クォンタム・ファミリーズ

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104262038

感想・レビュー・書評

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  • 量子回路の実用化が、並行世界の存在を具現化してしまい、お互いの世界が干渉し始めてしまうお話。量子論の多世界解釈を元にした思考実験のような小説で、知的で面白かった。

    また、冒頭において、wikipediaや3000はてなブックマークなど、日常利用しているサービスの記述が登場することで、作品のリアリティが増し、物語の世界にすんなり入り込めた。

    村上春樹の作品に登場する「35歳問題」についての記述も、自分がもうすぐその年齢になるということもあるかもしれないが、激しく同意してしまった。本当にその通りだと思う。

    後半はSFというより世界系っぽい展開になってしまったのがちょっと残念。前半の雰囲気が最後まで続いてほしかった。個人的なクライマックスは、第一部で赤毛の「量子脳計算機科学者」と名乗る女性が、ネットワークと並行世界の関係を説明するところ。

  • 地味で総花で既視塗れだが娯楽性高い

  • 東浩紀さんが小説を書けば、そりゃこうなるよ!と思う作品だが、内容は予想以上に面白い。核家族にすらなれない?話。いや、子どもは親を選べない、そして親は子どもを選べないという規定を根本から壊す話。物語中盤にテロリズムがあるが、世界線の変更は運命への反乱である。
    また、少女をレイプする話もテロリズムなのではないだろうか。

  • もっともっと、新しい世界を産んで欲しい。彼は一流のSF作家だ。
    一流のSF作家は、きっと科学的な知識より、哲学や理想のほうが重要なんだ。

    あと、著者の人間的な魅力とダメさがいい意味で滲み出ていて好きだ。

  • ひっくり返して、ひっくり返して…。パラレルワールドものっていくらでも話の逃げ場があるだけあってどこに持ってくべきか難しいと思うけど、家族とか情報とか真実とか組み合わせて、上手い具合にまとまってるなーって思った。しかしやっぱり近未来の科学の話がアツい。「人間の意識あるいは自我とは、ボーア=ペンローズ器官が量子的なゆらぎを集積し産出する、現実と非現実、必然性と可能性を虚収束させる拡張チューリング変換の位相的特徴として定義されていました。」ええな〜w ウソ理論を我が物顔で書き連ねる往年のSF小説を思い出した!

  • 第23回 三島由紀夫賞受賞作品

  • 予想以上にSFやってて驚き。並行世界の設定なんかは、結構練られてて読んでるだけで面白い。
    幾らかの並行世界が複雑に絡み合い始め、物語の世界観が大きくなるに連れて、ページを捲る手が止まらなくなった。
    物語全体を覆っている、ドロリとした雰囲気も好み。
    ただ、これまで東浩紀が述べてきた批評や考察が細部で展開されており、それが物語に重厚感を持たせているため、二作目以降(書くつもりがあるのならば)も同じ様な雰囲気が出せるのかどうかが心配。
    ところで、登場人物の名前の一部がKEY作品関連の名前だったのには何か意味があるのだろうかw

  • 物語の力を認識させてくれるすばらしい本。

    いろいろな読み方、人それぞれの感じ方、ポジティブに、ペシミスティックに、と感想は様々だろう。
    破壊と再生なのか、再生と破壊なのか、肯定なのか否定なのか……。

    あぁ、もういい!

    とにかく読め。評論なんかくそくらえ。
    それくらい力のある物語。

  • 量子コンピュータこわいよー

  • 幾重にも絡み合う家族と称されている家族の物語。質量は絶えず保存されて、幸福でさえもその例外では無いことが哀しいほどに分かってしまう。
    全体の構成が非常に読みやすくなっており、一晩で読了してしまったほど。
    オチが予測出来てしまうところに賛否が出ると思うが、私は非常にはまってしまった。この物語がそう非現実的なものではない、と感じてしまう自分に考えさせられる。
    これが最初の小説なんだから、東さんはほんと凄い。

著者プロフィール

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』など。

「2023年 『ゲンロン15』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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