冬虫夏草

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著者 : 梨木香歩
  • 新潮社 (2013年10月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104299096

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冬虫夏草の感想・レビュー・書評

  • 私が大好きな「家守綺譚」の続編です。
    勝手な思い込みなのでしょうが、「家守綺譚」は”賄い料理”。お客さん(読者)に出すものでは無く、料理人(作家)が自分や身内のために気取りなく作った料理(作品)。しかし、それが余りに美味しく、裏メニュになってしまった。 そんな気がします。
    関連本に「村田エフェンディ滞土録」がありますが、登場人物や時代は重なっても、こちらはややイメージが違います。それに比べ、本書はまさしく続編。いきなり前作の登場人物(と言っても、犬のゴローや河童など)がぞろぞろ出てきて、何とも言えぬ不可思議な感じが心地良く。しかし、どうして梨木さんの作品は、こんな静寂を感じさせられるのでしょうか。
    ただ後半、鈴鹿の山に分け入ってからは、やや物語性が強くなって、読者のイメージしながら書かれたような気もします。

  • 再読。
    「家守綺譚」では植物中心だったが、今回は動物。
    父を探す河童に宿屋を営むイワナ夫婦、どこかを目指す竜神…。犬のゴローを探す旅の中で出会う様々な人やモノ。
    奇妙で異様なのに温かく優しい。綿貫も随分そうした世界に慣れてきたようだ。何しろ自分からイワナ夫婦が営む宿屋を目指すのだから。
    高堂が少ししか出てこないのが残念。やはり高堂とゴローがいないと物足りない。
    続きは出ないのだろうか。こうしたタイプの話は好き。

  • 「家守綺譚」に続く綿貫征四郎シリーズ。
    犬のゴローが、気がつけば二か月以上も戻っておらず、心配になって来た。
    担当の山内から「イワナの夫婦が営む宿」があると聞いて興味を持った頃、友の南川から鈴鹿辺りでゴローらしき犬を見かけたと聞いたのをきっかけに、征四郎は旅に出た。
    家の管理はいいのか、と突っ込みたくなるところだが、隣のおかみさんあたりがいいようにしてくれるのだろう。

    行く先々で、「イワナの宿」と「犬のゴローの消息」をたずね、情報を頼りに山へ分け入り、流れをたどる。
    気がつけば水に関係した話が多く、それはつまり竜に繋がるのかもしれない。
    「滝」も、サンズイに竜の字だ。
    素朴な人々、のどかな村村…しかし、あちこちに人ならぬ物の気配は満ちていて、どうやら境はあいまいなようだ。
    怪異にも慣れてしまったらしき征四郎は、幽霊に向かって涙ながらにお悔やみを申し上げたり、「斯くの如き幻影の一つや二つ、出てきて当然…」などと考えたりしてしまう。
    「あ、ちょっと…取り込まれかけてる?」と、読みながら焦る。
    全くこの人は!(笑)

    そういう彼だからこそ、河童の少年なども力を貸してくれるのかもしれない。
    旅の途中でも、人に姿を変えた人ならぬ物にも多く出会った。
    征四郎自身は、気付いたり気付かなかったり。
    いのちは季節や場所によって、生きる形を変えて存在するものだ、という河童少年の人生観。
    それは、夏と冬では在り方を変える冬虫夏草に象徴されるのかもしれない。

    今回、高堂はあまり姿を見せない。ゴローと同様の一大事のために忙しいのだろうか。
    代わって、菌類の研究をしている南川とたびたび関わる。
    征四郎の「見聞を広める(結果として)」旅のおかげで、民俗学的なこともさまざまに描かれ、興味深かった。
    遠野物語のような雰囲気が漂う作品になった。


    クスノキ/オオアマナ/露草/サナギタケ/サギゴケ/梔子(くちなし)/ヤマユリ/茶の木/柿/ショウジョウバカマ/彼岸花/節黒仙翁(ふしぐろせんのう)/紫草(ムラサキ)/椿/河原撫子/蒟蒻(こんにゃく)/サカキ/リュウノウギク/キキョウ/マツムシソウ/アケビ/茄子/アケボノソウ/杉/タブノキ/ヒヨドリジョウゴ/樒(しきみ)/寒菊/ムラサキシキブ/ツタウルシ/枇杷/セリ/百日草/スカンポ/カツラ/ハチワカエデ/ハマゴウ/オミナエシ/茅

  • 独特の世界。クセになりそうな? 

