タタド

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著者 : 小池昌代
  • 新潮社 (2007年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104509027

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タタドの感想・レビュー・書評

  • ブルドッグみたいな、搾れば濃い肉汁が出てきそうな、齧ってみたくなるような顔のイワモト。髭剃り後は緑色の化粧水「アロエの妖精」をぴたぴたと塗る。

    古田新太さんを思い浮かべてしまった…。

    イワモトとスズコの夫婦と、スズコの元同僚のオカダ、中堅女優のタマヨ。海辺のセカンドハウスに集まった50代の男女四人。波の音を聴きながら、庭に実るものすごくすっぱい夏みかんを頬張り、ワインを飲み、宴の夜は終わる。

    翌朝ふいに訪れる決壊。友情のような愛情のような不思議な交接。

  • 「タタド」「波を待って」「45文字」の3編。前回読んだ「ルーガ」ほどの衝撃はないけど、なんか読みたくなる小池作品。

    「ルーガ」では『乾物のよう』なんて書かれていたけど、「タタド」では、少しフレッシュ?に生の海藻になって随分と生々しい。そして漂い方が不安定で心細くなる。ふと思ったけど轢いたのが猫じゃなくって、「ルーガ」の「旗」の●●だったりして。。。と深読みしてしまうと、途端にホラーっぽくなる。(気のせいか)

    「波を待って」も“旗がぱたぱた”とか書かれているので「ルーガ」の「旗の町」だったりしてー…と思ってしまう。3編の中では一番好きだし共感できる。ぼーっと待っていたら想像しえなかった悲劇が起こって、それが嘘であってほしい、本当にそうだったらいいのに…という葛藤を描くのがうまい。大きなことが起こると人ってリミッターみたいなのが外れて、よくわからなくなって判断できなくなる。最後まで●の安否が気がかり。

    「45文字」明るいところから暗いところは見えにくい…川の流れとか、外にはみ出してしまうとか、この二人の行方が見えそうで見えない曖昧な終わり方が気になる。

    …それにしても『タタド』ってなんだろう。読んだけど分からなかった←! 速く読んでしまったせいかな?もう一回さらってみよう。

    間違ったわけではないけど本当は「裁縫師」→「タタド」の方が良かったのかな…。次は「裁縫師」を。なんとなーく栗田有起さんを思い出す。



    =追記=
    タタドは伊豆の多々戸浜海水浴の“タタド”らしいです。

  • タタド
    波を待って
    45文字

  • 感想は人によると思うが、私は40代前後の男女のの生々しい関係や描写が共感できず少し気分が悪くなった。もっと大人になってから読んだら変わるかもしれないと思った一冊。

  • 眠れなくて読み始めて、睡魔が来る間もなく数時間で読み終えてしまった。

    淡々としたテンションの低めな感じは桜木紫乃さんと似ているようにも思う。しかしこちらは東京が舞台だから実際は似ているようでまるで似ていない。

    『タタド』『波を待って』『45文字』の三編が収められていて、私は三つ目の『45文字』が好き。私はやっぱり主人公は男性の方が読みやすい。

    小池さんの物語の設定はどれも変わっていておもしろい。
    「あり」そうで「ない」、「なさ」そうで「ある」、そういう感じ。
    どれも死の匂いが漂っていて、それは同時に生きるということでもあって、そういうところが「突拍子もない話」にさせないでいるのだと思う。
    ありそうでなくてなさそうでありえる現実の側に物語が引き留められている。

  • 3つお話が入ってて、どれも静かなお話だった
    愉快だ!とか感動した!とか興奮した!とか
    そういうおもしろさとは違う
    なんかちょっとイイねって感じ

    1つ目はあんまり好きじゃないけど
    他の2つは好きなお話

    いやでも強烈なインパクトはなかったので
    断片が自分の体験だったかのように残るだけかもしれない

    星は3つ

  • 短編

    海辺の家で、夫婦と妻の元同僚、夫の仕事仲間の女優の大人な宴とお泊り

    アロエの化粧水をつかうこわもてのイワモト
    そばかすだらけのスズコ
    女優のタマヨ、癌を患ったオカダ

    すっぱい夏みかん食いたいー♪

    サーフィンに目覚めた夫を海辺で待つ妻子[波を待って]

    同級生夫婦と偶然再会して絵画のキャプションを作る日々[45文字]

    45文字にまとめるって難しいな!
    別にどうってことないようだけどおもしろい)^o^(

  • 本作「タタド」で07年川端康成文学賞を受賞。
    「45文字」も面白かった。
    小池昌代さんは詩人でもあるので、音読してもリズムが気持ちよさそう。

  • 日常とか決まり事とかそういう類いのものは、
    壊されるのを待っていることが度々あると思う。

    そして、壊される瞬間よりも、その瞬間に辿り着くまでの
    クレッシェンドを人間は味わうことができる生物だと思う。

    なぜか二回買ってしまったこの本。
    長年ぼんやりしていた感覚をしっかりと言葉に落とし込んでくれた
    一節がある小説でもあります。

  • かすかな不協和音の中で大人たちがダンスをしているかのよう。危うい、空気。

  • 日常にひそむ落とし穴にはまってしまった!ような読後感。トロリとした肉の感触がまとわりつくよう。

  • 淡々とした文体にどろりとしたような奇妙な感覚を覚える作品でした。タタドとはどういう意味なのか、読んでも明かされなかったので気になります。

  • 小池さん初読。
    詩人という顔の方がメインの著者だけど、小説がやたら話題になっていたので、最初のを読んでみたというわけです。
    うん、悪くないし、嫌いでもない。(…って、相変わらず、この手の小説の感想にこういう表現しかできない自分が何だかなぁ(^^;)ゞ、ですわ。)
    これには、短編が3編入ってるのだけど、最後の「45文字」という作品は、この人の詩ってどんなだろう、ってちょっと興味持ちました。

