うかんむりのこども

著者 :
  • 新潮社
3.74
  • (25)
  • (23)
  • (31)
  • (7)
  • (1)
本棚登録 : 363
感想 : 37
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (141ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104491032

作品紹介・あらすじ

「自我自讃」に「自画持参」、「短刀直入」、一番大切な漢字を決める……文字モジした言葉エッセイ集。「俺」と「僕」には「人」がいるが、「私」の中には不在の「人」。「禾」が「人」になると「私」は「仏」、死して「私」は初めて「人」になる? 絵文字の元祖、(笑)(怒)(仮)につづく( )内の新顔、あらゆるところに潜む「心」、一番偉そうな漢字、文字を売る店……クラフト・エヴィング商會の物語作者がカラーイラストつきで綴る、日本語の愉しみ方。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 昨日、美容院で
    隣に座って、パーマをあてていたお客に
    美容師さんが
    雑誌を差し出していた。

    「時間まで少しお待ちください。」
    それは良くある女性週刊誌の類であったが、
    ふと。

    (時間まで少々お待ちください、と言われ、
     差し出された本がもしも『辞書』だったら…。)

    などと、アホな事を想像し、
    思わず吹き出しそうになった。(^^;

    が。

    この本の著者なら
    「あ~、どうも、どうも!これがちょうど読みたかったのです!」
    と、言ってたいへん喜びそうな気がする。

    字遊びのフィールド本♪

    私も辞書はOKなほう。(重いのが多少難ですけど。)

  • 吉田篤弘さんの「文字」についてのエッセイ。
    謎かけのような、駄洒落のような、漫才のようなあれこれ。
    エッセイというジャンルの懐の深さに感嘆する。

    漢字と英単語はある時まで暗記するものだったのに、いつから「どうして?」と考え始めるようになったんだろう。
    いや、正確には、「どうして?」と言うのをある時にやめて、黙々と書き取りを始めて、またある時に「どうして?」が復活した。
    たぶんそれは書き取りをしなくてよくなったのと同時。

    吉田篤弘さんは私なんかよりもずっと前、ずっと深いところを探検している。
    読んでいて、「そんなところまで行っちゃいましたか!」と驚いてばかりだった。
    早く追いつきたいなと少し焦るけれど、吉田篤弘さんが見つけていない小道に寄り道しながら、私は私のペースで探検していきたいとも思う。

    たまには今どのあたりにいるのかエッセイで教えてくださいね…。とお願いしながら。

  • 文字にまつわる短いお話が、全部で24個。
    吉田さん流の言葉遊び、文字遊びに翻弄されてしまいます。
    普段何気なく目にする漢字を、じっくり見つめて、手に取って眺めて、ちょこっといたずらなんかしちゃったりすると、こんな豊かなストーリーが生まれてくるのだなぁ…と、思わずため息がこぼれました。

    図書館の分類上は914.6(エッセイ)に属するようですが、物語を読んでいる感覚でした。
    時にユーモアのセンスに感心し、時にう~むと考えさせられ、時にくすっと笑いがこぼれる。
    ほっこりした気持ちになりつつも、あそび心がうずうずしてくる本でした。

  • ひさしぶりに
    地元の図書館に寄ってみた

    「あまり…」
    という感じをてつも抱いてしまうので
    めったに寄らないのですが

    「エッセイ・随筆」というコーナーがあって
    何気なく 眺めていた時に
    目に飛び込んできた一冊

    本の大きさといい
    装丁といい
    手にした感じと言い
    ちょいとページを開けて

    おっ これは これは

    とさっそく家に連れて帰って
    まだ 梅雨の気配が遠い
    青い空が広い そよ風の日に
    窓辺に椅子を持ってきて
    いよいよページを繰る

    まさに
    こんな日の為に
    あるような 一冊でした

  • 漢字に纏わるお話。
    一文字で表現できる奥の深さ、その成り立ちや組み合わせ、展開の広がりは無限ではないけれど、探検するには十分すぎるほど。
    漢和辞典が愛読書だったわたしに、とっておきの一冊。