  • 単行本で手に入れた「家守綺譚」が内容もカバーもすばらしくて、できれば続編も単行本で本棚においておきたいとおもっていた。文庫を待つ手もあったが、こんかい手に入れることが出来たので喜んでいる。行方不明になったゴローを探しに鈴鹿へ足を伸ばす主人公は、今作でも生き物のすべてを五感以上の感覚でもって享受する。隣のおかみさんはじめ、遠出した先で出会うひとや景色のなんと朗らかなこと。自然というものが、生き物と呼ばれるものがただそこに“ある”ことがこんなに心地いいのは、この作者の手腕によるのだろう。終わりかたも良かった。

  • どこまでも淡々と話が書かれ、それなのに懐かしく切ない気持ちになる一冊。 「家守綺譚」は主人公綿貫征四郎の住む生活域周辺の話で、小さい世界で話が終わっていたが、本作では話が広がり、鈴鹿山中へ足を赴ける。 本作では時代も生き方も徐々に変わっていっているような気がする。その変化を綿貫は村々に住む人と話をし、その暮らしぶりを見て感じとり、自身も変わっていっているように思う。 切なさが残る読後感であるが、今はまだ、この味に浸っていたい。 ゴロー。 来い、ゴロー。 家へ、帰るぞ。

  • 「家守綺譚」の続編作品。ゴローを見つけるために、他のことを後回しにし、ゴローの行方を追うのに、自然の中を旅していくのは、ゴローを何としても見つけたい気持ちの表れであり、大事なパートナー同然の存在だろう。探す旅をしていく中で、自然豊かな風景と植物との関わり、村田エフェンディ関連の人物との関わりで、旅の中で、自然や動植物との触れ合いでお互いの共存で大切な何かを見出していく。そして、自然の風景溢れる幻想感ある世界、水墨画の中に入り込んでいくかのような感じで、素朴感と温かみがある物語の印象。

  • 割合淡々とした描写なだけにラストのあのぐんぐんと迫ってくる感じが胸にきて泣いてしまいました。しかしゴロー登場させたらどの話の後でも終わりにできたんだな...
    三太はなんで改名したんだろう?河童だけに四股名?

  • 家守奇譚の続編ということで、綿貫氏が主人公・語り手で、しかも今回は鈴鹿の山に分け入って行く。飼い犬のゴローを探す旅である。
    「家守奇譚」よりも「海うそ」と似ている、と思った。
    フィールドワークのような趣の旅である。もちろん、家守奇譚の世界観を引き継いでいるので、龍や河童や亡くなった人が、ごく当たり前のように登場する。
    鈴鹿山中の人々の生活、忽然と現れる集落の幻想的ながらもリアルな描写に、前作の「ほんの100年前」というフレーズが呼び起こされる。
    ちょっと疲れたので星3つ。

  • 綿貫のゴローに対する愛情が溢れていて最後は涙が溢れました。ゴローやイワナの宿を探す旅の中出会う人たちの総じて温かい事に感動。しかし年若くして亡くなった菊がけなげで、力を落とした父親の姿が涙を誘います。

  • 家守奇譚も大好き。
    読み終わるのがもったいなくて、少しずつ読みました。

  • 前作『家守奇譚』の方が読みやすかったような。
    今作は中盤から旅の話になるので、庭の草木の話や、ご近所との付き合いの話にぐっときていたものとしては少し寂しい。また、ファンタジーの度合いが前回よりも色濃く感じられ、ついて行けなくなる瞬間が何度かあった。

