ニシノユキヒコの恋と冒険

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104412037

感想・レビュー・書評

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  • 色々な女性が、ニシノユキヒコを通じて語られる物語。どの女性も身近に感じ、ニシノユキヒコみたいな人も、どこにでもいるように感じる。どの話も素敵で、心にグサグサ刺さる。

  • 映画を観て、久々にまた読みたくなって。
    最後に読んだのは2008年の2月でした。6年前か。その頃あたりから読書量がものすごく増えた気がする。
    6年前はニシノユキヒコはいい加減なバカなチャラ男としか思えなかった。
    けど今読むと違う。可哀想だなって。こういう男はモテる。モテるけど孤独、ってのがよくよくわかる。女の子産めなかったね。

    映画での夏美さんではない、原作の夏美さんが好き。

  • 映画化されます。ニシノユキヒコ役は竹野内豊さん。観たいな〜。

    読んだのはもう随分前なので、ふわっとしか覚えていませんが。
    飄々として掴み所のない、でもハートはがっしり掴む所作はうまいニシノユキヒコ。彼に惹かれた女性達のお話です。女は彼を愛するけれど、最後は必ず去って行く。

    こういう人を好きだったことを思い出しました。
    こういう人を好きな自分は、不幸のど真ん中にある一点の幸福に包まれている気分になります。女をそんな気分にさせる男は不幸な人なんだなとしみじみ感じました。

  • 2014.2 井口奈巳監督の映画が公開されるので、その前に原作を読む。

    猫のような、水のような、風のような、ふとんのような、子供のような、ニシノユキヒコと10人の女の話。

    女は、このひとをほんとうは好きではないのかもしれない、とおもう。


    ニシノさんに、みなみちゃん、て呼ばれると、てのひらに濃い色の油絵の具がついて、洗っても洗っても落とせなくなったときみたいな気分になったわよ。

    ニシノ君とのキスは、さみしかった。
    今まで知った どんなさみしい瞬間よりも。


    苦くて甘くさみしいにおいが、去っていったそのあとも残る男性は、キライ。どうしようもなく惹かれるから。

    井口監督の映画たのしみだな。
    スクリーンの前でうすあかくなるんだろうな。

    2014.01.27

  • 結局私はこういうひとに惹かれてしまうのだ。仕方ない。

  • 平たんなお話

  • 川上弘美のなかでマイベストかも、な1冊。
    各章の構成とか、ひとそれぞれいろいろな好きがあるんだなあとか、思っていたよりもずっと読みがいがあって、再熟読したい。
    いまのツボは「おやすみ」「水銀体温計」「夏の終わりの王国」。
    「ぶどう」は、ちょっと腑に落ちてない。。。

  • 西野くんみたいな男にはひっかかっちゃいけないと心底思いました。でもいたら惹かれるとも思いました。ダメすぎる。

  • 1人の女性を愛せない、というニシノユキヒコの抱える心の葛藤は、永遠は存在しないこと、何もかもいつかは失ってしまう時が来ることへの恐怖ではないか、と思った。
    姉の死によって永遠が存在しないことを思い知りつつも、永遠に大切な存在を求めてしまう。しかし、それを見つけたとしても、大切なものを再び失うことが怖いユキヒコは、手に入れられない。
    そんなユキヒコのジレンマは読んでいて、無性に哀しかった。

  • さわやかで人気があって、いつも複数の女性とつき合っているが、こどものようでもあってどこか憎めず、影のある男、ニシノユキヒコを女性たちの視点で語ったお話が、一冊にまとめられている。よんでいるときも、読み終わってからもしんみりしてしまう。
    ニシノくんの、無常感からくる恐れや不安は、何をしても誰といても、ほとんど和らぐことはなかったんだな、と思う。
    ニシノ君は、お姉さんの死によって、死をすごく強く意識するようになったんじゃないか。いつも死を意識しているひとは、他のひとにやさしくなることが多いと思う。
    ニシノ君の晩年を描いている「ぶどう」では、ニシノくんはやっと、ひとを愛せるようになったようだが、それは、相手を束縛するような愛であり、ニシノ君は相手からは愛されていない。彼は、風邪をひいている彼女のために、ぶどうを買いにでかけていくが、出先で事故に遭い命を落とす。ひとを愛するということは、ときに命をおとしてしまうほど難しいものなのだと、このお話に神話のような普遍性を感じてしまいました。
    私が特にすきなお話は、「ドキドキしちゃう」。海辺でのシーンに、共感のようなものを覚えるひとは多いんじゃないかな。

著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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