赤猫異聞

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著者 : 浅田次郎
  • 新潮社 (2012年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104394043

赤猫異聞の感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに浅田次郎で面白い!!と思った。まだまだこんな面白い作品が書けることがわかって嬉しかった。
    まずテーマがすごくいい!200年以上続いた江戸時代からガラッと変わる明治維新のドサクサな時期に行われた火事に伴う囚人の解き放ち。
    そこで働く人のことなんて考えたこともなかったけど、なるほど不浄な仕事というので成り手がなくずっと世襲で太平の世にあって唯一人を切り殺す武士。そんな仕事が嫌でも世襲なら仕方ないこと。
    それでも罪なき人を切れば鬼になってしまう、それだけは絶対に断る!という代々の不浄役人の意地と誇りをかけた所業に胸があつくなった。
    とにかく、いい。皆におすすめしたい。

  • 思いがけず一気読み。Amazon に掲載されているあらすじを読んだときから面白そうだなと思ってはいたのだが、ふと図書館でみかけて読了。

    時は明治元年、鳥羽・伏見の闘いを制した新政府が江戸入城を果たしたものの、牢屋の運営は旧体制を引き継ぐとも引き継がぬとも言われぬままという不安定な状態。江戸の町を襲う火事に、牢屋奉行石出帯刀は囚人を一時、伝馬町牢屋敷から解放する「解き放ち」を宣言する…という物語。当時牢屋を管理していた同心 2人と明治の新時代で第二の人生を生きる元囚人 3人への聞き取り調査という形で語られる「解き放ち」の詳細は、読み進むに従い徐々に核心へと迫る。

    腐敗した司法制度によって不相応な罪を着せられた囚人たちが、許された一時の中で自分自身の正義を追い求める一方、牢屋同心は牢屋同心で法とは何かを問いつめ、自ら正義を全うした…と書くと陳腐だが、浅田次郎の筆にかかるとあら不思議、江戸から明治へ、そして現代へと流れる一大エンターテイメントに一変するのだ。

  • 登場人物、みな粋な男に女!
    語り口が変わるのも、たまんねぇ。
    それぞれの視点は違えど、持っている魂は一緒。
    人の心を大切にし、真の義の道を貫く、素晴らしさ。
    結末に、あっといわされたのは、流石の浅田次郎。

  • 個性あふれる3人が主役:七之丞、お仙、繁松
    伝馬町牢屋敷の役人:石田帯刀、丸山小兵衛、杉浦、中尾
    悪役:内与力猪谷権蔵、貸し元麹屋五兵衛
    最初はまず全体を把握するために、若い中尾が話す。当然だが、上っ面しか知らないところもある。
    次は英国人おかかえ技官の妻となっている、白魚のお仙。それぞれの立場で語る。そしてだんだんと核心に迫って行くところがうまい。
    繁松の「命が二つあっても足らねぇ」と言うくだりはなかなか。
    お仙の話で、「これはもしや...」と思うのだが、うまくまとめている。お仙が心変わりするところが見せ場だ。星を見ていて思うところも自然な感じ。
    繁松と七之丞の場合は比較的に容易と思うが、さすがにうまくおさめている。
    最後はどんでん返しが待っている。

    結末の言葉も重くどっしりと来る。
    おもしろかった。感謝。

  • ひさびさに浅田節全開です。キャラがたった主人公たち、それぞれの語り口から明らかにされる明治元年暮れの大火に際しての罪人放免=伝馬町牢屋敷の解き放ちの顛末。三人の話し手が終わり、残る最終章は語り手がいないと思いきや、あっと驚く事実が明らかにされます。魅力的な登場人物たちと深い余韻を残すエンディング、浅田次郎が帰ってきました。

  • 話の途中から、オチは大体予想はついたけれど、文章を手繰って行くと胸にずんとこたえるものがあった。

  • 人に定められた道を全うすることが「正義」その儀を問う浅田作品、今回は江戸伝馬町の牢屋敷囚人が迫り来る大火のため解き放ちの命を受ける。九死に一生を得た三人の囚人と牢の管理同心二人の生き方を、義という視点から考察する。許された限られた時間の中で自分の信ずる義を大罪を犯してでも遂行試みる三人、一方白砂の裁きを厳格に執行っする同心二人。不徳の義が徳の不義を嘲笑う、そんな流れに嫌気がさしたのか、天は同心に力を与えたのか?お白砂に不正、裁判に冤罪は付き物なのか!義に生きた「壬生義士伝」を思い出される。

  • ネタバレ連発です/読み終わったあとは腑に落ちなかった。さいしょに、こんな仕事してて慈悲のある丸山は怖いなにかあるという目線から入っちゃったし、お仙、繁松の昔語りが明かされるうち、ああこれは丸山なんだろうと、見当もついてしまったし。ひとの恨みを代行して命までとるってのはどうなんだろう、それはやっちゃいけない領域じゃないのか、なんて受け止め方で読み終えてしまった。
    でもあとあと考えて、じわじわ腑に落ちてきた。
    牢屋勤めという特殊な立場。仕事で罪人の首を刎ねる半生のなかには、生きるべきものを自らの手で殺し、死ぬべき悪人は生きている理不尽を反吐が出るほど繰り返し見ていただろう。己の命の使いどころを、ずっと考える人生だったろう。ふと奇跡が重なって赤猫騒動が起きたとき、命を捨てに走ったあの3人の行き先を知っている自分なら。ほんとうの罪人の命を奪うことに今更迷いのない腕と理由を携えている自分なら。あの3人を生かすことができるなら。
    いまが命の捨て所だとおもったのだろう。それを理解してくれる友がいることも、後押ししただろう。

    あとになって思い返して、じわりじわり胸が熱くなった。正義とは言えない、でもきっと丸山小兵衛はすこし救われただろう。
    ひとは、なにかの役どころを持って生まれるものなのかもしれない。私はきちんと演じられているだろうか。台詞を間違えちゃあいないだろうか。
    深く考えさせられる1冊でした。

  • やっぱり浅田作品は引き込まれる!

  • 登場人物達の語りで物語を構成する浅田次郎得意のパターンですね。
    各登場人物達が魅力的で、特に最後の丸山と杉浦の関係性には驚かされました。
    もう少し丸山を描いてくれたらもっと良かったかな。

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赤猫異聞の作品紹介

鎮火後、三人共に戻れば無罪、一人でも逃げれば全員死罪。
数奇な運命に翻弄されつつも、時代の濁流に抗う人間たち。
激変の時をいかに生きるかを問う、傑作長編時代小説です。

赤猫異聞の文庫

赤猫異聞のKindle版

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