- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104270026
感想・レビュー・書評
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15世紀フランス。
放蕩詩人フランソワ・ヴィヨンの生涯を描いた物。
ジャンヌ・ダルクが処刑された年に生まれたフランソワ。
イギリスはフランスの統治権も主張し、フランス内でもアルマニャック派とブルゴーニュ派が長年争っていた。
養父ギヨーム・ヴィヨンは教会の司祭。
ある未婚の母が子連れでは働けないからと預けて行ったのだ。
パリ大学に通うが、酒に博奕と放蕩の限りを尽くす。
パリ大学の教職員と学生にはいくつも特権があったそうです。
陽気な詩を作って酔客を笑わせて人気を取り、酒代をただにして貰う毎日。
娼婦に入れあげて居続ける生活も何度も繰り返す。
逆恨みで襲われたはずみに刺し殺してしまったのが運の尽き。
追っ手を恐れて逃げるうちに本格的な盗賊団コキャール党の仲間にされ、抜けられなくなる。事件は正当防衛として許されていたとも知らず…
小物売りの行商で流れていったブロアの街で、詩を愛するオルレアン公シャルルの宮廷に招かれて、呆れられつつも詩才を認められ、楽しい半年を過ごす。
シャルルの年の離れた美しい妻マリー・ド・クレーヴ。
シャルルはかってアルマニャック派の首領だったが、十数年もイギリスに囚われの身だったために、生きる意欲を失っていた。
シャルルを笑わせてくれという公妃の願いを受けて立つフランソワ。このあたり、楽しいです。マリーの子が後に巡り巡ってフランス王ルイ12世になったという。
呆れるほどの破滅型ですが、憎めないところがある男。どこまでが史実なんでしょうねえ。いきのいい詩が挟まれて、うまくまとまっています。
著者は1960年生まれ。98年「オルガニスト」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。詳細をみるコメント0件をすべて表示