遺言―桶川ストーカー殺人事件の深層

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著者 : 清水潔
  • 新潮社 (2000年10月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104405015

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遺言―桶川ストーカー殺人事件の深層の感想・レビュー・書評

  • 読み終えても数日間、感想を書けなかった。警察…なにも変わっていないなぁ…。詩織さんどれほど怖かっただろう。震える足ですがるようにして向かった警察には軽くあしらわれて心打ち砕かれただろうな…。一体なにを守っているんだろうと思ってしまった。

    医療関係や企業もだけど、組織というものは大きくなればなるほど不透明に、身内に甘く、そして強固に保守的になる。

    もともとあまりよく思っていないけど「義」が、「疑」や「偽」「欺」に変わったような気がする。

    当時この報道を目にしていて今でもよく覚えている。この事件に限らず大きな事件の報道は情報が入り乱れるばかりで、何がなんなのか最終的に濁ってわからなくなってしまうことが多い。(最近ますます多い。)

    「記者クラブ」加盟とか、そういうの読んでくらくらしてしまった。事件とは別の問題もあるのだなぁ…と…。

    不信感が増し様々な安全神話や日常がカラカラ…と崩れていくような不安を強く感じた。

    心が壊れそうになった。やっぱりノンフィクションや事件のルポとか読むと様々なものがよみがえってきてつらい。

  • 一気読み。
    この事件のことは知っていたし、
    ストーカー法のきっかけになった事件だとも知っていた。

    だけど私は何も知らなかった。
    愕然とする。
    普通の若い女性にふりかかってきた災難と、
    彼女に起きた結末と、
    そこから始まる不条理な隠蔽と情報操作に。

    そして、著者が暴いてくれたそのすべてのことに。


    警察なぁ…はぁ…

  • 先に「殺人犯はそこにいる」を読んで、俄然興味湧き、著者を有名にした先のこの本も読む。
    いやはや、デジャブ感が半端ない。
    何?この警察の怠慢ぶりの全く同じ感触は?
    「殺人犯はそこにいる」と同じではないか?
    この事件のことがFOCUSに連載されていることは知らずにいた。この中にもあるように、大手メディアが流すものしか私の耳には入ってなかったので、こんなことが裏にあったのかなんてことは知るよしもなかった。
    大手メディアの功罪も大きすぎる…。ほんとにこれらからだけの情報で判断すると知らずにトンデモナイものに加担するときがあると、心底怖く思う。
    そして一市民として、警察でどうにもならなかったらどうしようもない。本当に怖い話である。
    当の警察だってヒマじゃないし、こんなこと言われても困るという話はそれこそ毎日山のように来てるだろう。故に「あぁ、またか…」と済ませたくなる気持ちもわからなくはない。
    しかし「あ?これはもしかして…」と思ったところで潔く動いていたらこんな大事にはならずに済んだだろうとは著者と同じく強く思う。
    人は、間違うし傲慢にもなる。しかし間違えたとわかったときどう行動するかで信頼度が計られる。
    警察が「信頼回復のために」と言ったあとにこういう行動が続くようじゃ、世も末と言われてもしょうがない。

    今日もTVで「袴田さん」の冤罪ニュースをやっていた。
    少し前には「殺人犯はそこにいる」の中でも触れられていた「飯塚事件」の再審請求のこともニュースになっていた。
    明らか著者たちの仕事の成果だと思える。
    「誰が」発しているニュースかという記者個人にまでも敏感にならざるを得ないのか?と思うとそれはそれで面倒くさいことだが、自分の生活の中でも「誰が何を言っていた」という情報の真意を確かめる際、普通に使っている感覚だと思えば、それが「世間のこと」になったとたんに大手だけを信じるというのがおかしい、ということだなと改めて思う。

  • 1999年に桶川市で起きたストーカー殺人事件のルポ。

    著者の取材が、あきれるほど地道で丁寧で、でも信念に溢れたものであることは、他の著書からもよくわかる。
    マスコミの取材を一切拒否していた被害者のご両親が、唯一著者にだけは信頼を寄せ、会って話をしたというのも頷ける。

    当時、女子大生が刺殺されたとセンセーショナルに騒がれた割には、その後あまり捜査の進展が伝わってこなかったことも、しばらくしてストーカー行為をしていた人物の兄を逮捕という、ちょっと意味不明なニュースが流れたことも、年が明けてストーカー本人が自殺して見つかったことも、よく覚えている。のちに、実は警察の怠慢だったと判明したことも。
    これが世に出たのも、著者の執念の取材の結果だったということか。

