R.S.ヴィラセニョール

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著者 : 乙川優三郎
  • 新潮社 (2017年3月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104393077

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R.S.ヴィラセニョールの感想・レビュー・書評

  •  まさか、そこからフィリピン史へ行くとは。
     でも、他国の歴史だから、小説として成り立っていると思えるのだろう。
     日本史だったら、あまりリアリティを感じることができないかもしれない。

  • フィリピン系のメソティソ(混血)のレイ・市原・ヴェラセニョールは染色家として様々な取り組みをしており千葉の田舎で生活している.近くにはメキシコ系のメソティソのロベルトも住んでおり芸術家としてのやり取りがある.レイの父のリオは若くして日本に来て働き,フィリピンに残した親戚たちを援助してきた.弟のフェルは弁護士として活躍している.芸術大学の仲間の根須広夢とも僅かだが交流がある.リオに癌が見つかり,フィリピンの親戚と交流が始まる.突然来日したフェルの語るフィリピン現代史は155頁から35頁も続くが,これだけでもすごい物語だ.マルコスに対する怨念を感じる.病弱になったリオを囲む家族の食事場面が素晴らしい.著者の時代小説は読んだことがあるが,同じ作家の作品とは思えないほど,意外性を感じ,さらに楽しめた.

  • フィリピン人の父と日本人の母をもつメスティソのレイ.染色で立つ覚悟で外房総に工房を構える.この染色に重点がかかったところと,父親のフィリピンの血の歴史への拘り、誓い,復習といった部分があって,レイにはどちらも存在の基盤であったのであろう,染色に関わる部分に心惹かれて.レイの型染を見たいと思った.

  • メスティソ、という言葉を初めて知った。
    日本人の母と、フィリピーノの父を持つ娘、仕事は染師。アイデンティティって何なんだろう。
    レイの染めた着物、見てみたい、着てみたい。

  • フィリッピンの父を持つレイが母の国で草木染め工房を持つ

  • 文書が下手すぎてびっくり。
    一文が異常に長かったり、脈絡がなかったり。
    このくらいベテランになると編集者も指摘出来ないのかな?
    とにかく読みにくい。
    まず内容が入ってこない。

  • 前知識なしに読み出したので、最後の展開には、驚きの中でぐっと引き込まれていった。
    フィリピン、なんて国なんだろうか。
    この壮絶な歴史は、私には全く想像のつかない世界なのだろう。

    染色という職人の世界に、メスティソという揺らぎを織り込んで、深く思考し、浸透する。
    一見、社会派の内容にみせて、個として落ち着く。そして広がり溶け浸みていく。
    新しいように思ったけれど、よく考えてみれば、これまでの形が進化したということではないだろうか。
    これはこれで、良かった。

    冒頭が、全然繋がらなくて、すっかり忘れていたけれど、最後にもう一度読み返して、納得。

  • 初出は2016年の「小説新潮」

    淡々とした情景描写の文体なのだが、そこから鮮やかに映像が、心情が立ちのぼる。昔からこの作者が好きな一番の理由。

    冒頭の一文の布石が終盤まで理解できないのだが、終盤に差しかかってやっと、テーマの比重を知らされる。

    マルコス政権下に父を殺されて日本に働き口を求めたフィリピン人の父と日本人の母を持つメスチソ(混血)の娘レイ・市東・ヴィラセニョールは、美大で染色を学び、江戸更紗の老舗での修行ののち外房で工房を構えた。
    日本社会で異質な者と見られて育った彼女は、自らのアイデンティティを求め、修行者の如く魂を打ち込んで求める色を追求し、和服の生地を染める主人公に感情移入させられる。
    そして、終盤で父の秘された生き方を知ってヴィラセニョールの血を嗣ごうとする彼女に驚く。


    酒井抱一や鈴木其一の名が出てくると、『麗しき花実』の理野にかぶって見えてしまう。乙川さんまた時代物を書いて欲しいなあ。

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R.S.ヴィラセニョールの作品紹介

フィリピンの流儀を通した父はかつての日本人に近かったのかもしれない。レイ・市東・ヴィラセニョールは房総半島に染色工房を構え、成果をあげかけていた。その矢先、父は病身をおして独りフィリピンへの一時帰国を望む。運命を狂わされ、独裁政権から逃れてきた父を駆り立てるものは何か。現代琳派に共鳴しつつ、母の国の伝統に立ち向かう娘のめざすところとは。広がり深まる乙川文学の最新長篇。大佛次郎賞、芸術選奨に輝く著者がさらに掘り下げた民族と家族、技芸の世界。

R.S.ヴィラセニョールはこんな本です

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