沼地のある森を抜けて

  • 1231人登録
  • 3.54評価
    • (131)
    • (170)
    • (350)
    • (39)
    • (8)
  • 202レビュー
著者 : 梨木香歩
  • 新潮社 (2005年8月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104299058

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

沼地のある森を抜けての感想・レビュー・書評

  • ホラー風味のファンタジーだと思ったが、読み進むにつれて、宇宙的というか、生命の起源的なお話になった。

    フリオと光彦のあたりは理解しやすいが、間に挟まれる「シマの話」は、自分勝手に理解しても良いのだろうか…
    まだ生殖ではなく分裂で種族を増やしていた何かの記憶?

    連綿と続く命や時間の流れの中では、必ず、突然変異はおこり、変化がはじまる。
    変わらないものなどない。
    しかし、その根底に流れつづけるのは、終わりたくない、命を存続させていきたいという本能。

    何かが終わったのだろうが、終わることによって新しい物が生まれた。
    たとえば、湿って腐りかけた重い衣を脱ぎ捨てて新しく生まれ変わったような、すがすがしいラストだった。

  • 学生のときに読んで、複雑すぎて分からないのに大好きだった本。しばらくたってまた読んで、やっぱりよく分からなかったけど大好きだと思った。酵母菌をきっかけに、有性生殖と無性生殖、性とジェンダー、自然と文明などなど、命の営みを壮大な視点でとらえたお話。壮絶な孤独から生まれる命はなんて尊いものだろう。

  • 死んだ叔母からマンション一室と一緒に相続した“家宝”のぬか床は、毎朝毎晩必ずかき回さねばならない。でないと呻くのだ。厄介払いにその世話を任される羽目になった久美は、ある日ぬか床に卵が出現していることに気づく。卵は日に日に増え、一つがヒビ入ると、部屋に半透明の男の子が現れた──。
    何故人は有性生殖を行うのか、単性生殖(生物)にも、我々より優れた調和があるし、人がそれを行っても良いのではないか? そんな寓話も交えつつ我々が繁殖する意味、生物の根元的哲学にまで践み入った物語。梨木香歩ってすげー。

  • すごい。圧倒された。
    著者の洞察力の深さと視野の広さが存分に発揮された、ここ何年かで読んだ本の中でも5本の指に入る傑作だ。ストーリーの面白さも然ることながら、結局は著者の人間力なのだと思う。繰り返しになるが、洞察力の深さと視野の広さ。ものを書く人にとってはこれが大きな資質と云えるのではないだろうか(もちろん文章力という大前提があるが)。本書を読み終えた時にぼくは、梨木香歩という人物について、或いは梨木香歩という人物が影響を受け吸収してきたものについてもっと知りたくなった。

  • ぬか床から人間が現れるという、奇想天外なところから始まる、
    ファンタジーといえば、ファンタジー。
    梨木さん、すごい小説を書かれたなあと思いました。
    誰しもが本を読むときには、きっとこんな感じのところにたどり着くのだろうなと、ある程度予感を持って読み始めるのではないかと思いますが、
    このお話の場合、予感しなかった出口に連れて行かれて、思いもかけなかった光景を見せられたという印象があります。
    生命とかジェンダーとか、自然とか人間の絆とか、
    この世界のあらゆるものが、根っこの部分で繋がっているのだなと、そんな風に思わされました。

  • 沼の再生と同調するように久美と風野が結ばれるクライマックスシーン。
    即物的な表現を排した美しい描写ながら、強烈なエロティシズムを感じる。
    それは、エロティシズムというものが生命活動の根源としての男女の交わりの本質的な部分からもたらされるものなのかもしれない。

    久美が奇妙な先祖伝来の糠床を叔母から受け継ぐことから始まる物語は、父祖の地の枯れた沼に糠床を返すことにより幕をおろす。
    一旦は自己の性を捨てた男女が出会い、協力して沼の再生に手を貸す過程で連綿と続く命のつながりの奇跡に目覚める物語。
    命の大切さ、生命の連鎖の最先端に立つ自分という存在、未来を見つめて生きることの意味を教えてくれる物語だ。

  • 【内容】
    叔母の死を機に,上淵家に代々伝わる家宝「ぬか床」を久美が管理することになる.これが普通の「ぬか床」とは違い,朝晩に手入れをしないと祟られるし,手入れをすれば,「ぬか床」から人が生まれるという厄介な代物だった.

    【感想】
    「ぬか床」を通じた人情物語なのかとおもいきや,
    2章以降,「ぬか床」をめぐる因縁,ミステリー,種の生存というテーマ…と,終始,不安定にさせられました.

    この物語では,「ぬか床」の内生菌といったものが,人に寄生し,
    例えば,精神的・肉体的に寄生された時,自分の身体が自分の一人の問題ではなくなっている時,「自分」という境界がどこまで広がるのか,という問題提起がありました.

