- Amazon.co.jp ・本 (435ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104363018
感想・レビュー・書評
-
謎の設定がなかなかナイス。ちょっと変だけど、と言いながら気にせず読んでいくのです。
ウナギの子っていうのがね。いやライオンに育てられたとかはあるけどウナギはなかろうというこのヌルヌル感が。日本人ぽいというか。
そして出会う人々もクセが強いけどなかでも毒虫を手なづけてる夫婦が圧倒的に悪で良かった。ウナギvsムカデ的な展開かと思いきや違ったけど。
まぁそういう盛り上がりがある感じではなくてふんわりとウナギと旅する日々な感じでのんびり楽しむ感じよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
残酷なのに優しいお話し。
-
ポーの話はポーひとりのことではなくて、大きくゆったりと河みたいに巡り続ける世界全体の話のようだった。
形は違うけどそれぞれの「たいせつなもの」の話や、犬や死人や水など様々な「目」の話など、物語全体というより一つ一つの小さな話達が大好きでした。
いしいしんじさんの作品はいつもほのぼのしてる皮をかぶって残酷で、でも何よりも優しいなあ・・・。
犬じじやひまし油や天気売り・・欠陥だらけで魅力的な登場人物達が愛おしくてしょうがないです。 -
メリーゴーランド、ひまし油、天気売り、犬じじ、埋め屋の女房、うみうし娘・・・それぞれが強烈な印象を与える不思議な人たちの中で生きる、うなぎ女のこども、ポーの話。
「つぐない」について、「たいせつ」について、「いのち」について、色んな人との出会いの中で学び、成長していくポーが、なんとも魅力的な感じです。
かなり読みごたえあり。 -
何回か泣きそうになった。
すごくいい話。
ジブリでアニメ化とかすればいいのに! -
どこにもいないようでいて、すぐそばにいるような気もするそんな不思議な生き物ポーの話。この本で描かれる「つぐない」が何なのか、はっきりとはわからないけど、ポーのつぐないによって人間の奥底にあるキラリと光る美しい部分が少しずつ目覚めていくような気がした。
-
リアルな世界じゃないのに風景が浮かんでくる。
いままで読んだいしいしんじ作品の中で一番キレイじゃない描写がおおいのだけど
ぜんぜんいやじゃない。
もう一度、時間が経ってから読み直したい。 -
いしいしんじの童話的長編小説。
うなぎ女の息子ポーが、川を下りながら人々と出会い世界を知っていく長い旅を描いた、文字通りの大河小説。
ほんとうのつぐないとは何か、というテーマや、旅の過程が宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」を彷彿とさせます。
初めていしいしんじ作品を読む人は、独特の世界観と登場人物に慣れるのに時間がかかるかもしれない。
童話的でありながら、ほのぼのとしたぬくもりよりは穏やかな残酷さというものを感じずにはいられない。だからこそ、そこに美しさだったり輝きだったりを見出すことができるのだけれど。
わからないこと、不思議に思ったことを人に尋ねて、かえってきた答えをしばらく考えてから自分の言葉にして理解する、というポーの姿勢が好き。
あと、村松葉子の装画が素晴らしい。