  • ストーリーはこれといって重大な事件が起こる訳でもなく、眈々としているが、人物の描写が丁寧で臨場感溢れる作品。

  • お世話になった建築家の先生から紹介してもらった本。

    読んどる途中はなんだか、もんもん。
    読み終わったらびっくりするくらい、さらさら。
    別になにかが劇的に変化した訳でも、
    解決した訳でもないのに、
    不思議な爽快感。

    たぶんもう一回読み直したら、
    また印象が変わると思う。不思議。

  •  著者の小池昌代さんは、知的で上品で素敵な女性だ。全く同年代の私は、BSNHK週刊ブックレビューの常連書評ゲストの彼女を見ていつもそう思う。同じ意味合いで川上弘美さんも魅力的だと思う。

     実生活ではこういう聡明な才女には出会ったことはない。勤め先はもちろんウチの大学には極端なお嬢様しか女子学生はいなかったし、バイトやサークル活動で交流のあったワセダあたりの子は揃って、「総理、ソーリ」の辻本みたいな猛女ばかりだった。小池さんは津田塾、川上さんはお茶大なんだと。そもそもこの2校の出身者と言葉を交わしたこともない。なんか人生損したかなあ。

     わき道はそれぐらいにして、コレ、小池さんが川端康成文学賞を受賞した作品。著者の人柄そのままに、一切の無用な緊張感なく実にホワンと破綻なく物語りは始まる。

     なぜ『タタド』なのか。表題作の中でも一切説明はない。そもそもこの本、前書きも後書きも解説もない。ホワンと始まりホワンと終わっている(本当は終わり方はそうではないのだが)。

     でも、私には解っちゃいました。伊豆半島の南端、下田の「多々戸」浜でしょ。「都心から四時間半」とだけ書かれたこの短編の舞台は、「ほんとうにすっぱい」夏蜜柑が自生してるってことは、南伊豆のサマーオレンジに違いないし、間違いない。
     地場サーファーが「タタドビーチ」と呼ぶこの浜、普段は人っ子一人いなくて、さながらプライベートビーチ。「バイ・ザ・シー」っていう頗るお洒落なコンドミニアムが確か一軒だけ近くにあった。
     勝手にタネ明かしをしちゃうと、ここが著者のイメージ上の舞台であることは確実でしょう。
     小池さんにお逢いすることなんかがあれば(あるわけないケド)、「ね、そうなんでしょ」と聞いてみてみたいですね。

     この浜、人気がなくて綺麗なのが好きで3、4回行ったことがある。で、一度だけ心底たまげた経験をした。
     見てしまったのです。あろうことか、人がいないのをいいことに、AVの撮影してました。ホントびっくりしました。

     で、また本題にもどります。
     この短編、著者の人柄そのままにとても知的に上品に話はすすむのだけれども、最後の最後は、私の「たまげた」体験同様、オイオイな終わり方です。どうオイオイなのかは内緒です。

     小池さんにせよ川上さんにせよ、知的な才女なだけじゃなく大人だねえ。やっぱり。
     
     県立図書館の「今月の新着本」の一冊でした。

  • タイトル、タタドを含む短編。それぞれの大人の夫婦のあり方、みたいな内容です。嵐の前の静けさ、のような独特な文体が魅力的です。大人な世界だなぁ。

    ええと。若い方よりも中年以上の方が読むと良い本かと。

  • 素っ気ないようでいて、ふいに濃密に香る文章。理由のわからない不安と、不思議な快感の間を行ったり来たりしました。好きです。

  • 最初、?と思ったけれど、読み進めるうちに、その流れにはまった。
    丁寧で、読ませる。

  • 表題作を読んだとき、中高年の官能、という言葉が浮かんだ。
    まだ自分にはわからない、不惑、あるいはそれをさらに過ぎてからの、激しさや速度よりも濃度や深度が高まっていくような。
    短編が三つ、収められている。
    いずれにも自分の経験したことのない茫洋とした不安のようなものが存在する。経験したことはない。でも、知っている気がする。

  • 三つの短編を収録。どれも静かな物語だった。なかでは「45文字」が好きだなと思った。ふだんエンタメ系の小説を中心に読んでいるので、たまにこういった作品に触れると、なんか心がざわざわしますね。作品を分かったかと聞かれれば、分からなかったと言うのが正直な所ですが、なにかを感じたとは言えますね。

  • エグイ。官能的というか。強くて飲めないお酒みたい。
    そのくせブツッって終わる。こわい。

  • まるで詩を詠うように情景が語られる。猫もオカダも海藻も、夏みかんも、赤いカーネーションの花束も、危うい、不穏な空気を濃密にする。そして、終わりの始まりかもしれない「決壊」は、この舞台設定では彼らが少しでも救われるために必然だったのかもしれない。

    擦れていく精神、自覚せざるを得ない肉体の衰え。色々なものがあきらめきれない心に、悲しいかな体力が追いつかなかったり・・・。登場人物たちの年代といい、海辺という舞台といい、わが身に近くてそのまま痛いほどによくわかっちゃって、こわかった。。。。

  • 短編が3つ。
    自然と目の前に情景が広がる。どれも短い作品だけど強烈なインパクト。特に二編目に惹かれました。海のもつ抗えない魅力と、同じくらいの恐ろしさ。波の音が聴こえるみたい・・・夫は無事だったのだろうか。

  • 最後の短編が一番よかった。

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