たぶんねこ しゃばけシリーズ 12

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104507184

作品紹介・あらすじ

病弱若だんなが兄やと交わした五つの約束とは? 累計580万部「しゃばけ」シリーズ最新作! えっ、若だんなが大店の跡取り息子たちと稼ぎの競い合いをすることになったってぇ!? 長崎屋には超不器用な女の子が花嫁修業に来るし、幼なじみの栄吉が奉公する安野屋は生意気な新入りの小僧のおかげで大騒ぎ。おまけに幽霊が猫に化けて……。てんやわんやの第十二弾の鍵を握るのは、荼枳尼天様と「神の庭」!

感想・レビュー・書評

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  • しゃばけシリーズも12弾。
    連作短編5編が入り、快調です。
    江戸は通町(とおりちょう)の廻船問屋兼薬種問屋、長崎屋の若だんな、一太郎は身体が弱い。
    祖母のおぎんが大妖という妖怪だったため、妖怪を見ることが出来て、何かと不思議なことに巻き込まれる。
    珍しくふた月寝込まなかったので、喜んだ手代の兄やたちに今度こそ丈夫になるために半年の間は大人しくしていてくれと頼まれ、約束するのだが‥?

    「跡取り三人」
    一太郎ら3人の若者が、商家の集まりで跡取りとして披露される。
    塗物問屋の跡取り、幸七は一番年上で身体も丈夫。
    煙管問屋の跡取り、小一郎は木刀が得意で侍のように生真面目。
    両国の親分、大貞の発案で、3人は一月の間の稼ぎを競い、器量を試されることになる。
    工夫して一時は稼げるようになった一太郎だが、この話に疑問を感じ‥?

    「こいさがし」
    若だんなの母おたえが行儀見習いに娘を預かることに。
    ところが、この於こん、可愛いのだが家事はまるで出来ない。江戸で14歳ともなれば一人前の娘なのに。
    折りしも、大貞が見合いを世話しようとして手下が苦労していて、一太郎は一肌脱ぐことに。
    河童まで、その日に見合いをすることになり、縁談は行き違ってもつれるが‥?

    「くたびれ砂糖」
    栄吉の働く和菓子屋の安野屋に、3人の新入りが入るが、これが生意気な男の子達。
    たまたま主人が腹痛で寝込んでいるため、押さえが利かない。
    安野屋で起きた事件を解きほぐす若だんな。

    「みどりのたま」
    河童の秘薬を取り合ううち、川に落ちて記憶を失った仁吉。
    手代とは仮の姿、妖怪の白沢なのだが‥
    白沢としての仁吉を知る妖狐の古松に出会うが?
    神の庭にいる忘れえぬ人への思いが切ない。

    「たぶんねこ」
    たぶん、て何?と思うでしょう。その理由が楽しい。
    見越の入道が江戸に連れてきた幽霊の月丸。
    なんとも不運な男で、成仏できなかったのだが、どこにも居場所がない。
    月丸の入っていた巾着の中に吸い込まれるように落ちてしまった若だんなは行方不明となるが‥?
    月丸が諦めてただ消えていきそうになるのが嫌でたまらない若だんな。そして‥?

    若い子のわがままや世間知らずっぷりは、現代にも通じるかも。
    イライラしそうになるけど~幼くても元気で、おさまるところにおさまるので、途中で憎めなくなります。
    起きることやその後の采配はお江戸妖怪譚ならではですが。
    若だんなの優しさが光ります。
    もう少しだけ元気になってほしいなあ‥時々は寝込むにしてもね。

  • 毎度おなじみ、病みがちの若だんなと兄やたちと妖の面々が、騒動や災難に巻き込まれてしまう「しゃばけ」シリーズ12弾。
    のっけから一太郎がふた月も元気でいたりして、芯から丈夫になるために向こう半年養生する約束をします。

    ところが
    跡取り息子として仕事を頑張ろうと奮闘したり
    恋や見合いのいざこざに巻き込まれたり
    和菓子屋栄吉の修行先の騒動を解決したり
    仁吉が川に落ちて行方知らずになった上に記憶喪失で見つかったり
    猫に化ける幽霊と一緒に夜の町を彷徨ったり

