抱擁

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著者 : 辻原登
  • 新潮社 (2009年12月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104563043

抱擁の感想・レビュー・書評

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  • ホラーだと思わなかったので何の話かずっと解らないまま…うっとりする世界に引き込まれていった。
    緑子さんが愛らしく魅力的で虜になってしまう。

    「わたし」がなぜあんなことをしたのか、確かめるため、そして信じたからだろうか。
    謎はたくさん残るけれど、とても優しい物語だと思った。

  • 映画の「回転」をみて、日本を舞台にリメイクしたら面白いのではないかと思った矢先だったので、すぐに手に取った。
    想像以上の翻案の巧みさにうなった。まさか、5.15事件と2.26事件とは。
    ただやっぱり、原作では兄・妹がいてこその怖さ倍増だったので、緑子に加え男兄弟の存在も欲しかった。それを期待しながら読んだのでちょっとだけがっかりした。

  • 著者自信が語っているが、ネジの回転を下敷きにした小説。

  • 226事件を材料にした物語といえるか。226は謎めいてるからなのか、どうもオブラートに包むとき、ゴシックホラーというか、ファンタジーのような物語が多いような気がする。

    語り手から見た少女の行動が内部を作り出す。

  • すごい。こんなに短く簡単に美しく「ねじの回転」日本版が!

    「ねじの回転」、新潮版はちょうど昨年の今頃読んでて、すごく好きなタイプの小説だったから、岩波のデイジーミラーも入っているほうも買ってある。「抱擁」読んだし、近々読もうかな。

    「ねじの回転」のわからなさ、見通しのわるさがシンプルに表されているのがすごいです。

    「ねじの回転」にはふたつ説があって、「抱擁」は幽霊説じゃないほうを採用したのね。もちろん、こっちのほうが面白味あって好き。

  • すごく好みな世界観でした。
    淡々と語られていく事柄にどんな意味が込められているのか、どんな結末に繋がっていくのかと、多少やきもきはしましたが。
    自分は小説として楽しむことが出来るけれど、ずっと黙って聞いていた検事さんはすごいな。

  • 「ねじの回転」「レベッカ」を連想させる。

    ん?抱擁?なんで抱擁?…ああ、そうね、そういうことね。
    怖さよりも、かすかに残る抱擁の切なさがキモなのでは。

  • 舞台は昭和12年(1937年)、東京駒場の前田侯爵邸。
    前田家の次女緑子(5歳)の世話をする小間使の18歳の<わたし>が、検事にある事件の顛末を静かに語ります。

    緑子がときおり見せる不思議な素ぶり。
    まるで誰かの姿を見ていたり、視線で意思を交わしているようです。

    理性的で合理的な考えをする<わたし>は、緑子の見ている相手の意図をつきとめようと考えます。

    昭和12年でなければならない理由、
    <わたし>が聡明で理性的なければならない理由、
    緑子が5歳と設定されている理由、
    そんな<わたし>と緑子の住むのが前田侯爵の邸である理由 etc.

    そんな時代や、侯爵の邸を舞台とする必然性が、謎解きの必要性とは関わりなく、この物語にはあります。

    ハードカバーで136ページとコンパクトなページ数が、
    小説家の作品づくりの腕とセンスの水準を物語っています。

  • ぼんやりとしたうす靄の中で一滴ポトンと滴を落とし、それがいつまでも波紋を広げて静まらない。時間が経つごとにこのお話がもたらす不穏な空気がじわじわと浸食してきて息苦しい。幾通りもの解釈がなされるものだと思うのだけど、これが現実か虚構(妄想)かによっても大きな意味を持って成すのでしょう。衝撃を持って本を閉じ、表紙の絵と金文字のタイトルを見るとぐっと迫るその意味。ゴシックロマンに溢れ、歴史と虚構が絡み合った濃密な世界にくらくらしてしまいました。「わたし」の静かな語りが儚さと哀しみをたたえます。

  • ちいさな女の子のみつめる世界の独特で不思議な空気感。
    最後の一文が発する謎に対する衝撃が、印象的で。
    魅力的だった。

    世話係の主人公と、ちいさなお嬢様の緑子。そして、ゆきの。

    閉鎖的で、依存しあったちいさな世界が、不安定で心地よく感じた。
    読んでいて少し、ねじの回転を思い出した。

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