なりたい しゃばけシリーズ 14

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104507207

感想・レビュー・書評

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  • しゃばけシリーズ、第十四弾。
    若だんなと妖怪たちのほのぼの和風ファンタジー。

    長崎屋の若だんなは、今日も離れで寝込んでいます。
    なんとか許婚も決まって、店に出て一人前に仕事をしたくてしょうがないのだが‥
    若だんなだけが大事な手代の兄やたち(妖怪です)は、病弱な若だんなのために、神様まで動員してしまう。
    もてなしに案外ご機嫌な神様達だが、ご利益があるだけに下手すると怖い存在。
    来世で何になりたいかときかれて、若だんなは悩みまくります。
    神様に気に入られる答えは見つかるのか?

    それぞれに、なりたいもの、とは。
    妖になりたい、人になりたい、猫になりたい、親になりたい‥
    味わいの違う問題が次々に現れ、寝込みつつもその謎を解いていく若だんな。
    微笑ましくも、切ない願いと、時にほろ苦い展開。

    生まれつきゆえに病弱で、長生きは出来そうにない若だんな。
    たとえ長生きしたとしても、寿命がないに等しい妖怪たちとはいつか別れが来る‥
    のほほんとした雰囲気が魅力のシリーズなんですが、そのへんに寂寥感も漂います。
    そのあたりの見通しもいくらか、希望の持てる印象に変わって来ましたね。
    のんびり、少しずつ、成長していく様子。
    来世まで繋がる思いに、ほっこりします☆

  • 生まれつき体が弱い一太郎を心配するあまり、畏れ多くも神様たちまでを一太郎の前に呼びつけた兄やの仁吉と佐助。
    しかし呼びつけられた神様たちは怒ることなく用意された酒や食事を楽しんでいる。それでも神様たちは一太郎に宿題を一つ出す。
    それが一太郎は何に「なりたい」のかという答えを考えること。
    答えが神様たちの気に入れば叶うけれど、そうでなければ…考えるだけでも恐ろしい。

    一太郎が答えを考えている間も次々と事件は起こる。
    妖になって空を飛びたい男、
    菓子職人になって子供たちに菓子を振る舞いたい道祖神、
    猫又になって世話になった家をいつまでも見守りたい染屋、
    激しすぎる利かん気の男の子の親になりたい男女、
    来世は何かになって立派に成し遂げたい、その何かを見つけたい幽霊。

    消えた死体やら身代金騒動やら猫又の長決めやらいろいろあるが、いつものように体の弱い一太郎に代わって妖怪探偵団が探索から犯人捕縛まで活躍している。
    一太郎は安楽椅子ならぬ分厚い布団と夜着に埋もれながら推理している。
    そんな中で一太郎が神様からの宿題に出した答えは…?

    私なら一も二もなく丈夫な体に生まれ変わりたいというところだが、それではこのシリーズは成り立たない。
    立派な体と行動力、商売やら事件の謎解きやらなんでも出来る才覚があれば妖怪たちの力を必要とすることはないだろう。
    仁吉と佐助は一太郎を布団に押し込めたり激苦な薬湯を持って追い回す必要もないし、商売で忙しい一太郎は屏風のぞきと囲碁をやったり鳴家たちと遊ぶ暇もなくなるだろう。
    相手にしてくれないとなれば自然と妖たちは一太郎から離れていってしまう。
    それではしゃばけシリーズにはならない。

    それを考えると、一太郎が神様たちに伝えた答えは特に驚きはなかったけれど、これしかない、というものだった。
    そして神様の答えは前作の外伝「えどさがし」と繋がるようなところもあって思わずニヤリ。
    やはり神様の言う通りということでしょうか。

    ちょっと困るところもあるけれど、やっぱりいつまでもそばにいて欲しい。
    そんな愛すべき妖怪たちに囲まれているのが一太郎なのでしょう。

  • 様々な事情でそれぞれのなりたいものがあり、若だんなが怪の力を借りて解決していく。さくさく読めて面白い。

  • しゃばけシリーズ。相変わらず病弱な若だんなではあるけれど。将来のことをきちんと考えているのは立派でもあり、だからこそ切なくもなってしまいます。神々からの問いかけに対する答えも、実に見事でなおかつほろりとさせられてしまいました。
    お気に入りは「親になりたい」。謎の子供を巡る騒動は面白くもあり、切なくもあったのですが。なんといっても「謎の父親」の正体にはあっと驚くしかなく。ううむ、気づかなかったぞ。

  • 相変わらずのしゃばけワールド全開(笑)
    相変わらずかわいいやなりたちにノックアウトされてます(笑)
    畠中恵ワールドの原点。
    そして番外の「えどさがし」に繋がるのかあ。
    万の助さんは若様組に繋がるのかなあ。

  • 家鳴りに癒されるー
    毎回癒されるー
    六道転生、死んだら次に何に生まれ変わるかわからない
    でも、生まれ変わっても精一杯その生をまっとうする
    巡りめぐってまた会えるかも……
    死ぬのもそんなに悪くないな、と思えました
    私も、ねこになりたい(笑)

  • なりたいものはなんだ。毎度おなじみの病弱ぶり。神様のところにお願いに行くより、来ていただいたらいいじゃないか、と、いうことで神様がやってきて問う。神の力は良いほうにも悪いほうにも働く。
    相手を思うばかりに暴走してしまう思い。やさしさが裏目に出てしまう。それは妖だからだけではなくて、相手のことを思えばこそ。暴走してしまうのですね。
    それを一つ一つ、確認するように謎解きしていく一太郎。病弱じゃなければ、最高にいい男なんだろうな。近くの人(妖)のことが好きで、大切で。このはなしはこの前の文庫本のはなしに続くのでしょうね。

  • 「人になりたい」神様やめて人になるとか、命に限りあるものになる話って弱い〜(´;ω;`) 道祖神が子供のために菓子を作って、人として終わろうって、神様もそんなこと思うんだ。でも、貧乏神も神らしく祟りそうだったけど、お地蔵様は祟らないのね。「猫になりたい」猫に生まれてもきっと探して一緒に暮らそうって、泣くね、そりゃ。そういうのも弱い〜。゚(゚´Д`゚)゚。 短い命の人の望み、怪しから見たらどう思うんだろ?

  • 今回もいろいろと伏線があって面白かった
    いつもどーやって解決するのか?と思うけどちゃんと納得のいく解決でうなる
    毎回ハッピーエンドとは限らないのも話が深い理由だ

  • 来世の一太郎につながる話
    そろそろシリーズも終わりなのかしらと
    勝手に感じてしまいました

著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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