ひなこまち しゃばけシリーズ 11

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 191
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104507160

作品紹介・あらすじ

大人気「しゃばけ」シリーズ第11弾!

感想・レビュー・書評

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  • 「しゃばけ」シリーズも11作目。
    若だんなこと長崎屋の一太郎と、いつもの面々が活躍、まとまった仕上がりで楽しく読めました。

    短編連作で、冒頭の木札が最後まで引っ張ります。
    「ろくでなしの船箪笥」「ばくのふだ」「ひなこまち」「さくらがり」「河童の秘薬」の5編。

    「ろくでなしの船箪笥」は、小乃屋が、本家の祖父からの遺産として貰いうけるはずのもの。
    これが、開けることができないので、何か貴重な品を隠してるのではと疑われ、本家と揉めてしまう。
    相談に乗った若だんなは‥?
    自ら店に行ける程度には元気なので、ちょっとほっとします。

    「ばくのふだ」は近くで行われた寄席の場で、噺家に向けて刀を出した侍が。
    その噺家はなんと夢を食う獏?
    獏が絵馬から抜け出したので、あちこちで怪異が起こっていたという。

    「ひなこまち」は雛小町。
    大名家におさめる雛の顔のモデルに、江戸一番の美女を選ぶという催しが。
    似合う着物を着て歩く娘達に、親も期待をかける。
    娘が身内にいない長崎屋の主人も、審査を頼まれた。
    これが意外に波紋を呼び‥

    「さくらがり」
    花見にたくさんお弁当を持って行こうという若だんなに、手代の兄や達も機嫌よく支度に取り掛かる。
    前にもやったっけ、いや初めてだよねとぼんやり失ったパラレルな経験を思い浮かべながら‥
    そこで出会ったお侍に、惚れ薬を欲しいといわれるが?

    「河童の秘薬」
    1話目に出てきた河童のお礼に、「さくらがり」で秘薬を貰った若だんな。
    思いつめた女性・雪柳が現れ、どうも秘薬は効かなかったらしいと打ち明けに。
    いつの間にか彼女についてきた迷子とは。
    いつしか皆は異世界に来ていたが‥?

    若だんなの具合があまり悪いと、読んでいるこっちも引きずられて寝込みそうになるので、普通な状態のときが長めに続きますように!お願いしたいです~☆
    江戸の人情ものであり、妖怪の存在にも人間の心にも陰影あるとはいえ、基本は、可愛らしくほのぼのしているのがこの世界の一番の魅力だと思いますから。

  • しゃばけシリーズももう11冊目ですか。
    今回は若だんながあんまり寝込むこともなく、自立心がよりはっきりしてきて成長が感じられましたね。
    がんばれ、次は一太郎の恋の話が読みたい。
    少々マンネリというか盛り上がりに欠けるきらいはありましたが、彼の優しさが光ってましたね。

    若だんなのところでやってきた助けを求める木札。
    そこからいろいろ持ち込まれたり巻き込まれたりする騒動を、いつものごとく妖たちと解決していきます。
    河童やら夢を食べる獏やら、そして大名の側室候補の雛小町選びときて、ラストはみんなの幸せを願って終わる。
    さすがに安定感があります。ほっこり。

    しゃばけを読むと、しばらくなんでもない物音を「あ、鳴家だ」って思っちゃうんだよねー。

  • あっという間に読了。
    仁吉と屏風のぞきがメインのストーリーも面白い。
    禰々子が再登場したのもうれしい(だいぶ印象が変わっていたけれど)。
    仁吉と佐助の喧嘩も興味深い。禰々子と3人で喧嘩していたら、若だんなが危ないと思うけど(笑)。
    相変わらず私の脳内で、しゃばけはSnowManが演じているのだけれど、禰々子はたいそう強いらしいので、綾瀬はるかさんが演じたら素敵かもなぁ。

  • ほっこり感を求めて最新刊を手にとってみたけれども、いまひとつ。
    「困っている」事が若だんなのところへ一話ごとに持ち込まれるのだけれども、その「困っている」事が、以前の作品にあったような切実さを感じられない。全体に何かお気楽な空気が漂っている。
    白粉屋の娘が白塗り仮面になってしまうまで白粉を塗らずにいられない苦しみや、勤め先の井戸に毒を放り込みそうになるまで追い詰められてそれでも乗り越えてまっとうに生きようとしている、そんな市井の人々の姿や内面がさっぱり描かれていない。
    このシリーズの肝は、病弱な若だんながどうにもならないものを抱えながらもまっすぐに生きよう、周りの人々も助けよう、誠実に自分の命を生き抜こうとする姿勢、人間が生きるというのはどういう事なのかというとても重たいテーマに、そういった事とは無縁の妖怪たちの能天気でそれゆえ時に恐ろしい性質が対比となって生まれる味わいにある。
    数作前あたりから、妖怪の可愛さ面白さに重点が移ってきていて、寄りかかってきている印象があったけれども、今作ではすっかり寄っかかってしまっている。
    妖怪の可愛さ(とくに鳴家)、面白さを前面に出せばもしかすると「売れやすい」のかもしれないけれども、物語としての力は薄まる。折角のこの世界観をみすみす勿体無い事を、とファンとしては惜しむばかり。
    前述の、井戸に毒を放り込みかけた松之助を若だんなのビイドロが救ったエピソード。読むたびに、いや思い出すだけでも心が満たされ自分も救われた心持になれる。ビイドロの青い色、月の光、松之助が抱えてきた孤独感、それを包む若だんなのあたたかさ。全てがひしひしと伝わってくる。
    これだけの力のある物語を生み出せたシリーズがなぜこうなってしまったのか。本当に、心の底から残念でならない。

  • 若だんなはある日、1つの木札と出会った。

    若だんなに助けを求めて、色んな人が訪れる。5つのお話がつなかっている。
    謎だった木札の送り主は、わからぬままで終わる。

    ねね子様格好良い。鳴家かわいい。

  • 日限の親分の久々の登場が嬉しかったです。確かおかみさんの具合が悪かったはずですが,よくなったのでしょうかね。貰いっ子をしたのですか。ほう,親ばか丸出しとは微笑ましい。。。

  • しゃばけシリーズ。かっぱの甲羅のかけらや秘薬がでてきた。若旦那もなじんだな~
    相変わらず家鳴りの「きゅい~」っていうなきごえがかわいい。
    「たすけてください」っていう木札にはじまって、雪柳の夢の中。
    付喪神たちなのになんだか親しみがわく。

  • しゃばけシリーズ最新作。

    短編5作品ですが、若だんなの手元に助けを求める札が迷い込んだことから、始まるストーリーで、5つの作品は繋がっています。
    お花見の時に、ふっと小紅を想い出すシーンなどは、とてもいいです。
    若だんなは、小紅のことちゃーんと覚えてるんですね。

    そして、今回、新たに仲間に登場した妖は、夢を食べる獏。
    これからも登場しそうで楽しみです。

    今回の話では、若だんなが身体が弱いながらも、”誰か”を助けるために奔走します。もう、子供じゃないというちょっとしっかりした若だんなも良いですね。

    いつかこの先の物語で安吾様と雪柳様も登場してくれたらいいのに。

    この作品では、いつのも若だんなのほっとするような雰囲気に加え、力強さも感じましたし、もちろん、さわやかな読後感はいつも通りです。

  • <目次>


    <内容>
    江戸の美人を「雛小町」のランクにする話を軸に、河童の彌彌子の秘薬がかき回していく。若旦那の推理が冴えます。妖たちも大活躍❢

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著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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