おおあたり しゃばけシリーズ 15

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104507214

感想・レビュー・書評

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  • 安定した人気の「しゃばけ」シリーズも15作目。
    今回は、いろいろな「おおあたり」の話が5つ。

    長崎屋の若だんな、わけある生まれゆえに病弱な一太郎は、妖たちと仲良く離れで暮らし、ゆっくり大人になってきています。
    少しは役に立ちたいという思いは強く、出来る時にはちょこっとだけ、頑張ります。
    まあすぐ寝込んじゃうんですが、その合間に(笑)

    幼馴染の栄吉は、和菓子屋の跡取りなのですが、あんこを作るのが異常に下手という。
    どっちかというと、お笑いキャラでしたが~
    辛あられを作ってみたら、これが大当たり!
    ところが? 意外な展開に。

    獏の場久が離れで一席設けての怪談話でおおあたり。
    貧乏神の金次が富くじで、おおあたり。
    絡む事件は、けっこう深刻ですね。根っから悪いやつばかりではないものの‥
    さまざまな味が楽しめます。

    仁吉と佐助の出会いの話では、5歳の若だんなの可愛らしい姿に出会えます。
    若だんなラブの兄や達の一途さにほっこり。
    人間には真似ができない?

    いたって気のいい若だんなは、病弱なまんまでも、これほど取り柄がなかったとしても、存在価値はあるんだよと言ってあげたい。
    実際には、頭も切れて、心が広く、ちゃんと役に立ってますよね。

    終わって欲しくないシリーズ。
    ちょっとは新味も欲しいけど、いつもの楽しさも欲しい~読者の贅沢な望みにこたえるのも大変でしょうね。
    今回は、栄吉のあんこの物凄さで~大笑いの幕引き☆

  • 安心して読めるいつものメンバー達と若だんなのファンタジー

  • おおあたり、にもいろいろある。


    お金のこと、色恋のこと、予想があたっておおあたりなんてのも。
    いい事のように思うけど、それだけじゃない。

    栄吉のおおあたりとにいやたちのおおあたりの物語が心に残りました。

    栄吉にいいご縁がありますように。
    美味しいあんこが作れるようになりますように。
    若だんなとにいやたちができるだけ長く共に入られますように。

  • 様々な『おおあたり』をテーマにした五編。
    マンネリ感はここずっと感じていたが、それでもそこそこ楽しめるのは、やはり作家さんの上手さか。
    このシリーズの楽しいところは、人間と妖との価値観の違い。兄やたちにとっては、日の本が引っくり返ろうが一太郎が無事であれば問題なしだし、河童にとっては人の子の行方より胡瓜や西瓜の方が大事だし、屏風のぞきや鳴家は何故人が泣くのか分からないし、一太郎の母おたえは嫉妬というのは感情に疎すぎる。
    それでも皆、一太郎が好きだし一生懸命に協力しているから嬉しい。
    それにしても栄吉の餡の破壊力はどうしたものか。やっぱりあられ屋としてやって行くのが良いのでは?
    そして一太郎の体調はいつになれば良くなるのか。精神的にも追い詰められそうになっているところを兄やたちがそっと守るところはさすが。

  • しゃばけシリーズ。さまざまな「大当たり」をテーマに、事件あり笑いあり感動ありの物語。いつもながら非常に楽しく読めます。妖たちの活躍にはわくわくさせられますが、それよりなにより最強なの……栄吉の菓子はいったいどこまで進化してしまうんだ(笑)。いっそ別の用途として売り出せないものでしょうか。
    お気に入りは「あいしょう」。なんと仁吉と佐助が長崎屋に来たばかりの物語。まだ「相棒」になりきれない二人の活躍と、幼いながらに活躍しすぎる若だんなにはらはらさせられました。事件自体はとても物騒なのだけれど、妖たちのほっこり加減がいいなあ。人間の方がよほど悪辣かも。

  • 15作目。
    ここまで書き続けるってすごいことですね。
    もう時代劇かサザエさんを見ている気分になります。

    こんなに一途に若旦那を大事にするって、
    どれだけ妖たちって一途なんだろう。
    寿命の短い人間には無理ですな。

  • 「あたり」には、良い意味も悪い意味もある、という日本語の奥深さが面白い。こんな時にも、日本語ネイティブでよかったなとつくづく思う。
    「おおあたり」栄吉さんの破談は本人は辛いかもだけど、許嫁は急に決まった印象があったので、結末に納得。栄吉さんの辛あられは上出来とはさすが。老舗和菓子屋で小豆の餡を大釜で作っていた弟いわく、あんこは、豆の具合とその日の天気(気温や湿度)で煮るタイミングや火加減、水の量などを微妙に調整しなければならず、美味しく作るのはとても難しいとのこと。江戸時代はガスもなく、それこそ火加減の調整が難しかったろうから、栄吉の修行はまだまだ続くのだろう。
    「はてはて」金次の、ちょっと人慣れしたところも、帰る場所がある、という結末にも心温まった。でも富くじが当たって面倒が増えるなんて、やっぱり貧乏神なのかな。
    「あいしょう」タイトルが印象的。仁吉と佐助が若だんなを初めてみることになった物語も面白かった。見た目10歳の小僧、可愛いんだろうな。
    おぎん様に似て若だんなも器量良し、というくだり。やはり脳内配役のラウールで正解、と一人得心。
    「暁を覚えず」若だんなの船のおもてなし、仁吉さんの薬のくだりにじーんとする。そして、藤兵衛や松之助の可愛いヤキモチ。おたえの的外れな反応は、やっぱり妖の血を引くからかと思うけど、だとしたら、妖の兄や達に育てられた若だんなは、なんであんなに真っ当なのかしら。

  • 富籤が大当たりの話。でも、なぜか当たりくじが余分にあって困ったことになる。
    仁吉と佐助が初めて若旦那に会ったころ、5歳の若旦那は他の子供を助けようとして人攫いに攫われる。妖たち、大活躍。
    幼馴染の、栄吉の饅頭はやっぱり強烈な不味さ。辛味せんべいは評判になる程おいしいのに、あんこはやっぱり最後まで苦手で強烈な味。妖が揃って倒れて動けなくなってる。

    松之助兄の出てくる話をもう一度読みたくなった。

  • 【しゃばけシリーズ15】
    大好きな「しゃばけ」のシリーズ15作目。
    大当たり、は人によって違うもの。
    幼馴染の栄吉が出てくる話は本当に面白い。修行しているはずのあんこは、さらにまずくなっているようだ。しゃばけを読んでいると、どうしても大福が食べたくなるw
    5歳の若だんな
    疫病神の金次の帰りを待つ不思議さと金次のちょっとした喜びと、とてもいいなと思う。

  • 「暁を覚えず」が一番面白かった!

    跡取りとして、仕事をしたいという若だんな。でも、やっぱりすぐに寝込んでしまう。

    若だんなの初仕事、お供を決めるのに、饅頭でくじびき。しかも、ハズレ?は栄吉さんの饅頭なんて。
    そして、ハズレを食べちゃった妖はみんなひっくり返る。さすが栄吉さん。

    ちゃっかりお供になった鳴家もかわいすぎて、最後まで楽しく読みました。

    若だんなはいつになったら、しっかりするのかな?でも、今の若だんなも好きだけど。

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著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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