    例えば,私達の日々の食物や空気といったものに心があって,私達の身体の一部となり,私達の思考の一部を担っている…こんな読みかたは少数派だと思いますが,日々の食事に感謝したくなりました.(笑)

  • 性を持つってなんだろう。
    有性生殖する意味って。

    波紋が生まれては、消えていく。
    じぶんもその波のひとつ、か。

  • なんと感想を書いたらいいのだろう?
    スケールの大きな、ファンタジーとも言える話だった。
    味のある登場人物と、命の誕生。
    また、時間をおいて読み直してみたい。
    読むほどに理解が深まり、味わいが豊かになる感じがする。

  • またまた梨木さん。
    むっちゃ変な話やけど、違和感、不快感なく、読み進むことができるのはすごいと思う。

    ぬか床から人が生まれてくる?話。

    とだけ聞くと、「なんじゃそれ!?」って感じやけど、梨木さんの手にかかると、「・・・ありえるかも?」と思わされるのですごいね。

    この突飛な話を、「酵母」とか、「純粋培養」とか、「クローン」とか、専門的、現実的な観点からも探っていくところにリアリティがあるのかも。

    もっともっと梨木作品を読みたくなりました。

  • 2012.4.21読了。

    命って感動的で官能的だね、というファンタジー。

  • 私はけっこう好きなタイプの話。
    ぬか床からスタートした前半はぐいぐい読めたし、
    後半の宇宙的な部分も読み応えあった。
    途中、ちょいちょい挟まってくるファンタジー(?)も
    1つ目、2つ目はいまいち分からなかったけれど、
    3つ目のところで「おぉっ」と納得。

    生物の神秘。

  • 2012/1月
    こんな話がどうして思い付くのかと不思議というくらい。なんとなく神懸かっていて、謎めいていて、あり得ない世界なはずなのに
    もしかして知らないだけなのではと思わせる。これが梨木ワールドなのかって感じ。
    生/性/生命進化/菌類/有性生殖?あたりのテーマか

  • ぬか床からいろいろ出てくる奇妙な話かと最初は思ったが、宇宙ともミクロともいえる世界のあり方をファンタジーにした小説だった。繁殖する先の向こう、なぜ私たちは繁殖していくのか。酵母の中の世界が、宇宙やら現代の人々の営みなどとリンクして、不思議な感覚におちいる。
    昔、子どもの頃、この世界のこと、地球より宇宙よりずっと大きな世界のことに頭をめぐらせて、ぼうっとなっていた時を思い出す。
    「この時代に、子どもが産まれてそれで幸せになるのか?」という、時代に限られた背景の中で理由を述べるのではなく、もっと原始的な命の営みとして、繁殖が存在しているのではないだろうか。というようなことを、小説を読んで感じました。

  • 面白かった!!性の持つ原罪とか有性生殖の進化とか、そういうサイエンスな話とちょっとした怪談が混じっているようなんだけど、それを「だははは」とか「ふふふ」と力が抜けるリアルな笑いと美しい描写で補ってくれて引き込まれました。
    「家宝」目指してまたぬか床つくろうかな?

  • 過去に読んだ本。それほど昔じゃないけど。

    生と性のに関する話なのだな、と思う。

    これらのテーマを取り扱うために、あえて、作者は児童文学というリミッターを外したのではないだろうか。

    だけど、根っこには児童文学の精神が息づいていると感じた作品だ。

  • 本、ほしいなあ。表紙も好きだったり

  • 世界は最初、たった一つの細胞から始まった。この細胞は夢を見ている。ずっと未来永劫、自分が「在り続ける」夢だ。
    生物が目指しているものは進化ではなく、ただただ、その細胞の遺伝子を生きながらえさせること。

    ぬか床から現れる奇妙なものたち。有性生殖を行わない沼の人たち。

  • 2読目。
    先祖代々うけついできたぬか床から少年がでてきたことから、ぬか床の秘密を知り、自分のルーツを知る。

    無性生殖について。
    女性性・男性性について。
    宇宙に最初に浮かんだ孤独について。
    粘菌について。
    細胞膜について。

    ぬか床の微生物叢について調査する過程で知り合った、無性を欲する男性と故郷の島へ行くくだりがいい。

  • なんというか。。
    とっても壮大な物語で、一口には感想が出てこない。
    生命の神秘だとか、繁殖の謎だとか言ってしまうと、なんだかスケールが小さくなってしまうようで。
    この世界観を完全には理解しきれていないけれど、すごいのは分かる。ラストは感動しました。

  • 思いを馳せてしまう小説。
    正直、梨木香歩の最高傑作だと思う。

  • 細胞
    生命の誕生
    人はなんでうまれるのか
    ぬかどこってまた変なものを
    通して考える

  •  家に代々伝わるぬか床。その中から卵が出てきて…。まさか話がこんなに広がるとは。日常ファンタジーかと思っていたら、最後は存続すること・生存することにつながっていくのだ。年末にいい本に会えたな。

  • 糠床中心に世界は周り

  • 2011.09.07. 久しぶりに読んだら、記憶の中よりおもしろくて驚いた。こんな、生々しい話だったのか…。「からくりからくさ」もそうだけど、「沼地~」もだったとは。やっぱり、10代の時とは感じ方が違うのですね。生きている人間の怖さとか、業とか。パンフルートの澄んだ音、私も好きです。

    2006.05. 去年も読んだけれど、やっぱり不思議な本だ。ぬか床というものに馴染みがないので、余計に想像力が膨らむのだが。自分のルーツを探る…というところでは「からくりからくさ」に似ているかもしれないけれど、こっちの方が原始的で壮大な感じがする。そして、挿入されている不思議な物語も気になる。きっと、また読み返してしまうんだろう。
    ★4つ

    2005.10.05. おもしろかった◎なんか、ルーツを探る旅になっていって、裏庭に通じるような。主人公は40歳くらい?なんやろうけど、すんなり読めた。途中入る話が少し謎。そっかー。ぬか床なんてうちにはないしなぁ。
    ★5つ

全202件中 1 - 25件を表示

沼地のある森を抜けてを本棚に「読みたい」で登録しているひと

沼地のある森を抜けてを本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

沼地のある森を抜けてを本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ツイートする