かがやく月の宮

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104336036

作品紹介・あらすじ

千年の時を経て、秘匿されていた真の「竹取物語」が、 鬼才の筆で今、蘇る。かの有名な竹から産まれたという逸話も、五人の公達の尋常ならざる貢物も、すべて竹取翁の仕掛けた罠だった――? 翁の術中にはまった帝は禁裏を抜け出し、竹取館へ向かう。愛しのかぐや姫と邂逅を果たした帝は、しかし、病に伏してしまった。天照大御神の末裔は一体、何を見たのか。姫が昇天する夜、月が真実を照らし出す。

感想・レビュー・書評

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  • スゲーとこ突いてきた小説。
    竹取物語をこういう風に解釈するかぁ。
    SF・ファンタジー・奇譚・とんでも歴史考察・姉弟ショタ…あるゆるものをごっちゃに詰め込んで、引っ掻き回して、最後の落としどころはあの長編小説とは、落としどころもサスガというか。

    もっと書き込もうと思ったらなんぼでも伸ばせるベースあるはずの下地、なんならこれの設定だけで結構な大河歴史ファンタジー小説が書けると思えるのに、ギューッっと濃縮して200Pあまりに納めたところも良かった。気になる伏線放置(竹取翁どうなってん、とかあるも、それでも冗長になるよりは良かったかも。

    奇想天外な小説読みたい方にお勧め。ボリュームの割に読み応えあって、伏線の張り方、解決の仕方に肝持ってかれるの楽しいよぉ

  • 『黎明に叛くもの』の作者新刊とアマゾンさんに教えてもらったので。

    古風な地の文で進むのが何とも良い雰囲気。ただどうしても、かぐや姫や翁の描写が果心と松永に思えてしまって素直に読めてないなー、と思う。で、ここでも松永は太陽にもなれず、月の傍で瞬く星なんだ、と思うと無駄に悲しくなる。

    飛鳥時代とか日本史の勉強位でしか触れてなかったから、これを機に何か読んでみようかな。…天上の虹位しか思いつかないけど。
    戦国時代も、最初の内はただの年号と人物名の羅列だったけど、良い物語に出会えたので自分の中で血肉を持った人物になったし。古代史もそうなれれば面白いだろうに。

  • 紫式部が父から受け継いだ『かがやく月の宮』にインスパイアされて『かがやく日の宮』の物語を書き始める…って枠構造。『源氏物語』誕生秘話、ですな。

    伊勢物語の「月やあらぬ…」がシラっと秋の歌に詠み代えられていたのに思わずニヤリ。

    岡山弁を喋る海賊が笑えるー

  • 竹取物語の”異本”といいましょうか…それを読む紫式部、そして源氏物語へ、という視点も良かったですね。竹取翁がかぐや姫の求婚者たちに求めた五宝が五大五行と繋がるのは、『陰陽師』読みとしてはまぁ然もありなんですが…その先、中国神話の嫦娥に繋がり、西域の神話・外法と繋がってさらに阿瑠天美須=天照まで繋がるとは!(@@;いやでもこういうの大好物だし(笑) SFファンタジーであり、ある程度の史実を織り交ぜての「空言」として非常に読み応えがあって面白かった。でも、かなり好き嫌いが分かれそうな作品ではありそうだなぁ。

  • 時の政争の凄まじさ虚しさ、生きるということの儚さ、そして何かに猛執することの狂おしいばかりの哀しみ…。
    それらを織り交ぜながら妖しなる流麗な文体で描かれた[かぐや姫異聞]

  • さらに読みやすくなってましたよ・・・。
    竹取物語モティーフです。
    そこで源氏物語につながるんか~~~いってオチと姉弟ねたは良かった・・・。

  • 紫式部が父から譲り受けた「かがやく月の宮」という巻物を読んでいく。竹取物語をモチーフにしたファンタジー。物語の中の物語。月の力だったり、月の神だったりの話が好きなので、それだけで楽しく読めました。

  • 竹取物語と持統天皇あたりの史実に天照大御神やギリシャ神話なども味付けに加えて、時代が交差しつつそれが違和感ないという、不思議な味わいの物語になって面白かった。たくさんの和歌が効果的に使われていて、それも楽しかった。

  • 竹取物語に着想を得た怪奇小説。
    ある必然現れた人ならぬ美姫・かぐや姫に都中が振り回される中で、登場人物たちの薄暗い欲望や思惑、過去が絡まり合って、一つの大きな事件が起こるという設定。

    かぐや姫というものが「実体のない」ものであること、姫に求婚して失敗する五人の貴公子たちが実は姫のことなんかどうでもよくて、藤原氏が台頭する苛烈な権力争いの中で世に埋もれた自身の評判をあげるためだけにやみくもに動く愚かさ、病弱な少年帝が抱える過去への恋慕といった裏側は、本家にない設定で面白かったです。飛鳥・白鳳時代や唐王朝の設定や、この異説・竹取物語を読み進める女性が平安時代の超有名人であることなど、細かな演出も効いています。

    ただし、ストーリーとしては展開もテンポも悪いし、辻褄が合わない点、たくさん散りばめられたはずの伏線が回収されないなどの粗が目立ち、読後感は残念ですね…。結局、竹取翁ってなんの為にあんな騒動の原因を作ったのよ…とか。

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