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みんなの感想・レビュー・書評
内容(「BOOK」データベースより)
満州には、「戦後」の核心が眠っている―。策謀渦巻く満州帝国で、最も危険な阿片密売を平然と仕切って巨額の資金を生み出した里見甫。その謎に満ちた生涯を克明に掘り起こし、麻薬と金に群がった軍人、政治家、女たちの欲望劇を活写する。今まで誰も解明できなかった王道楽土の最深部を抉り出した、著者の最高傑作。
日本の戦後というのは非常に歴史的に興味深い。
歴史は繰り返されるというが、繰り返されるシステムを人が作っていると
いうことを明確にあらわしているのが日本の戦後史ではないだろうか。
里見甫氏も、学校で教えられる歴史の教科書に載るような人物ではないが
戦中、戦後と色々な活動をした人である。
日本を知るうえで、読んでおいて損のない本である。
戦前の中国で「阿片王」として暗躍した里見甫を中心に渦巻く「満州の闇」に迫った力作。以下は、一気に読みとおした昨夏の日に書いた、その読後感。「どんよりとした雲とじっとりした湿気に物憂さを感じていた僕にはちょいと“クスリ”が効きすぎた。ストーリーに充満する毒気と妖気にすっかりあてられたまま、ぼんやりとした心地が今も続いている」
満州帝国とは、阿片の禁断症状と麻痺作用を巧みに操りながら築かれた、砂上の燈篭のような国家だといぅってもよかった。
エンターテイメントと呼べるような作品ではない。 綿密な取材と検証に基づいて書かれており、 評伝というよりは「阿片王」と言われた里見甫の実像に 著者がどこまで迫れるか、というルポのような作品。 里見甫はじめ、男装の麗人(?)といわれた梅村淳、 そのほかもろもろの強烈な個性の人物たちを追いながら、 常に冷静な視点を保つようつとめ、 知り得たことのみを記事にしていく著者の姿勢には好... 続きを読む »
かねてから興味のあった満州について書かれている。里見甫という人物を中心に書き綴ったノンフィクション。この人物の生き様はたしかにおもしろいのだが、事実を淡々と記述しているため(ノンフィクションだからあたりまえなのだが)小説のようなハラハラドキドキというのはない。それから、阿片王というタイトルなのだが、私にはどうも叙述の中心がその周辺人物によっているような気がする。もっと里見自身、いや満州の根本のところまで掘り進んでほしかった。ただ、筆者の取材の過程にそくして、事実を書いているので、作家はこうして取材しているのか。と感心した面はある。昨今「李香蘭」というドラマをみた影響もあるが、今は日本の戦中や満州について興味がいっぱいである。
満洲の阿片王、里見甫の評伝、と間違ってはいけない。里見本人の満洲での暗躍ぶりについて、本書はほとんど何も明らかにしていない。闇があまりに深すぎて著者の手には負えなかったのだろう。それでも、本書を読み応えのあるノンフィクションに仕上げた著者の力量は評価したい。
最後、里見の頭蓋骨に阿片常習者特有の所見が見られたところ、妙に切なく感じました。
今も昔も、必死で生きる人たちの話はおもしろい。
■かつて国際都市国家として栄華を極めた満州帝国を裏で支えていた阿片取引。それを差配していたのが「阿片王」里見甫。満州関係の本を読んだことのある私は、本書で里見の名を初めて知った。それほど闇に包まれた人物なのである。■『週刊新潮』に連載されていたこともあり、著者・佐野氏が里見の実相を徐々に明らかにしていく過程をページをめくるごとに実感できる好著である。里見は一切表の世界にでることなく中国(特に上海)... 続きを読む »
週刊誌に連載されたノンフィクションを一冊にまとめたもの。連載されてたものを既に読んでいたが、あらためて買った。日中戦争の歴史を見ていく上で、主人公である里見甫の存在を忘れてはならない。全体としては面白かったが、個人的に最後の方の「梅村」の話がちょっと長かった気が。終わり方もなんだかよくわからなかった。でも、この時代に興味のある方は見ておいた方がいい。
日中戦争は近年阿片戦争といわれるようになったが、その阿片を扱い、得たお金を日本軍だけでなく蒋介石にも流していた里見甫という謎の男の真の姿を追いかけたもの。佐野真一の調べ方は徹底している。しかし、謎が完全に解けたわけでもない。また、聞かれながら、その信憑性をいちいち書かれるのは聞かれる方としてはたまったものでない。それにしても、かつての日中間の人の交流はかくもいりくんでいたのかと感心させられる。人の評価は簡単に善玉悪玉で割り切れないものだ。






