乱鴉の島

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 177
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104308026

感想・レビュー・書評

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  • 火村シリーズ、長編でしかも孤島もの!
    孤島の閉塞感もあり、刺激的な殺害現場もあり、2人の軽快な掛け合いも健在で、大いに楽しめました。
    加えて今回は、クローンを背景にした登場人物の人間関係の謎解きも用意されており、殺人事件と繋がっているような、繋がっていないような、最後の最後まで頭をひねらされましたね。

  • 私が本格ミステリを読む時に一番に求めるのはトリックやアリバイ崩しで、正直動機は二の次。
    しかしこの作品は動機、しかも殺人事件の動機よりも孤島に集まった人々の、何故このメンバーが集まったのかという動機を探ることをメインにしているように読めた。
    そういう意味で星は少な目。
    しかし火村とアリスはいつも通り楽しく読みました。
    男性にこの表現は申し訳ないが、憧れの先生を前にしたアリスがかわいらしい。

  • シンプルでわかりやすいミステリだと思います。シンプルだったので5章を読んだところで一度本を閉じて人々を考えてみた。孤島。殺人。誰が殺したか。

  • 久々の火村先生シリーズの長編。ちょっと暗い話なので読み終えてもある程度スッキリはするものの、寂寥感が漂う。火村先生の骨休めに行ったはずがちょっとした勘違いが重なって事件に巻き込まれるのも有栖川有栖と行動してるせい?とか思ってしまう(笑)

  • 再読。作家アリスシリーズ16作目。
    16作目にして初の孤島ものである今作。
    折角の篠宮のおばあちゃんの計らいで命の洗濯の旅に出たのに、このお二人は事件に巻き込まれてしまう。
    作中のそこここに現れる烏のキーワードとポーの『大鴉』が効果的に使われていて、多数の烏の啼き声や羽音が禍々しく響きわたる不吉な島を演出している。
    この雰囲気がとても好きです。
    作中につきまとう死の影と、対比となる人間の宿命に打ち克つ復讐的なまでの生への固執。
    終章のアリスの言葉、"私は一瞬だ。それでいい。"が非常に印象に残ります。

  • 図書館にて借りました。

    てっきり「アリス・江神シリーズ」だと思ったのに「火村先生シリーズ」でした(笑)

    しかし中身は期待を裏切らずに「孤島モノ」!
    大好きです!
    しかし、今回は動機が微妙・・・。
    何かタイトルは期待感抜群だっただけに、
    「え、あっそう・・・。」みたいな感じ。

  • 火村シリーズとして読めてなかった本なので読んだ。


    火村と有栖好きなので人物を楽しむという点では面白かったけど、動機がちょっとなぁと。
    最後まで動機どういうふうにするんだろうと思って楽しみに読み進めてたから、ちょっと残念な作品でした。

  •  帯によると「火村シリーズ4年ぶりの新作長編にして、初の孤島もの!」だそうです。長編、四年ぶりなのか。マレー鉄道以来ってことかな?
     読む前から作家アリスシリーズであることが分かっていたので、安心して読み進められました。ただ、なんつーか、こう、やっぱり有栖川だよな、と。この人は本当に綺麗に話を書き上げる。綾辻みたいなオチがあるわけではないけれど、物語として切なく書き上げる。今作もまたラストが切なかったです。恋愛小説と称したいくらいだ。(「称したい」と打って「焼死体」が一発変換されましたよ。)
     手違いで、ある島にたどり着いてしまった二人が巻き込まれる殺人事件。島にいるのは館の主人と、その客人、招かれざる客、それプラス火村とアリス。
     招かれざる客であるハッシーこと初芝さんは、某元IT企業社長がモデルなんだろうな。どうもここの所読む本連続でオタクをネタにしてる気がするなぁ。
     犯人にいたる推論は相変わらずしっかりしているし、なるほどと思う。ただ登場人物も言ってたけど、ちょっと回りくどいよ火村、とは思った。
     副題というか表紙のタイトルに並べて「Nevermore」の文字。サブアイテムはポーの詩「大鴉」とクローン人間、あとは愛、かな。
     作中火村も言ってたけど、事件自体は非常に「ありふれた」もの。それを異様と感じるのはその背景のせいだろうね。孤島と鴉とそこに集まる人々と、人々が集まるその理由と。
     抜粋。
     時計を見ると、一時間が消えていた。
     アリス、それは寝てた、っつーんだよ。
     もう一つ、アリスの台詞から。
    「ああ、そうや。けれど、上からお前が落ちてきたら必ず身をかわしてやる」
     有栖川作品の抜粋は思わず笑ってしまった文ばかりだなぁ。

    06.07.07

  • 推理作家の有栖川有栖は,犯罪社会学者の火村助教授とともに気晴らしに
    三重県の島を訪れることにしたが,島を間違えて別の「烏島」に着き,
    孤高の詩人海老原瞬を囲むグループとともに滞在することになる。

    孤島で起こった殺人事件を解くという,オーソドックスな設定で
    読みやすいが,種明かしはあまりすっきりしない。

  • 結構ネタバレしてます。以下。

    事件そのものは紐解いてみればよくあるものだったけど、舞台と役者がそろいすぎてしまったがために奇妙な事件に仕上がってしまった。犯人すらそんなこと望んではいなかったのに。
    有栖川作品ってそう何作も読んでいるわけではないですが、わりとそういうのが多い気がする。
    たまたまタイミングや場所や色んな条件がそろってしまったことで起きてしまった事件とか、偶然が重なったことで真実が見えにくくなった事件とかをよく取り上げてる印象。
    それを一つ一つ丁寧に解いていくのが火村先生。
    毎回ミスリードしてくれるのがアリス。
    あと、外部から遮断された孤島なのに、連続殺人犯が潜んでいるかもしれないっていう危機感が大してなかったのは、孤島になったのも犯人の思惑じゃなくただの偶然だったからなんだろうけど、なんか拍子抜けではある。
    孤島殺人には一定の期待とロマンがあるのかしら。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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