  • 漢字にまつわるエッセイのようなおはなし。改めて漢字を眺めて書きたくなる。

  • 字の向こうには必ず人がいる。
    当たり前のことに気づけなくなった時、ここに戻って来たい。
    まるで落語を聴いてるような心地よさの本でした。

    1 何かを書く時はその先に必ず人がいる。
    2 「門」この字の向こうに行くことを想像してみて。結婚おもしろい

  • 日本語、言葉、特に漢字にまつわる、著者ならではのエッセイ。

    横長の装丁が、まず特徴的で、多く並ぶ書籍の中で、ぱっと目に付いた。絵本かなにかを手に取ったような印象だった。
    この縦横比は、このエッセイが連載されていた『銀座百点』に倣ったものらしい(それより横長な気がするけど)。

    なので、言葉をめぐる考察、エッセイでありながら、銀座の街並みも、ときおり透けて見えるようにもなっている。

    漢字の由来、言葉の本義に迫るようなところもあるが、大半はユーモアを交えたお話。むしろ、あれこれ考えた末に、ストンとオチがついて落ち着くように、巧く練られた小話になっている。
    そんなところも、著者ならではだな、と感心。

    これは手元に置いておきたいな、と思う反面、書棚からはみ出るかな?とその座りの悪さもちょっと気になるところ(笑)

    こりゃ、プレゼント向きかな。

  • 言葉・文字遊びが、楽しく面白い。
    漢字から広がる24のお話に、
    笑えたり考えさせられたり。

    「月」は特に心に残った。
    普段あまり気に留めてなかったことも、こんな風に考えたら、そうだよね、いつもそばにいたのは「月」だった。

    装丁も、イラストも、素敵。
    読み終わっても飾っておきたい◎


    「文字を買う」「心さみしいときは」「感じ」「月」「てきとう」「うかんむり」が特に◎

  • 漢字を主題にした作者得意の言葉遊び満載の小話集。エッセイという書いてあるが、落語のような明確なオチがある話も多いので、物語と言っても差し支えない気がする。連載していた冊子に合わせた横長の版型が珍しい。

  • クラフトエディングっぽい感じで、楽しかった。

  • 漢字の好きな父に贈る為に購入。吉田篤弘さんの言葉遊びは面白いな。装丁屋らしい装丁もイイネ。父の感想が楽しみ。

  • 吉田さんの本というよりは、クラフト・エヴィングっぽい内容だった気がします。
    まあまあ面白い小咄という感じだったけど、内容のわりにちょっと値段が高すぎる気がする。装丁代なんだと思うけど。

  • 横長なのは『銀座百点』だからだそうで。
    漢字を使った軽やかに人を喰った物語風エッセイ。

    装幀・イラスト / クラフト・エヴィング商會(吉田浩美・吉田篤弘)
    初出 / 『銀座百点』2011年1月号~2012年12月号

  • 吉田篤弘さんの"世界の構築力"を盗みたいと思って著作を読ませてもらうのですが、いつもうやむやにされてしまう。困った(。-_-。)
    そして、言葉に対する鋭さがとてつもないんだよなあ。

  • 漢字や言葉のエッセイ。

    普段から目にしてる漢字ばかりで、新たな発見がいっぱいです。
    本当だ!スゴイ!!ってなりました。

  • この本を読むには十分な気力が必要です。集中力も。
    そのうち、うかんむりが目に張り付いておかしな感覚になります。
    ほー、へー、確かにねーと思うことばかり。
    ただ、突き詰めていくと頭が混乱しました。
    それを楽しんでいるんじゃないかと思ったり。
    言葉の魔術師かー。

  • 不思議な空気と文体にすいすい吸い寄せられ、迷い込んでしまう感じ。

  • 漢字の見方が面白くなってしまうような24編。エッセイのような物語のような不思議な文章。吉田篤弘さんのユーモラスな語り口で楽しく、また「へえ」と文字を学ぶような感覚で読むことができた。最後の、落ちの付け方も良い。

  • 漢字の本だった!タイトルに納得。

全37件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1962年、東京生まれ。小説を執筆しつつ、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作、装丁の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂とぼく』『雲と鉛筆』 (いずれもちくまプリマー新書)、『つむじ風食堂の夜』(ちくま文庫)、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナリザの背中』(中公文庫)など著書多数。

「2022年 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉田篤弘の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×