    頼みの綱の警察からも体よくあしらわれ、なすすべもなくギリギリまで追い詰められた中で被害に遭われたご本人とご家族の無念を思うと、言葉がない。
    警察への社会の目が厳しくなったのもこの事件がきっかけだったと聞く。
    ストーカー行為の根絶は難しいかもしれないが、警察のお粗末な体質は、金輪際根絶されなければならない。
    それさえも難しいのだろうか。
    だとすれば悲しすぎる。

  • Twitter のTL でたまたま見かけたことをきっかけに読む機会を得たこの本は15年前の発行。その1年前に起きてしまった事件は衝撃的でした。後に「ザ・スクープ」で知ることになった埼玉県警の不祥事は世間を賑わせましたが、その「裏」では清水氏の何かに取り憑かれたような取材があったのですね。その一部始終が記されているこの著書の迫力は圧倒的で、読むことが遅いことを自覚しているこの私が、一日で読み切ってしまいました。

    読む順番は前後していますが、『殺人犯はそこにいる』に書かれている警察とマスコミ――と十把一絡げにしては失礼ですね。記者クラブメディア、或いは「警察取材」を生業とする記者たちの体質は何も変わっていないことには絶望します。

    「主犯」が最期の地に選んだ北海道。その頃、札幌に住んでいました。もしかしたらどこかで擦れ違っていたのかも――とにかくその異常性には詩織さんの友人ならずとも恐怖を感じます。本を正せば、なぜこのような異常人格が形成されたのかも知りたいものです。

    21歳で人生をぶった切られてしまった。それに相応しい理由なんて何もない。ただ不運が重なっただけ。だからやるせない。国家権力も頼りにならない。剣より強いはずのペンも役立たず。

    清水さんの存在が救いです。

  • 写真誌記者という"三流の"仕事をしていた著者が人として、職業人として、突き動かされ事件の真相に至るまでを綴ったノンフィクションだが、圧倒され、また激しい怒りが再燃した。当時、かなりのインパクトを事件から受けたが、警察の怠慢は想像以上だった。残念ながら自らの体験からすると警察のこの体質は今でもあまり変わってないと思うが、著者の仕事が各方面で社会を良い方向に動かしたと思う。それでも謙虚さを失っていない著者の高い職業意識にも敬服した。

  • 被害者の立場で真摯に向き合い、警察の及ばないほどの粘りと運にも助けられて、事件、犯人に迫っていく。素晴らしいです。それにしても、警察に腹がたちました。

  • 緊迫感連続のルポだった。犯人と事件の実行犯に迫って行く著者含め、敏腕カメラマン達の仕事への、犯人への執念は鬼気迫るものを感じた。桶川の事件から10年以上もたった今なお、ストーカー殺人事件は後を絶たない。こういった事件を再度振り返り、風化させないことが我々読者の使命な気がした。

  • 「凶悪」よろしく在野にいる犯人に迫っていく過程がスリリング。
    三流ゴシップ誌が記者クラブマスコミを出し抜いて、という構図がドラマチックでもある。

    当時もテレビで知ったつもりでいたけど、犯人像については目が行かなかった。

  • 市図書館。

    「遺体」の著者石井光太氏がおススメしている本つながりで、本書にたどり着く。

    権力を手にした人間はどこまでもそれを守ろうとし、失態を隠ぺいして事なきを得ようとする。メディアもそれを暴くのではなく、一様に同じ方向を向いて「わが身」を守ろうとする。
    では、誰がいったいこの無念を晴らしてくれるんだろうな。
    特定秘密なんちゃらになっちゃったら、あきらめるしかないんだろうな。おつかれ~ってな。

  • 日本ジャーナリスト会議(JCJ)大賞受賞作。
    「ストーカー規制法」成立の契機となった事件です。
    作者の取材にかけるジャーナリスト魂、被害者の遺族への誠意を持った対応、また掲載されている写真の生々しさ、ノンフィクションでは考えられない展開など、色んな意味で凄い本だと思います。
    結局、警察の怠慢は犯人がやっていることと同類でとても憤りを感じます。桶川ストーカー事件の真実が知れて本当に良かったです。

  • 【遺言 桶川ストーカー殺人事件の深層】 清水潔さん

    1999年10月にJR桶川駅で起こった女子大生殺人事件。
    当初、警察は通り魔の犯行と考えていたが、被害者は
    以前から自分が殺された場合の犯人を言い当てていた。