    どうにもこうにも無理や心労から逃れられず、相変わらず寝込みがちで過保護な日々を送っているようです。

    それぞれ趣向が違っていて、どれも面白かったのですが、そろそろ次の展開がほしいかなー。
    がっつり長編を読みたいかも。

  • 『しゃばけ』シリーズ・第十二弾、普段は文庫版で読んでいるのですが、
    今回はブクブク交換でソフトカバー版をゲットしてホクホクと。

    珍しくもひと月の間寝込むことのなかった若だんな、
    半年の間、おとなしくしていることを約束させられたようですが、、さて。

    ちょっと変わったスタートでしたが、
    相変わらずにほっこりな感じの、連作短編でした。

    “日常”が変わらずに続くことって、ありがたいなぁ、と。
    でも、そんな中でも変わらざるえない事があるのもまた、真実で。

    個人的には、栄吉さんの菓子作りの腕前が、、
    わずかでもいいから上がってほしいなぁとも。。

  • もう第十二段になってしまった。
    まさか若だんなが両国で働くとは思いもよらず。
    栄吉さんは菓子作りが下手で頼りなく思えるけど、小僧への対処はしっかりしてる。若だんなとの友情にもキュンとする。
    記憶をなくした仁吉の、おぎん様との再会にちょっと切なくなった。それでも仁吉が居たいと思える場所、若だんながいてよかったな。
    若だんなが外に出かけられず世事に疎いので、仁吉や佐助は、本来であれば非常識なこと、おかしなことなどを若だんなに教える。そのおかげで、江戸時代に疎い私も、読みながらその時代の暮らしや価値観をイメージできて、ありがたい。
    脳内配役:
    前作で、河童の親玉・禰々子は綾瀬はるかさんが演じると面白いなと思っていたが、今回の見合い話の、禰々子の素っ頓狂な受け答えを見事コミカルに演じてくれそうで、脳内配役にハマりました。
    幽霊役は深澤辰哉さんが、ハマるかもなぁ。顔立ちがいけてて、なんでも器用にこなし、でもなし得ず、甘え上手なところとか。

  • 安定のほのぼの感。短編連作で読みやすいし重なるのがやはり好みの構成。序と終がまた面白い。最後まで読んでから序を読み返したら見事に約束五つコンプリートで、思わず笑った。

  • 1年に一度のお楽しみ。
    やはり鳴家は極上の癒し。
    ほんわかした雰囲気の中にも、どきりとするような作者の洞察力が垣間見える。
    いつまでもぶれない、しゃばけワールド。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「やはり鳴家は極上の癒し。」
      可愛いよね!
      このシリーズは未だ半分も読んでいない、早く追いつかねば。。。
      「やはり鳴家は極上の癒し。」
      可愛いよね!
      このシリーズは未だ半分も読んでいない、早く追いつかねば。。。
      2014/06/26
  • このシリーズ、いつもタイトルが「?」という感じでとてもそそられます。
    「たぶん」ってどういうことよ?って思いますよね。その訳がわかったら
    思わずくすりとしてしまいます。

    今作品、若だんなは手代二人とある約束をさせられます。
    その約束がどうなるのか…が一つのテーマ。
    個人的にはもらった河童の玉がどうなるのかに興味がありまして。
    結果は「そうきたか!」です。
    いやぁ、予想外だらけでほんとしゃばけシリーズはいつもほんとに楽しい。
    すっかり妖怪の一員?のような気持ちで若だんなを追ってしまいます。

    あの場所に新たに一員となったあの人(人?)が今後どう活躍するのかも気になります。

  • 私の好きな仁吉主役作品が収録されているじゃないですか!
    あいかわらずほろ苦いですねぇ。
    もちろん若だんなが一番大事に決まっていますが、
    心を騒がせるのはやはりあのお方なのですね。
    切ない・・・

    仁吉さんにはいつまでも若だんなのそばにいてほしいですが、
    いつか、いつの日にかは幸せになれるといいなぁと思ってます。

  • 2013/7発売の「しゃばけ」シリーズ第十二弾短編5編。長崎屋周辺は今回も大騒動。花嫁修業に超不器用な行儀見習いの於こんが来たり、幼なじみの栄吉が奉公する安野屋は生意気な新入りの小僧のおかげで大騒ぎ。病弱若な若だんなが大店の跡取り息子たちと稼ぎの競い合いをすることになり、手助けの出来ない鳴家・妖・手代達は不満いっぱい。表題作「たぶんねこ」月丸という神の庭にいる幽霊がなぜか昔いた江戸に戻りたいと言うので、見越の入道様が連れて来るのだが…。久しぶりでも読み出すと直ぐにしゃばけファンタジーに浸れました。

  • 『謎解き』の面白さはシリーズ初期に比べると減少傾向かもやけど
    キャラクターに愛着がでてきてるぶん安定の面白さ。
    一時期のどうしようもなく鬱々とした感じも消えたし ね。
     ■ ■ ■ ■ ■ 
    今巻では仁吉っつぁんの純情が垣間見えて
    ちょっとこっちがもじもじしちゃったよ。 
    『鬼灯』さんの白沢さんとは大違い(笑。
    それにしても
    そんな大妖さんでも頭ぶつけて記憶喪失とかなるんだねぇ。
     ■ ■ ■ ■ ■ 
    最終話で『あるがまま』を受け入れてくれた若だんな。
    そうやって自分の『あるがまま』も取り込んで大人になって
    いつか若だんなから「若」が取れる日が来たり。
    ちょっと淋しいような、なぜか誇らしいような。

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著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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