暴雪圏

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著者 : 佐々木譲
  • 新潮社 (2009年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104555079

暴雪圏の感想・レビュー・書評

  •  『制服捜査』は、本当に印象に残る短編集であった。帯広の駐在所に飛ばされた元道警捜査一課のやり手刑事。道警裏金問題によって失われた権威と信頼を取り戻すため、警察は無理矢理なローテンションを現場警官たちに強いた。その影響下で思いもかけぬ道東の片田舎に追いやられ制服警官となった川久保巡査は、十勝の四季の中で稀に起こる犯罪やトラブルに対処してゆく。そのローカルな生活感や、この風土ならではの独特の事件性が目を引く作品集だった。

     本書はその川久保巡査を主人公にした初の長編作品である。大いに期待したのだが、実際の読後感はその期待感をある意味で裏切る。それというのも、川久保巡査が思ったより活躍してくれないのだ。この『暴雪圏』の主人公は、吼え猛ける風であり、降りつのる雪であり、広大な原野であり、何よりも十勝の冬である。災害小説とも取れるような最大級の嵐に見舞われた十勝の大地に沸き起こる事件の数々と、人間たちの運命の絡み合い、そうした群像小説という形にもってきたのが、この作品。

     シリーズ的な楽しみはある意味奪われた感があるものの、別の独立長編としてのインフェルノ小説的楽しみが逆に満喫できるあたりが、曲者である。雪に閉ざされたペンション人質篭城事件などは、まるで別の小説のように思えるのだが、こういう風にまとめずに、できればモジュラー型ミステリーの楽しみのまま、川久保巡査にもっと活躍して頂きたかったというのが、わがままな読者としてのないものねだり。

     それにしても除雪車の出動順序によって道路が開通するという設定のあたりは北海道小説としては楽しいものがある。おかげで、ラストシーンは川久保巡査の西部劇みたいな活躍のシーンが用意されている。さすがに北海道開拓時代のガンマン小説(ぼくは勝手に蝦夷地ウエスタンと名づけているが)を書いている作家である。

  • 面白いのは面白かったが評価に悩む。何に重きを置いて読書するかによって評価が大きく分かれるのだろうが、謎解きを重要視する私は完全に拍子抜けした。社会派の警察ミステリと割り切っていても、やはり不完全燃焼という感は強く残る。
    暴雪に襲われ密室状態になった町、不穏な事情を抱えながら集まってくるキャラクターたち──このあたりのディテールが良かっただけに、全体のバランス不足が残念で仕方ない。プロローグと呼ぶには余りにも長すぎ、メインストーリーと捉えるにはさすがに中途半端。それでもそこそこの満腹感を味わえるのが不思議。いろいろなドラマが作中で展開するが、本作品の主人公はまぎれもなく暴雪。

  • 500ページほどあったけど長く感じない。面白かったけど最後突然おわった。

  • 猛吹雪で道路が遮断された。
    行き場を失った訳ありの人々がペンションに避難してくる。
    出会い系で知り合った不倫相手との関係を清算しようとした主婦。会社の金を持ち出した男。義父の虐待に耐え兼ね家を飛び出した少女。そして暴力団組長の屋敷を襲った強盗。
    TVで強盗殺人のニュースを見た避難者たちに緊張が走る。
    村でただひとり、警官として対処する川久保。
    そして暴風雪が終息した後の訳ありの人々の今後は読者の想像に託される。

  • 終わり方が惜しい。

  • 制服捜査は良かったのになあ
    佐々木譲は長編が多い
    自身も長編が得意と思っているようだが
    短編のほうがむいているのでは?

  • 地域特性と派出所巡査の存在感に読み応えあり。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/13389450.html

  • 北海道警察広尾署志茂別駐在所・川久保巡査部長の話。猛吹雪が巻き起こる日、様々な事件が繋がっていき、あるペンションに結集していく。吹雪の為に次々と計画が崩れていく犯人たち。自然の前に人間の思惑など、全く無力であり、太刀打ちできない様子がうまく描かれている。が、ラストはこれでお仕舞いなのだろうか。余りにも淡白すぎるのではないか。それに他の事件は・・・少し不満が残ります。

  • 三月末、北海道東部を強烈な吹雪が襲った。
    不倫関係の清算を願う主婦。
    組長の妻をはずみで殺してしまった強盗犯たち。
    義父を憎み、家出した女子高生。
    事務所から大金を持ち逃げした会社員。
    人びとの運命はやがて、自然の猛威の中で結ばれてゆく。
    そして、雪に鎖された地域に残された唯一の警察官・川久保篤巡査部長は、大きな決断を迫られることに。

  • 北海道の厳しさを今更のように感じた。それぞれの人がこの後どうなったのか気になるところではあるが、想像をさせて終わらせるところが良かったのかも•••。
    2014年12月20日

  • 制服捜査の続編。

  • 笹原の終わりかたはあっけ無さすぎた。もう少し悪あがきか必要だ。アキラも最後は淡白な終わりかだ。西田と明美はのその後が気になる。美幸は山口との出会いで救われるんだろう。登場人物のその後が気になる終わりかただつたが、結構楽しめた。

  • 警察物の小説がとても好きで、この作者の本もだいすきです。
    とてもよく練られたstory 、舞台の北海道の使い方、登場人物の設定等、とても読みやすく,ひきつけられます。

