東大助手物語

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著者 : 中島義道
  • 新潮社 (2014年11月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104397099

東大助手物語の感想・レビュー・書評

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  • もしも、著者のことをあまり知らず、「東大助手?ちょっと面白そう」とか思って読んだ人がいるならば、さぞかし驚いたことであろうなあ。助手時代に教授から受けた理不尽な仕打ちもさることながら、著者自身の妻や母、姉に関する、あまりと言えばあまりにも露悪的な書きぶり。これまでの著作でそうしたことを読んではいたけれど、それでもなお、ちょっと腰が引けてしまう。いやあこの「芸風」は唯一無二でしょう。

    思わず芸風とか言ってしまったが、これが意識的な「芸」なのかどうかは、うーん、なんとも微妙なところ。いつもいたって真剣に「生きるのが苦しい。つらい」と言いながらも、大学教授という社会的地位があり、次々本を書き、それがまずまず売れて、評価もされている。普通なら「何が不満なのさ?」って感じだよねえ。「いつまでも自分の人生を親のせいにするな!甘えるんじゃない!」とどやしつけたくなっても不思議ではないはず。あまりそういう気にならないのはどういうわけか。

    著者は、自虐と自愛、自尊と卑下の感情が極端に強く入り交じる屈折しまくった自らの性格について、おそらくこれ以上ないほどに突き詰めて考えてきたのだろう。「いつか死んでしまうのに、なぜ苦しんで生きるのか」という問いを、とことん持ち続けて、のたうち回りながら答を探してきたんだろう。ごまかしたり、手近な答えでよしとしたりせずに。そう感じとると、大なり小なり共感して読めるのだと思う。

    わたしの場合は…、繰り返しになるが、微妙だなあ。あまりにも人の気持ちに配慮しない(わからないのではなくて、わかっていてやらない)態度を大人げないいやなヤツと思う一方、ここまで自分というものに徹底的にこだわり、世間に合わせないのはたいしたもんだと思ったりして、宙ぶらりんな気持ちになるのだ。機嫌良く生きていく上では、どこかで「テキトーである」ことも大事だとあらためて思ったりもする。

  • ラストシーンはホラー映画みたいだった。この暴露で一番傷ついたのは、糟谷教授でもなく、東大アカデミズムでもなく、近親者(奥さん、お母さん)だと思う。周りの者すべてを破壊しつくさざるを得ないのは、筆者の業、情念だろうか。偉い人はみんな変わってはると思った。

  • 著者の他の著作を読むとかなり変な人だとしか思えなかったのだが,その原因が分かった。
    人間として非常に問題の多い著者が変な教授にいじめられたという話だが,いじめかどうかは疑問。著者の人間性がおかしいのでいじめと感じただけとも思えないこともない。

    本屋で文庫本の存在を知り,図書館で調べたら単行本があったので借りてみた。

  • 2016.12.17

  • 東京大学の助手となった中島義道。その苦悩をえがく。

    *図書館の所蔵状況はこちらから確認できます*
    http://opac.lib.kitami-it.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB50107376&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  • 2015.5.24.中島義道さんはうるさい日本の私…だったかな、10年以上前から好きな方。すきといっても近くにいたらさぞかし、面倒で嫌な感じの人だと思うけれどこの方の偽善を徹底的に嫌う姿勢がすごく好きでよく読む。そんな人間にとったらこのエッセイは最高に面白かった。大学の中の人間関係はホントにややこしくて大変。

  • 916

  •  研究者としての職を得ることの困難さ。
     脚色があっては欲しいが、きっと現実は、さらに厳しかったのだろうと。

  • いまは哲学の泰斗らしい著者の助手時代に受けた恩師(?)からのいじめの模様を小説仕立てで暴露。
    恩師はカント専門家の著者を引っ張ってきたが助手以降の就職先を見つけにくく、彼の奥さんとともに著者に冷たく当たり、言葉いじめや庭の芝刈りの教養をする。
    著者が自分の奥さんも悪く書いてあったりして、リアルではあるがいまいち読後感は良くない。

  • 中島氏の東大助手時代にあった“教授からのいじめ”を中心にした仮名にしたノンフィクション(だと思う)。

    かつて僕が東大に関係していた頃に痛感したのは,東大教員という人種は,知的なのだけれど痴的でもあるということ。この本に書かれているようなことは今はないと信じていますが,登場する教授のような権威主義者は,教授でなくても助教にもいて,東大とソトを立派に区別していらっしゃる。

    最近,僕のところの学生が,東大の大学院を受験することを考慮しているということで,教育と名のつく部局の助教の先生にメールしました。志望する先生はあまり外部の方とは接触しない人らしいことは,学生本人が問い合わせた時点で分かったようなので,できればでいいのだけれど,授業を一度聴講させてもらえないか,と。

    僕は,このお願いが「丁重に断られる」ことを想定していました。何しろ教育と名のつくところなので,それなりの姿勢での返事を覚悟していましたし,当の学生にも,そう覚悟しておけと注意していました。

    ところが,2週間経っても返事はなし。僕は,“「そういう対応はできない」というお返事すらいただけなかったのは非常に残念。”とメールしました。これが,東大の教育と名のつくところの対応です。無視された側の心理について,「教育」と共に「心理」と名のつく学問のこの専門家は分からないようです。「分からないから研究している」のでしょうけど,非専門家ですら分かることだと思うのですがね。

    知的能力が高いから人格者,教育を語るものも人格者などと思ってはいけないということです。

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