家守綺譚

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著者 : 梨木香歩
  • 新潮社 (2004年1月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104299034

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家守綺譚の感想・レビュー・書評

  • 湖で行方不明になった親友、高堂の実家に家守として住んでいる綿貫。エルトゥールル号遭難事件が出てくるので、調べたら1890年。
    サルスベリの木に想いを寄せられたり、竹の花や狸に化かされそうになったり、人魚や河童など異世界の住人をごく自然に受け入れている綿貫の日常は美しくて温かい。何と親友の高堂が、床の間の掛け軸の中からボートを漕ぎながら現れるのだ。
    名前しか知らなかった植物を画像検索しながら読むのも楽しかった。
    好きな章は「竹の花」「サザンカ」「葡萄」かな。

  • 再読。何度読んでも楽しい。
    亡くなった者も、植物も動物も、異界のものも、全てが穏やかに共に生きている。
    綿貫の『隣のおかみさん』の言葉を借りればそれが土地柄であり、後輩で編集者の山内の言葉を借りればそれが常識になる。
    しかし犬のゴロー、綿貫ではないが『おまえはいったい何者なのだ』と言いたいほどの大活躍。様々なものたちの仲立ちをしているらしい。
    だが綿貫もなかなかの活躍振りであり、サルスベリに懸想されたり桜に暇乞いをされたり、狸に化かされたり狐に助けられたり、カワウソに魚を贈られたり。
    剃っ久便も再読してみる。

  • こんな素敵な本だったとは知らず…

    湖で亡くなった友人・高堂の実家を、彼の父親から任されて住みながら管理することになった、綿貫征四郎の一年。

    人ならぬもの…植物や動物が何故か彼の前に頻繁に現れ、高堂も、疏水をたどってか、ときどき水辺を描いた掛け軸の中からボートで現れたりする。
    学生時代のように気軽に言葉を交わすものの、そこにはやはり、違う世界に住まうものの隔たりが確かにあるのだった。

    古い民家。
    時々風を通して家を保って欲しいということだが、綿貫は、戸は開け放ち、ムカデもマムシも入れ放題。
    湿って踏み抜いた床下から延びた蔓もはびこり放題。
    来るもの拒まずで、まことにアチラの世界へのガードもゆるく、何度も化かされたり取り込まれかかったり(笑)
    それでも危ういところでこちら側に踏みとどまっている。

    短編のタイトルはすべて植物の名。
    文章そのものも、ふんいきも美しい。

    犬のゴローさんがまことに男前である。

    サルスベリ/都わすれ/ヒツジグサ/ダァリヤ/ドクダミ/カラスウリ/竹の花/白木蓮/木槿(むくげ)/ツリガネニンジン/南蛮ギセル/紅葉/葛/萩/ススキ/ホトトギス/野菊/ネズ/サザンカ/リュウノヒゲ/檸檬/南天/ふきのとう/セツブンソウ/貝母(ばいも)/山椒/桜/葡萄

    時々植物名を検索しながら読んだ。
    「貝母」の別名が「アミガサユリ」だったことを知り、本文中の謎か解けたり、「セツブンソウ」の写真の美しさにびっくりしたり。

  • 梨木香歩、初めて読んだ。梨木香歩は面白いですよ、と人に奨められて。確かに、面白かった、そして、確かに「綺譚」だった。

  • 物書きである主人公が亡くなった親友の実家を守ることになり、そこで巻き起こる様々な不思議な出来事が詰まった一冊。サルスベリに惚れられたり、飼い犬が河童と鷺の仲介をしたり、亡き親友が掛け軸から現れたり、下宿のおばさん的存在である隣のおかみさんとの会話を楽しんだり…最初から最後まで独特な世界観だった。主人公の周りで起こる『綺譚』は全て季節を彩る草木が絡むもの。また、作中にある表現は読むだけで情景が目に浮かぶものばかり。今まで味わったことのない読後感を味わうことができた一冊だった。

  • こんな暮らし最高じゃんか。
    何をとっても素晴らしいこの一冊!
    半年後にまた読みたくなって読み返すに決まってる。

  • 「貧しいけれども風流な、精神的に満たされた暮らし」である。こんな暮らしがしてみたい。

  • 私にはあまり分からない世界だった・・・

  • 亡くなった親友の実家で家の守りをする事になった主人公の、不思議な日常を書いた物語。
    短編集のかたちになっており、各話それぞれ違った花や木が出てくるのが印象的。
    派手な話ではなく、どちらかといえば淡々と進んでいく。
    しかし、美しい文章で綴られる幻想的な風景に思わず引き込まれます。
    季節の移り変わりや花のある風景を想像しながらゆっくりじっくりと読んで欲しい作品。

  • 質屋さんの前で古本が売られていた。個人の所蔵を一気に買い取りでもしたのかとてもきれいな状態のものが一冊50円。さらには売上金がすべて熊本震災の義援金になるというので10冊ほど買った。うれしい。本書はそのなかの一冊だが、読み始めてすぐに「はあ、これ好きなやつぅ」と相好を崩してしまうほど好みの本だった。電気も水道も整備された時代に生まれたせいか、こういった風景が“ほんの百年前”と言われてもにわかには信じられない。犬のゴロー、隣のおかみさん、サルスベリ、その他人魚や桜鬼まで。すべてがかわいげのある存在で楽しい。

  • これは、つい百年前の物語。庭・池・電燈つき二階屋と、文明の進歩とやらに棹さしかねてる「私」と、狐狸竹の花仔竜小鬼桜鬼人魚等等、四季折々の天地自然の「気」たちとの、のびやかな交歓の記録。
    「Amazon内容紹介」より

    最近の本なのに、それを感じさせない日本語.
    仄かな幽玄.精神の世界.
    境界のあいまいさを感じる作品.生と死の境界、この世とあの世の境界、今と昔の境界、人と自然の境界.
    八百万の神を信じる文化の権化.