  • 冬っぽい小説読みたいなと思ってAmazonで適当に頼んだ小説。
    届いてみたらどうやら「川久保巡査長シリーズ」という実は敏腕っぽい制服警官が主人公のシリーズものとのこと。東野圭吾の「加賀恭一郎シリーズ」みたいな感じですね。
    わたし、シリーズものは最初から読みたい派なんで「暴雪圏」を読むのかなり消極的だったんです。
    でもせっかく頼んだしなと思い渋々読んでみたらとっても面白かったです。

    全然、主人公目立たないんですけどそれが良かった。
    他の方々のレビューを拝見すると主人公の活躍が薄くて残念に思われてる読者の方もいたのですが、私はこの小説が初見だったのでまったく気になりませんでした。
    でも言われてみれば「川久保シリーズ」という予備知識もない状態でこの作品を読んだら、川久保さんが主人公ってなかなか気づかないかもしれません。

    舞台は吹雪で大いに荒れている北海道のペンション。
    暴雪から逃がれるようにペンションに集まった人間達。
    そして緊迫する展開が待ち受けます。
    どうして雪国のペンションってシチュエーションってハラハラドキドキするんでしょうね。

    面白くて一気に読めました。

    そして影の薄い巡査にもしっかり活躍の場が用意されています。

  • 北海道を舞台にした事件を題材にた犯罪小説を数々発表しついに直木賞までとった佐々木譲の小説。暴雪圏ときくとこれからくる冬のじけんかと思うがこれがちょっと違う。帯広あたりかつて死者まで出した春に来る季節外れの暴雪を題材に、予期せぬ雪に行く手をさえぎられペンションに非難してきたひととと犯罪者。ハリウッド映画だとさしずめハリケーンの日にモーテルを舞台にした話ができるかもしれないかなと思わせる設定でさくっと読ませてくれる。あまり悲惨な事件はちょっとという人にはちょうどいい作品かも。

  • 川久保巡査長シリーズとはいうものの、制服捜査とは全く趣の違う話だった。
    どちらかというとパニックものか。
    登場人物が多くて視点がばらける上に
    ほぼ全員が何かしら重いものを抱え込んでて居たたまれないので
    読み進むのにものすごく苦労した。
    実際ちょっと斜め読み気味に読了。
    正直なところ、この話に川久保巡査長を登場させる意義があまり見えなかった。
    穿った見方をすると
    たまたま用意した設定にうまくハマったので川久保さんを突っ込んだという感じがする。

    諸手を挙げてよかったねぇとは言えない、モヤモヤ感と曖昧さが残るエンディング。
    個人的には山口さんと美幸ちゃんのその後が気になる。

  • 佐々木さんにしては

  • この続きが気になるー

  • バラバラの登場人物達の伏線が、最後にきっちりと回収されて見事。
    一部登場人物の解決策に不満。
    ころせばいいってもんでもないと思う。

  • 暴風雪吹き荒れる中、女性の死体発見と暴力団組長自宅強盗殺害事件が起こる。いろいろな事情でペンションにたどり着いた人々・・・。読み終わって明美と西田のその後が気になっている。

  • 「制服捜査」の続編。

    吹雪で閉ざされた街の中で、いろいろな人間模様が集約されていく過程はドキドキハラハラ感があって面白かった。彼岸荒れの描写もリアルで怖い。ただ、これは警察小説ではないな、という印象。川久保巡査の活躍を期待して読むと、ちょっと期待はずれかも。

  • 前半パラレルに展開していくストーリーに期待感が高まったが、後半はありがちに終わってしまった。
    悪い奴はみんな死んだ?

  • 殺人、強盗、横領、不倫。数十年に一度の猛烈な吹雪に見舞われた北海道を舞台にそれぞれの想いを胸に人生の勝負を賭ける。が、大雪が彼らを足止めし、たどり着いたところは・・・。前半で期待が高まり過ぎて、最後は尻すぼみ?で少し残念。

  • 爆弾低気圧の襲来により隔離された北海道の小さな町を舞台に、様々な事件が絡み合っていく物語。以前、北海道の方に風と雪で全く身動きが取れないことがあると聞いたことがあったが、そのような気象環境を利用して密室的な状況が自然に作り上げられている。別々の事件を起こした人々が磁石に吸い寄せられるように集まってくるストーリーは奥田英朗氏の「最悪」を思い起こさせる。

  • ハラハラドキドキ。おもしろかった~。

    北海道の作家さんだけあって、雪の怖さがリアル。私も猛吹雪の中運転していて、周り全部真っ白で何にも見えなくなって、怖い思い何度もしたことある。あれは怖いわ。

    自然の恐ろしさと人間の恐ろしさ。複雑に入り混じって、ラストまで一気に読みました。まぁ、いろいろ詰め込み過ぎたって感じもしないでもないですが

    短編集「制服捜査」の続編ですが、これは長編。読み応えあり。一応前作の駐在さんが主人公ですが、自然の猛威になすすべなく、影が薄めだったかもしれない。

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暴雪圏の作品紹介

最大瞬間風速32メートル。十勝平野が十年ぶりの超大型爆弾低気圧に覆われた日の午後、帯広近郊の小さな町・志茂別ではいくつかの悪意が蠢いていた。暴力団組長宅襲撃犯、不倫の清算を決意した人妻、冴えない人生の終着点で職場の金を持ち出すサラリーマン…。それぞれの事情を隠した逃亡者たちが辿りついたペンション・グリーンルーフで、恐怖の一夜の幕が開く。すべての交通が遮断された町に、警察官は川久保篤巡査部長のほかいない-。超弩級の警察小説。

暴雪圏のKindle版

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