ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104329052

感想・レビュー・書評

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  • ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル 単行本 – 2005/9/21

    現在のインターネット環境は、スタンフォード大学の関係者によって築かれた
    2015年7月18日記述

    野口悠紀雄氏の著書。
    2005年8月に出た本。

    本書冒頭で19世紀のカリフォルニアでのゴールドラッシュを紹介。
    いきなりゴールドラッシュによって人生をずたずたにされたジョン・サッターに関して解説・・やや憂鬱になる。ただサッタ-は日常性への執着、サンクコストへの執着(農場を続けようとしたこと)が間違っていたのだと言う。
    サンクコストを忘れよはよく指摘されるけれどもこれほど従うのが難しい指針もない。

    ゴールドラッシュの成功者で共通しているのは金を掘りに行かなかったこと。
    サム・ブラナン(道具の買い占め、金発見情報の宣伝)
    リーバイ・ストラウス(求められていた新しい丈夫なズボンの発明)
    ウェルズ、ファーゴ(駅馬車便による輸送、送金、通信のサービス展開)多くの人が集まってきたらその人々が何を求めているかを知り対応した。
    皆を同じことをしなかった。
    「金を掘る人を掘った」(Mining the gold miners)

    2部からは鉄道王リーランド・スタンフォードについての解説と大学設置。
    その歴史を紐解く。
    3部はシリコンバレーの起業家たちを紹介している。
    そのいずれにもスタンフォード大学が背景にあることに気付く。

    著者は2004年4月~2005年3月までスタンフォード大学客員教授をしていた。
    そのこともあってスタンフォード大についても多くの記述がある。
    興味深いのは今のITの姿になった背景にはスタンフォード大学から生まれたベンチャー企業(サン・マイクロシステムズ、シスコシステムズ、ネットスケープ、Yahoo!、Google等)が大きな役割を果たしている事実だ。

    まさに現在のインターネット環境は、スタンフォード大学の関係者によって築かれた。
    スタンフォード大学は今世界中の誰もが認めるトップ大学だ。
    しかしこれは相当凄いことであるとの認識を日本人は持っているだろうか。
    本書P165にあるように大学の序列は簡単には変わらないのだ。
    どこの国でも、どの時代によってあまり変わらない。
    イギリスでは700年以上に渡ってオックスフォード大学、ケンブリッジ大学がその地位を独占している。
    フランスでもナポレオンが作ったグランゼコール(ENA=国立行政学院、エコール・ポリテクニークなど)が指導的な地位にある状況は変わらない。
    アメリカでは東部のアイビー・リーグ校。
    日本でもエリート校は固定的。
    企業の場合はかつてエクセレント・カンパニーと呼ばれた会社であっても没落したものは山ほどある。
    その反面30年前にはなかった企業が経済をリードしている例も、いくらでもある。
    これらと比べると大学の序列における硬直性は、驚く程のものである。

    しかしスタンフォード大学はその硬直性を打ち破ったのだ。
    それを実現したのは著者も指摘した「自由、革新、チャレンジ、チャンス」
    からなる挑戦精神以外の何者でも無い。
    スタンフォード大学に留学する機会のある方は是非本書を読みこれまでの経緯を知った上で勉強されるとより良い結果になるように思えてならない。

  • プロローグ 黄金の州
    第1部 地表に金が転がっていたー19世紀のゴールドラッシュ
    第2部 鉄道王、大学を作る
    第3部 ゴールドラッシュの再来ーシリコンバレーの再来
    あとがき

  • 19世紀のゴールドラッシュと2004年ごろのゴールドラッシュを比較して、ビジネスモデルの在り方について示唆を受ける本。

  • こんな面白い経済本は初めて。

  • ■ゴールドラッシュモデル

    A.19 世紀、サンフランシスコの北で農場を経営していたジョン・サッターは、所有地で金を発見した。彼は、金の発見
    が農場に与える影響を憂慮しつつも、何の対策も講じなかった。そのため、本来なら大金持ちになるはずだったのに、
    財産の全てを失った。
    彼が全てを失った原因は、「日常性」と「サンクコスト(過去の時点で行った投資のコスト)」に対する執着にある。この2
    つは、大変化に直面した人間の判断を誤らせる元凶である。

    B.ゴールドラッシュの成功者は、自ら金を掘る代わりに、「情報を公開し、必要な道具を独占する」「人々が求めるものを作り、供給する」などのビジネスモデルによって成功を収めた。これと同様のことが、21 世紀のIT 革命においても見られる。ヤフー、グーグルなどの企業は、インターネットを使うために必要な手段を提供して、成功を収めた。

    C.米国では、産業構造の変化が進みつつある。日本の産業構造も、今後、大きく変わらざるを得ない。そのためには、優勝劣敗の競争社会を受け入れる必要がある。また、他者依存の姿勢を改め、個人が自力で未来を切り開いていくことが重要である。

  • アメリカの実態を良く知っている著者。アメリカの歴史を調べれば、アメリカ人の本質が理解できる。

  • 0608

  •  forty-niners ゴールドラッシュで集まってきた人々 1849年
     幸運に恵まれた人 rich strike
     西海岸に簡単には移動できない。一攫千金をもとめてやってきた
     フランスのニーム地方でつくられるserge serge de Nimesがなまってdemim リーバイストラウス
     駅馬車 ウェルズファーゴ社 ヘンリーウェルスとウィリアムファーゴ
      セントルイスからLAまで25日
      今銀行として残っている
     The big four チャールズクロッカー、コリスハチントン、マークホプキンス、リーランドスタンフォード
      大陸横断鉄道の建設者
       コールデンスパイク 東と西から建設した鉄道がここで完成
      スタンフォート はじめて映画
       男の子がヨーロッパ旅行中、腸チフスでなくなる。カルフォルニアの子供が私たちの子だ。
       リーランドスタンフォードジュニア大学
        はじめから工学部がある。実学重視。女性に門戸開放 1891年

  • ITとゴールド(金)の関連性、類似性を考察。ITで儲けるには昔の教訓が生きてくる。勝者と敗者の違いはなぜ起こる?今後を生き抜くためのヒントが隠されていると思いました。

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著者プロフィール

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業。64年大蔵省入省。72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て2017年9月より早稲田大学ビジネスファイナンス研究センター顧問。専攻はファイナンス理論、日本経済論。ベストセラー多数。Twitterアカウント:@yukionoguchi10

「2023年 『「超」整理手帳 スケジュール・シート スタンダード2024』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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