沼地のある森を抜けて

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104299058

感想・レビュー・書評

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  • ぬか床ホラー小説という新ジャンルを生み出してくれた感じの…。
    地味に怖かったです(笑)
    話の初期のほうに登場していた幼馴染の正体だとか、
    最終的におねえっぽい彼と幸せになることを祈ってます…。

  • ぬか床の臭いがしてくるお話でした。
    自分も自然の一部だと感じられて、泥に溶けていきそう。

  • 亡くなった叔母の住んでいたマンションに引っ越し
    ついでにぬか床も譲り受けた化学メーカーの研究室に勤める久美。

    ある日突然ぬか床に出現したタマゴ。
    タマゴから出てきた人の子「光彦」、幼馴染のフリオ

    先祖代々続いているぬか床からあらわれる人たち
    かつて家に出入りしていた人たちの記憶
    ぬか床のせいで亡くなった両親と叔母。

    叔母と接点があった風野さんとともに、ぬか床の真実を求めて先祖がかつていたという島にむかった久美。

    ぬか床の人たちは生と死がうやむやな状態で、まさに湧いて出てくるという表現がぴったりな存在で
    だけど生物っていうものは雄と雌がいてこそ子孫が続いていくものだ、
    「生まれておいで。顔を上げて、生まれておいで。輝く、生命よ」

    不思議な話。白銀の世界の話は世界の終りハードボイルドっぽかったけれど、繋がりがよくわからなかった。

    長かった~。結局よくわからなかったっていうのが正直なところ)^o^(

  • 亡くなった叔母から引き継いだ、家宝の「ぬか床」からある日、卵が生まれて…、という、奇想天外な川上弘美系の話かな?と思ってたら、粘菌を飼う無性別な同僚やら、別の世界とおぼしき「僕」の話が挿入されてて…。

    と、不思議なことだらけなんだけど、どこかへ向かおうとしてるらしい、大きな流れを感じさせるのが気になって、夢中で読みきった。

    終盤に向かって過去が明かになり、話が転がり始めると、ちょっとした冒険ファンタジーのよう。
    合間に挟まれる、なにかの細胞らしい「僕」の話もどうやら本筋と関わってくるのかな?と、村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」みたいでもあり。

    前回、五年程前に読んだときは「この人にしてはすっきりしない、ただただ不思議で分かりにくい本だったなぁ」と思ってたけど、今回は全く印象が変わっていた。
    これを書く背景になったぽいエッセイも読んで、バックグラウンドを理解して読んだからかも。

    そういうこと、大学のときにもあった。
    二回生で受けた時はさっぱりわからなかったある授業が、なりゆきでその教授のゼミに入って学んだあとで下級生に紛れてもう一回受けてみたら、ああ、こういうことだったのか!と別人みたいによくわかるようになってて驚いたんだよなぁ。
    文脈、大事。

    最近読んだゴッホにまつわる小説のに「○○(町の名前)に行くには鉄道に乗ればいい。それなら星に行くには死に乗ればいい」という言葉があって、よくわからんが宮沢賢治の銀河鉄道の夜みたいだなぁ、と思って覚えていた。
    それを理解する助けになる部分がこの本にあった。

    ひとつの細胞と思われる「僕」が他の細胞「僕たち」と違って独自に考える力を持つようになり、他のシマ(個体?)の「シ」という名前の細胞と結合して消える、というくだりがある。

    シに出会う前に、「シは終わり?」と聞いてるので「死」だとすることもできるけど、少し違う。
    飲み込まれたんだか結合なんだかよくわからない手段で二つがひとつになり、個としての僕は死ぬけど、新しいひとつになる、ということだと気づいた。そうするとシが雌だというのにも納得。

    「僕たち」は単一生殖で増殖する細胞だったけど、その中で異質な「僕」が発生して、初めて単一ではなく雌雄で生殖するように進化した、という話なんだろうな。

    そこで、ゴッホの「死に乗って星へ行く」というのも、死によって個ではなくなって、宇宙全体と一体になる、と解釈すれば理解できそうな気がしてくる。


    2019年6月
    読み返すのは3回目かな、と思っていたら、2008年、2013年にも読んでいたとわかり、いい周期で手に取ったな、と自己満足。

    3回目の今年は、私がシュタイナー教育について学び始めたので、「沼地~」のシュタイナー的な部分に気付くことができた。何回読んでも響く場所が変わり、得るものがある。素晴らしい。

    「ひとり・ひとつ」はどうしようもなく外界と隔てられている。それでもそのひとりやひとつは「全体・世界」の中にあり、大きなひとつである。

    シュタイナーの話にも出てきたなぁ、と思ったのはこういうところ。

  • ぬか床から人が出てくるところが怖かった。最後に沼に行き、新しい生命の想像ができたのか?その後どうなったのか?謎

  • 不思議な物語。不思議で不可思議で、けれどとても愛おしい気持ちが読後に溢れる。だから余計、不思議な物語だ。

  • 始まりは「ぬか床」だった。先祖伝来のぬか床が、呻くのだ。変容し、増殖する命の連鎖。連綿と息づく想い。呪縛を解いて生き抜く力を伝える書下ろし長篇。
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    現実と虚構が入り混じりすぎて
    ちょっと読むのにしんどかった作品。

    主人公の女性が不思議なことに立ち向かう強さが強すぎてびっくり。
    日常で不思議なことがおこったとき
    ここまで受け止められるのかしら。

    梨木さんの本のわりには、後味がいまいちだった。

  • ぬか床は大変

  • うーん、長かった。
    そして私にはよくわからなかったなー。
    ぬか床って大変ね。

  • ワークショップ「境界に遊ぶ」:“本日の一冊”本

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著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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