいはず。
     ただ、一部と二部の断絶が楽しませ方のレベルでの断絶であり、こうした読者の選び方は個人的にはあまり良いものではないと思った。構造的にはわかるけれども、わかることそれ自体が面白いと言えなければそこにはあまり意味がないのではないか。確かに東浩紀的ではあり、だから東浩紀を楽しむことはできるけど、この作品ではそれをきっちり物語に回収して欲しかった。
     です。

  • 面白かったけれど、難しかった。
    多分、量子脳計算機科学の理論とか、クリプキ数や貫世界通路の開き方とかいう内容は、だいたい何を言おうとしているのさえ分かっていれば、完全に理解する必要はないのだろうけれど、2008年の風子の世界だの2035年の理樹の世界だのというところで、あまりのややこしさにだんだん訳が分からなくなった。ショッピングモールのテロで殺されたはずの3歳の風子が、なぜ生き返って転送されているのかも分からなかったし。いや、それは理樹が説明していた時間旅行の応用なのかもしれないけれど。そして、至る所に伏線らしきものが仕掛けられているようだったので、それがどう決着をつけられるのかと思って読み進めていたけれど、それらの伏線があまり回収されているようには思えなかった。少なくとも私の頭では。もう一度読み返してみれば、また新たな発見があるかもしれないけれど。
    要するに、「こうであったかもしれない世界」を夢見るのではなく、間違いだらけでも一回きりの人生を生きることが大切なのだ、という、まあ、よくある着地点だった。こういう理論武装した文章は嫌いではないし、決して面白くなかったわけではないけれど、SFとして最後にもうひとひねりあれば、もっと良かった。

  • 疲れたよ!!物語に前進性が見られないんだよ!!
    次のページにどんどん行く気がでないんだよ!!
    みたいな。

    SF的アイディアとしては介入による世界操作とか、どこぞの「AIM拡散力場」てきなものを彷彿とさせる、ネットワークの余剰範囲によって生じる平行世界とか、かなり良かったんだけどね。
    もっとたくさん説明してくれると頭的に助かる。
    お父さんが汐子を殺したのは、「別に世界を救わなくても汐子が存在する2064年の未来は存在する」ということなんだろうか。
    汐子が存在する未来を創る以上、この先に風子によって汐子が作られなければパラドックスの解消ができない??
    ハイパーグラフで進む世界であるので・・も違うだろうに。
    この先あいつらがどうするんだろう。
    思想◎、物語性△、キャラ×、設定〇。くらいですかね。
    これがデビュー作としては全然いいんだけど、新人っていう新人でもないでしょう。

    ていうか、書いていってみると案外考えた。

  • 確かに先が気になって一気に読みましたが,面白いかと言われると微妙です…。

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』など。

「2023年 『ゲンロン15』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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