世界中が夕焼け―穂村弘の短歌の秘密

  • 330人登録
  • 4.15評価
    • (33)
    • (33)
    • (13)
    • (1)
    • (2)
  • 32レビュー
著者 : 穂村弘 山田航
  • 新潮社 (2012年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104574025

世界中が夕焼け―穂村弘の短歌の秘密の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • いつもの空。
    いつもの道。
    いつもの曲がり角を曲がって、
    いつもの信号を渡る。

    まるで、何も無い様な風景。

    そこで目に止まるものがあるとすれば、
    何か異質なもの。

    馴染んだ風景にそぐわぬ物。

    例えば
    金色のいしころ、
    とか
    ピンクのコインとか。

    穂村さんの歌はそんな風にして、私の目に止まる。
    当然、手にする。

    何だろう?
    これは、何だろう?

    もちろん、私の宝箱の中へは入れる。
    珍しい色彩、
    心地よい調べ、
    奇妙な感触。

    その謎の秘宝をプロが分析する。

    さすが。
    なるほど、と感心せざるを得ない。

    しかし、解読が困難を極めた事もしみじみと良くわかる。

    「難解だ。」
    第一声で思わず本音を曝け出すしかない歌もまた少なくはない。

    しかし、なんとか解読作業を無事終える。

    それを、

    穂村さんが読む。

    読んでコメントを述べる。

    三十一文字の小さな小さな秘宝。

    その謎を説く為に要された言葉の粒子もまた、一粒一粒がキラキラと輝きを放ち、
    世界中が、そうなる秘密がわかった様な気がした。

  • 詩は勿論詩人がいて成り立つわけなんだけれど、
    山田さんの解説を読んでると色んな捉え方があって、本意を隠して世に送り出したんだから人のいいように自由に考えてしまっていいんだと思った。
    だから、穂村さん自身が山田さんの解説を読んでその受け止め方いいですね!みたいに言ってるところもあるし。
    著者本人が正解ではないし、解釈に不正解はない。
    なかなか、味わい深いです。

  • すばらしかった!
    短歌をかじり始めた人間にとってはとてもよい読解の指南書だった。
    そしてサイン会まで行ってしまった…!とても良い話が聞けて感激でした!!

  • 穂村弘の短歌を角川短歌賞受賞の山田航が読み解き、なお穂村がそれに応えるという、それとなく豪華な本。主に50首を振り返り咀嚼する。意味不明(?)だった歌にも、妙に納得。言うことなし。

  • 穂村弘の短歌に歌人・山田航が解説、それを受けて穂村がコメントするというしくみ。穂村の短歌はそこそこ読んでいてもそれほど熱心な読者ではなく、ただぼんやり共感したり、じんわりしたり、ニュアンスを楽しむ程度で満足していた。共感が大きいのは、私も穂村同様昭和の時代をがっつり生きており、未だ昭和を引き摺っているからだろう。という分析も評者である山田の受け売りで、その彼は穂村より20歳も年少だというから驚きだ。穂村のネタばらしも面白い。解読本にありがちな興醒めはなく、寧ろ愛着を増す良本。短歌を読む指南書としても◎。

  • 歌の読み方について、意識が刷新される思いでした。
    そして、それは歌の詠み方の手ほどきでもありました。
    実作してみたい、と思いつつ、なかなか、実際には言葉が出てこなかったのですが、そうか、歌はこう詠むのか、と読み方を通して学んだ気がします。
    現代短歌を代表する一冊であり、最良の解説書であると思いました。

  • 「凍る、燃える、凍る、燃える」と占いの花びら毟る宇宙飛行士

    穂村弘の短歌に別の歌人が評論を書く、というだけなら珍しくないのだけど、この本が面白いのは更にその評論に対して穂村弘自身が思うことを書くというスタイルになっていることだ。
    穂村弘の書き方、考えなどが、一度他者に反射している分、わかりやすくなっていて興味深い。
    穂村弘と言えば即座に浮かぶ、「ブーフーウー」も収録。
    評論は穂村自身がその通りと言うものもあれば、まるで的外れだったものもあり。
    作品というのは、世に出た瞬間に作者の意図から解き放たれて自由に解釈されるべきだと思うので、作者の思惑と異なっていても全く構わないと思うのだけど、ただ、読んでいて怖くなったのは、人は自分の読みたいように言葉を読むのだなということ。
    レビューで作品や作者という自分の外にあるものについて書いているつもりで、実際は自分自身を暴いているわけだ…恐ろしい。

  • とても良かった。歌人・山田航が穂村弘の短歌50首を評し、それに穂村がコメントするという体裁でほむほむの短歌を紐解いていく本。短歌には疎く、また読んでも「なんとなく語感や雰囲気が好き」程度で何故その短歌が好きなのかよく分からない者にとっては、解釈として「こういう読み方ができるのか!」という興奮以前に、「短歌ってこういうやり方で読んでいけるんだ!」というのが刺激的だった。またエッセイからでは読み取れなかったほむほむのテーマのいくつかが明確になっていて、エッセイを読む目も変わりそう。