  • 好き。
    こういう世界観好き。

    狸やら河童やら子鬼やら、摩訶不思議がいっぱいなうえに、さらにサルスベリに恋されてしまったり。

    苦手な人は苦手だろうけども、私は大好き。
    掛け軸を通して、早くに逝ってしまった友人が会いに来てくれるのもいいなぁ。そしてそこに喜びも悲しさもあまりなく、お互いに淡々としてるのがまたいい。

  • 直感的に、好きだなーと思った。
    サスペンスのようなスリル感はないけど、何度でも読みたくなる。
    クスリと笑えて、日常から抜け出したい時に読みたくなる本だった。

  • 2016/02/03 読了
    図書館にて。
    何度も読みたい本仲間入り
    買いたいリスト

  • 不思議な小説だ。まず、語り手である文筆家の綿貫征四郎の亡き友人、高堂が度々掛け軸の中から出てくる、近所の和尚にタヌキが化ける、サルスベリに惚れられる。。
    季節の移ろいが植物で感じられ、植物図鑑片手に一気に読みきった。竹生島、石山寺あたりから滋賀が舞台と伺える。
    なんとなく、川上弘美を思い出させる作者だと思った。
    正解のない不思議な世界、植物が好きな人によき一冊。

  • ほんわかした和風のファンタジー
    読んでいて心が落ち着く文章とちょっとかわった次が気になるストーリーがとても好きです。(あじ)

  • 様々な植物と季節の趣が描写されていて、交歓の様子と四季が織り成す世界が日常を離れたゆったりとした時が流れる光景だと感じる。自然に囲まれた世界の時間は現代の流れとまた違うものだろうと。植物も百日紅から葡萄まで多くの物語があり、それぞれの植物に関連された物語は短いが、内容が濃く、味わいのあるもので、一つの植物に関する話をじっくり味わいたいという感じがする読後。交歓の中で人の名前に対する思い入れと逆のことが起こることと、百日紅の名前から、猿が滑らなくなるといったことが印象に残り、植物の名前の奥深さが感じられる。

  • なんと言うこともない。
    なんと言うこともないのに、しみじみと温かい。
    この本はきっと、ゆっくり読むものなのだと思う。

  • ーそりゃいいことをなさいました。
    おかみさんは、急に動きを止め、土手の横に咲いていた小さな紫の野菊に目を遣った。
    ー私の名はあれ。
    ー野菊 ー きくさんですか。
    ーいえ、ハナです。ありふれた名前です。
    おかみさんの名前は、おハナさんというのだった。それを知ったかといって、その名で呼ぶ気には今更なれなかった。しかし、その名を承知して、妙に心落ち着くことであった。


    (92頁・野菊)

  • フレンチのシェフに好きですよと薦められる。確かに、かなり好きだ。こういうのは、東京が舞台じゃ無理だ。京都、これは滋賀か。

  • 確かに以前読んだ記憶はあるのだが、
    逆に
    「読んだ。」
    と、いう記憶しかないのが信じられない。

    人がまだ
    人以外のモノ達をどこにも
    追いやってはいない頃の物語。

    モノノケ達は
    人を怖れずに(と、いうか好意を持って?)
    共に生きよう、としていた。
    人もまた
    それを当たり前の様に受け入れてきた事で
    「生き方」の選択肢がごく自然に広がっている様に思えた。

    (前に読んだ時は
    彼らの声が聞こえていなかったのかな…)

    あぁ~
    家守を通して聞こえる
    その者達の声が愛おしくてたまらない。

    木々が揺れる音、
    鳥の囀り、
    家の軋む音、
    雨音に
    庭で吠える犬、
    まるでそれらが総じて
    言葉を綴り、物語と化した様な
    きっとすぐ隣にあったはずの世界。

    でも、今は見えない世界。

  • 淡々。ひたすら淡々。

  • 続きが気になる。水彩画なイメージ。

  • 幻想的。
    サルスベリに惚れられたり、散りに入った桜が暇乞いに来たりする。
    日本の四季って素晴らしい〜。

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家守綺譚の作品紹介

たとえばたとえば。サルスベリの木に惚れられたり。床の間の掛軸から亡友の訪問を受けたり。飼い犬は河瞳と懇意になったり。白木蓮がタツノオトシゴを孕んだり。庭のはずれにマリア様がお出ましになったり。散りぎわの桜が暇乞いに来たり。と、いった次第の本書は、四季おりおりの天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。

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