  • 高堂の出番なさすぎてわろた・・・南川さんて誰やねん・・・。
    『家守綺譚』の流れを組む、不思議エピソードが高堂邸に帰ってこないゴロー探しの山中を舞台で繰り広げられる・・・というストーリーでした。
    どっちかっていうと雰囲気『f植物園の巣穴』ぽかったなあ。

  • 家守奇譚の続編

    優しいんだけどさらっとしている。
    読む私にとって、綿貫の生き方もこの世界も特別で羨ましく感じるけど、それが普通だからこそ美しいんだろうなあ。
    最後の3ページに喜びがぎゅっと詰まっている。

    地図を用意して読みたい。
    あと一気に読むのは勿体無いような本だと思った。

  • ゴロー!!!!

    2016/02/14 読了

    前回はふわふわと漂うようような感じだったけど今回はわくわくそわそわ。

    このあたりの地理はけっこう知っているので楽しめた。

  • 続・家守綺譚。
    凄く楽しみにしていたはずなのにすっかり忘れていて、自分の本棚のレビューを見て図書館に行ったという・・・。
    うーん、前作が家の中、およびほぼ生活圏内での話だったのに対して、近作はゴローを探しつつ旅先での不思議話。
    面白くはあるけど、フィールドが広くなった分不思議イメージも広くて物語に入りにくかった。
    個人的には、旅に出たからには家に帰るまでの物語であって欲しかったけど、ゴローとの再会で終焉なのも少し残念。
    期待が高かった分、残念感が強く残ってしまったかな。

  • 登場人物の周りへの分け隔てない思いやりがあふれる話。
    ラストの綿貫が語りかけるセリフにぐっとくる。

  • とても好き。
    刺激はないけれど、決して退屈ではない。
    こんな風に時間が流れたら良いのに。

  • 家守綺譚の続編。前回のほうがやさしい語り口で好きだった。
    何だろ・・・地名と知らない名称が多すぎるのかな?(いや、そういった方面の本も好きだしなあ)・・・短編なところも好物なんだけど、何か途中でちょっと中だるみしました。頑張って読み通しましたけど。

    最後の3Pが好き。ここ読んで、あー最後まで読んで良かったと思いました。うるっときたよ。
    でも、じゃあ次に続編が出たら読むかどうかは、ちょっと微妙かなあ・・・。

  • 前作同様、不思議で優しい感覚がすてきです。
    いずれ家守綺譚から読み直したいと思う。

  • あれから数年、相変わらずゴローと家守をする綿貫くんのお話です。ゴローを捜して、伊吹山の方面に向かうので、だいたい滋賀が舞台です。滋賀県贔屓の私には嬉しい展開ですね。ただ、前回は思い出したように書き継がれた手記が、ゴロー捜索譚となり時間が連続したり、目的ができてしまったこと、サルスベリや隣のおばさんの出番がないことなどで印象が随分違いました。まあ、この手の話は朧げな感じが好みです。

  • 関西方面に明るくないので、登場する地名が実在するものかどうかもわからずに読み進めていきつつ、1ページごとに睡魔に襲われていたが、途中のある出来事で覚醒した。そして旧友が久しぶりに現れたあたりでハッと胸をつかれ、地図をみることに。
    なんとも切ない読後感・・・。

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冬虫夏草の作品紹介

ここは天に近い場所なのだ――。『家守綺譚』以後を描く、心の冒険の物語。亡き友の生家の守を託されている駆け出し文士、綿貫征四郎。行方知れずになって半年余りが経つ愛犬ゴローの目撃情報に基づき、家も原稿もほっぽり出して鈴鹿山中に分け入った綿貫を瞠目させたもの。それは、自然の猛威には抗わぬが背筋を伸ばし、冬には冬を、夏には夏を生きる姿だった。人びとも、人にあらざる者たちも……。

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