雪沼とその周辺

  • 370人登録
  • 3.73評価
    • (58)
    • (45)
    • (107)
    • (4)
    • (0)
  • 75レビュー
著者 : 堀江敏幸
  • 新潮社 (2003年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104471027

雪沼とその周辺の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 谷崎潤一郎賞、川端康成賞受賞作品。初堀江さん。雪があるうちにと思って、季節に合わせて手にしてみた。うまく言えないが何かの気配を感じる作品。じんわりと優しい。

    スタンス・ドット イラクサの庭 河岸段丘 送り火 レンガを積む ピラニア 緩斜面の7章短編連作。ゆるやかにつながっている物語が心にしみる。

    目立った出来事も事件もないオチもないし盛り上がりもない。雪野のように真っ白で平坦な雰囲気。 便利になり何でも手に入りやすくなった世の中。なのだけど物語の中の雪沼周辺に住んでいる人々は、そこだけ時間が止まったようでひっそりと暮らす日々を送っている。静謐。

    小物も一昔前のものが多く登場し懐かしく胸の奥ががきりっと痛んだ。ノスタルジック。ぼんやりとした死があって人生を少しずつ閉じてゆくような寂しさ。ここまで来てしまったけど、これでよかったのか自分…と自身に問いかけながら読了。(特に「スタンス・ドット」この章がとてもいい…)

    他、「河岸段丘」と「送り火」がとても心に響いた。あまりに静かすぎて物語の中の人々は死者や魂だけの実体のない状態なのでは…とか思うほど、水の底というか雪の中的な作品でした。毎晩少しずつ読み1章終えるごとに、ほぉ…と息を出して余韻を味わい、それから寝るのが心地よかった。堀江さん他も読んでみたい。

  • タイトル通り、雪沼とその周辺の話。短編集だが、同じ街を舞台にしているから、さりげなく繋がっていたりする。見過ごしてしまいそうなほどさりげなく。

    人生というものは、このページ数でも書き表すことができるのかと感嘆した。その人の生き様が濃縮されて描かれた物語ばかりで、情け深く、味わい深い。いずれもラストに幻のような瞬間があるところが、かえって人間的に映る。
    とりわけ「送り火」が好きだった。レコードからCDへの移り変わりが描かれた「レンガを積む」も面白かった。

    この人の本は読みにくいと思い込んでいたのはなぜだろう。柔らかな文章が、とても好みだ。

  • 資料番号:010606754
    請求記号:F/ホリエ

    『仙台市荒浜地区の図書館員による、あのとき役に立った本』
    ※今回、ゆうき図書館3月のイベント棚では、仙台市荒浜区で被災した図書館員の方に、ご協力頂いています。

  • 湿り気を帯びた文章で描かれた、地方に暮らす人々の姿を浮かび上がらせる物語。織物職人が機織り機で糸を織り込み複雑な模様を形作るように、堀江敏幸という作家は細やかでしっとりとしたその文章で物語と登場人物の人生を丁寧に紡ぎ出している。佳作。

  • 別に、これと言ったドラマチックな展開もなく、刺激的な展開もなく、しかし読むのを止められない。そんな作品です。著者の筆力に脱帽です。また、読み返したいと思わせます。他の著作も読んでみたいです。

  • 再読。じっくり落ち着いて読みたい本です。自分の”スタンスドット”をあらためて考えさせられました。

  • 表現がとても映像的で、穏やかな物語を光らせる。
    一つ一つの表現から、音色や質感を感じさせるのは本当に読んでいて驚かされるし、心踊る作家さん。

    寂しさと人間臭さに魅了されます。

  • 堀江敏幸さんの文体に憧れています。川端康成文学賞を受賞した『スタンド・ドット』を含む、最新連作短編集。小説ですが、評論のような、エッセイのような、一種名状し難い、うねうねと続く文、いつの間にか物語りに引き込まれ、私は電車を乗り過ごす...そんな文章を書きたいのですが、現実はなかなか厳しい。

  • 「雪沼」という響きの通り、ここで語られるのは
    とても静かな7つのお話です。
    時代から取り残されたような小さな町。そこに住む人々もまた
    ずっと大切にしてきた旧式の道具や機械とともに日々を送っています。
    今日で最後の営業日となるボウリング場の店主。
    理想の音を求めてスピーカーの下にレンガを積むレコード店主。
    20年以上も旧い裁断機を大事に使い続ける製函工場のオーナー・・・
    ドラマチックな出来事も、辛い出来事も、ここでは声高に語られることはありません。
    でも、どのお話に出てくる人の感情も、記憶も、読みすすめるうちにゆっくりと心の中に残り、読み終えた時には、たとえ幸せばかりではないお話だとしてもおだやかな気持ちになります。
    降る雪は冷たくても、つもるとあたたかい、そんな感じににているかもしれません。
    私たちの生活の中に、日々大声で割って入ってくる効率ばかりを求める騒がしい言葉に疲れたり不安になったりしたら、ぜひこの本を手に取ってみて下さい。
    ここには、世界がどんなに変わっても、ずっと変わらず人とも、物とも心を通わせながら誠実に暮らす人たちがいて、いつでもあなたを迎えてくれるはずです。それは現実から「逃げる」ことではなくて、もう一度自分にとって大切なものを確かめるような時間だと思うのです。(N.M)

  • 誰にでも生活の中に大切な一場面があって、そこだけ見ると地味だけれど、その人がそれまでどういう風に生きてきたかを併せて見ると、ちょっと感動してしまう話になったりする。
    一場面一場面を大切に噛み締めて暮らしてみようかな。すぐに飽きて忘れるかもしれないけど、思い立った今だけでも。

全75件中 1 - 10件を表示

堀江敏幸の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

雪沼とその周辺に関連する談話室の質問

雪沼とその周辺を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

雪沼とその周辺の文庫

ツイートする