    遅々として進まない警察の捜査。
    警察よりも先に犯人にたどり着いたのは
    記者クラブにも加盟していない、写真週刊誌の記者だった。

    記者は取材を続けていく内に、信じがたい警察の対応に驚愕する。



    被害届の黙殺、告訴状の改ざん、被害者の人格を貶める
    ミスリードのリークや記者発表。

    この事件で明らかになった警察組織による犯罪行為が氷山の一角であることは
    事件後にも、引きも切らずに起こる警察官の不祥事を見ていてもよく分かる。

    最近、内田康夫さんの浅見光彦シリーズをよく読んでいるんですが、
    毎回毎回、警察の怠慢や思いこみによる手落ちなどに、光彦が嘆く場面が
    書かれているんですが、小説の中でもこの事件ほど露骨な怠慢や手落ちは
    書かれていません。
    「事実は小説よりも奇なり」といいますが、小説にもならないような
    現実はシャレにもなりません。
    二度と、こういう事件は起きて欲しくないです。

     

  • 被害者の再三の訴えに対し、いかに警察が動かなかったか、また、当時報道されていた「被害者は派手な女子大生だった」的な表現に被害者家族がどれだけ心を痛めたかがよくわかる。

  • この立場になって、警察の協力を得られなかったら地獄でしょうね。
    マスゴミの品の無さも再確認できました。

  •  ストーカー規制法のきっかけとなった事件のルポ。著者は写真週刊誌『FOCUS』の記者。覗き趣味のイエロージャーナリズムにも良心があることを示した傑作だ。腐敗しきった埼玉県上尾暑の実態を暴き、挙げ句の果てには著者が犯人を特定した。

     <a href="http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20080914/p3" target="_blank">http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20080914/p3</a>

  • 警察の恣意的な情報操作が行われていた事件の真相を暴いた週刊誌記者の実録。大手マスコミは警察の嘘発表を「事実」に仕立ててしまうし、警察を信用できないというのは凄く怖い、ということをひしひし感じました。

  • 桶川で起きたストーカー殺人事件のルポルタージュ。
    彼女は再三警察に相談したにもかかわらず、人事不介入と無視されて結局殺された。
    この事件が契機となってストーカー規制法が成立する。

    警察の不手際・無関心のみならず、捜査の不備を糊塗するための記者会見では彼女の服装を詳細に語って、「アバズレの自業自得」であるかのように印象付ける発言がなされる。笑いながら。
    そして報道はなんの考察も加えずにそのイメージをあおりたてる。

    この本の著者は週刊誌の記者。
    週刊誌の記事と、その後のテレビ番組からようやくことの真相が報じられるようになる。

    酷い、本当に酷すぎる話。
    だからこそちゃんと覚えておかなくちゃいけない。
    敵が加害者だけじゃなかったこと、無関係の(テレビを見ているだけの)自分も、報道を鵜呑みにしたら加害者になる可能性があること。
    忘れてはいけない話。

  • 清水潔というFOCUSの事件記者が真実を追い求めた「桶川女子大生ストーカー殺人事件」を、しがない三流雑誌記者(自称)の目を通して追体験できる手記です。

    この事件は、地元から4キロほどのところで起こった事件だったこともあり、現場は小さいころから映画を見るために頻繁に足を運んだこともあって個人的にもとても興味深い事件でした。

    大学に入り、「犯罪被害者報道の現代的課題」についてのシンポジウムが日弁連主催で開かれることを知り、日比谷まで足を運んだことがありました。その会場でパネリストとして参加されていたのは、事件当時「ザ・スクープ」という番組のアンカーをなさっていた鳥越俊太郎氏。彼の誘いで事件の被害者遺族、猪野京子さん(詩織さんの母)もいらっしゃっていました。
    このときから俺のこの事件に対する興味は再燃し、多数の裁判記録や書籍、テレビ番組などを自分なりに調べてきました。その中でも本書はもっとも早く真犯人を特定した雑誌記者が書いたものであるため、その秘めている訴求力は他のどの本にも劣らないものであると思います。

    自分の町を管轄する上尾署の失態や、大手マスメディアの過大なメディアスクラム、その他さまざまな問題点を露呈させたこの事件は今後風化させてはならないものだと思います。

  • 寝る間を惜しんで読んでしまった。筆者の語り口のよさもあるんだろうが、小説を読んでいるような展開が圧巻。
    ジャーナリストってカッコいいかもな、と素直に思わせてくれるのは好いんじゃないか思う。
    最近病気を公表されていたので、鳥越 俊太郎の「桶川女子大生ストーカー殺人事件」も呼んでみようかな。

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