  • 穂村弘さんの短歌を山田航さんが解説し、その後に穂村さん本人による解説という作り。
    短歌にはあまり馴染みがないし、増してそれを解説するなんて世界は初めて触れるので、この本がいったいどういう立ち位置なのかが今ひとつわからないのだが、山田さんの深く精緻で多岐にわたる分析的な読みと、どこか大事なところを隠しているような飄々とした穂村さんの解説との対比が面白い。
    これは作者と第三者という違いなのか個々の持ち味なのかと思いながら読んでいたら、あとがきで穂村さんが、作者が後で自作を解説するということの難しさと山田さんの読みの面白さについて触れていて、なるほど両方なんだなと理解した。
    私は作者自身(穂村さん)の解説もとても興味深く読んだのだが、山田さんの解説があったから余計に面白かったのかもしれない。

    短歌そのものの良し悪しはよくわからないですが、心のままに読むだけでなく読み方を知って面白くなるということもあるんだな。世界が広がった気がします。

  • 以下引用

    林あまりさんに原稿を見せたときに、それを入れなきゃダメだと言われて、そのとき、「悪い歌が歌集に入るより、いい歌を落とすことを恐れなさい」って言われて納得しました。僕もそのあとに、誰か新人にアドバイスを求められると、「誰かに一度でも引用された歌は全部入れるように」っていうふうに言っています。(p.51~52)

    タイトルの歌って絶対タイトルの歌だって思って読まれるに決まってるから、それが気に入らないっていうのは、ちょっと嫌なことなんですよね。ただ、どの歌が注目されて人に知られていくかは、作者も選ぶことができないので、選ばれている、みんなよく知っている歌が必ずしも好きな歌ってわけじゃないですよね。でも、誰かに引用されるとか、とり上げられて褒められるって、すごく「選べない」ことなんですよね。だから、そこで他者の判断やその偶然性にチップを張るというのは、けっこう重要なことで、そういう偶然性を排除しちゃうと、新しい地名が全部「ナントカが丘」になっちゃうみたいな現象が起きたり、ペンネームに全部「月」っていう言葉が入ってくるみたいな現象が起きたり、人間の意識の幅ってあんまりないんだよね。だから、子供の名付けの話で、出産後に、友だちが初めてお見舞いに来てくれて、その時、友だちがエリカの花を持ってきてくれて、その赤ちゃんが初めて見た花がエリカだったからえりかという名前にしたみたいなエピソードを聞くと、非常に腑に落ちるというか、そういう偶然性ですよね。それは、まさに祝福じゃないですか。そうすると、その子はそのあとエリカの花を見るたびに、自分が祝福されてこの世に生まれてきたっていうことを追認するということになる。人間はやっぱりそういう偶然性に守られてないとまずいと思うんです。頭の中で考えたすごくかっこいい名前とかかっこいい地名が、逆に無意味でダサい感じがするのは、その偶然性に対する感性を欠いているからだという気がしますね。(p.52~53)

    だってそれとは別に自分の価値を生成しないと、社会は自分にお金をくれないし、女の子は自分に愛をくれないし、そのスキルや価値が証明されなくても無償の愛情をくれるのは親だけだから、それは邪魔なものに変わるでしょう、ある時から。自分を守っていた引力圏が今度は邪魔なものになる。動物の場合はもっと本能的にそれが起こるけど、人間の場合、ずっとその引力圏に留まろうと思えば留まれてしまうから、そうすると危険な感じになりますよね。でも、そうはいっても、実際、経済的に自立したり、母親とは別の異性の愛情を勝ち得たあとも、母親のその無償の愛情というのは閉まらない蛇口のような感じで、やっぱりどこかにあるんだよね。この世のどこかに自分に無償の愛を垂れ流している壊れた蛇口みたいなものがあるということ。それは嫌悪の対象でもあるんだけど、唯一無二の無反省な愛情でね。それが母親が死ぬとなくなるんですよ。この世のどこかに泉のように湧いていた無償の愛情が、ついに止まったという。ここから先はすべて、ちゃんとした査定を経なくてはいけないんだという(笑)。だから、これ[ゆめのなかの母は若くてわたくしは炬燵のなかの火星探検:引用者注]はその蛇口が閉まったというときの、ふわふわ感ですよね。地面がなんか急にふわふわするような。(p.107~108)

全32件中 1 - 10件を表示

穂村弘の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
穂村 弘
高野 和明
春日 武彦
穂村 弘
村上 春樹
村上 春樹
朝井 リョウ
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印

世界中が夕焼け―穂村弘の短歌の秘密を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

世界中が夕焼け―穂村弘の短歌の秘密を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

世界中が夕焼け―穂村弘の短歌の秘密を本棚に「積読」で登録しているひと

世界中が夕焼け―穂村弘の短歌の秘密の作品紹介

穂村弘の〈共感と驚異の短歌ワールド〉を新鋭歌人・山田航が解き明かし、穂村弘が応えて語る。ほむほむの言葉の結晶120首を収録。

世界中が夕焼け―穂村弘の短歌の秘密に関連するサイト

世界中が夕焼け―穂村弘の短歌の秘密はこんな本です

ツイートする