世界中が夕焼け―穂村弘の短歌の秘密

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著者 : 穂村弘 山田航
  • 新潮社 (2012年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104574025

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世界中が夕焼け―穂村弘の短歌の秘密の感想・レビュー・書評

  • いつもの空。
    いつもの道。
    いつもの曲がり角を曲がって、
    いつもの信号を渡る。

    まるで、何も無い様な風景。

    そこで目に止まるものがあるとすれば、
    何か異質なもの。

    馴染んだ風景にそぐわぬ物。

    例えば
    金色のいしころ、
    とか
    ピンクのコインとか。

    穂村さんの歌はそんな風にして、私の目に止まる。
    当然、手にする。

    何だろう?
    これは、何だろう?

    もちろん、私の宝箱の中へは入れる。
    珍しい色彩、
    心地よい調べ、
    奇妙な感触。

    その謎の秘宝をプロが分析する。

    さすが。
    なるほど、と感心せざるを得ない。

    しかし、解読が困難を極めた事もしみじみと良くわかる。

    「難解だ。」
    第一声で思わず本音を曝け出すしかない歌もまた少なくはない。

    しかし、なんとか解読作業を無事終える。

    それを、

    穂村さんが読む。

    読んでコメントを述べる。

    三十一文字の小さな小さな秘宝。

    その謎を説く為に要された言葉の粒子もまた、一粒一粒がキラキラと輝きを放ち、
    世界中が、そうなる秘密がわかった様な気がした。

  • 詩は勿論詩人がいて成り立つわけなんだけれど、
    山田さんの解説を読んでると色んな捉え方があって、本意を隠して世に送り出したんだから人のいいように自由に考えてしまっていいんだと思った。
    だから、穂村さん自身が山田さんの解説を読んでその受け止め方いいですね!みたいに言ってるところもあるし。
    著者本人が正解ではないし、解釈に不正解はない。
    なかなか、味わい深いです。

  • すばらしかった!
    短歌をかじり始めた人間にとってはとてもよい読解の指南書だった。
    そしてサイン会まで行ってしまった…!とても良い話が聞けて感激でした!!

  • 穂村弘の短歌を角川短歌賞受賞の山田航が読み解き、なお穂村がそれに応えるという、それとなく豪華な本。主に50首を振り返り咀嚼する。意味不明(?)だった歌にも、妙に納得。言うことなし。

  • 穂村弘の短歌に歌人・山田航が解説、それを受けて穂村がコメントするというしくみ。穂村の短歌はそこそこ読んでいてもそれほど熱心な読者ではなく、ただぼんやり共感したり、じんわりしたり、ニュアンスを楽しむ程度で満足していた。共感が大きいのは、私も穂村同様昭和の時代をがっつり生きており、未だ昭和を引き摺っているからだろう。という分析も評者である山田の受け売りで、その彼は穂村より20歳も年少だというから驚きだ。穂村のネタばらしも面白い。解読本にありがちな興醒めはなく、寧ろ愛着を増す良本。短歌を読む指南書としても◎。

  • 歌の読み方について、意識が刷新される思いでした。
    そして、それは歌の詠み方の手ほどきでもありました。
    実作してみたい、と思いつつ、なかなか、実際には言葉が出てこなかったのですが、そうか、歌はこう詠むのか、と読み方を通して学んだ気がします。
    現代短歌を代表する一冊であり、最良の解説書であると思いました。

  • 「凍る、燃える、凍る、燃える」と占いの花びら毟る宇宙飛行士

    穂村弘の短歌に別の歌人が評論を書く、というだけなら珍しくないのだけど、この本が面白いのは更にその評論に対して穂村弘自身が思うことを書くというスタイルになっていることだ。
    穂村弘の書き方、考えなどが、一度他者に反射している分、わかりやすくなっていて興味深い。
    穂村弘と言えば即座に浮かぶ、「ブーフーウー」も収録。
    評論は穂村自身がその通りと言うものもあれば、まるで的外れだったものもあり。
    作品というのは、世に出た瞬間に作者の意図から解き放たれて自由に解釈されるべきだと思うので、作者の思惑と異なっていても全く構わないと思うのだけど、ただ、読んでいて怖くなったのは、人は自分の読みたいように言葉を読むのだなということ。
    レビューで作品や作者という自分の外にあるものについて書いているつもりで、実際は自分自身を暴いているわけだ…恐ろしい。

  • とても良かった。歌人・山田航が穂村弘の短歌50首を評し、それに穂村がコメントするという体裁でほむほむの短歌を紐解いていく本。短歌には疎く、また読んでも「なんとなく語感や雰囲気が好き」程度で何故その短歌が好きなのかよく分からない者にとっては、解釈として「こういう読み方ができるのか!」という興奮以前に、「短歌ってこういうやり方で読んでいけるんだ!」というのが刺激的だった。またエッセイからでは読み取れなかったほむほむのテーマのいくつかが明確になっていて、エッセイを読む目も変わりそう。

  • 穂村弘さんの短歌を山田航さんが解説し、その後に穂村さん本人による解説という作り。
    短歌にはあまり馴染みがないし、増してそれを解説するなんて世界は初めて触れるので、この本がいったいどういう立ち位置なのかが今ひとつわからないのだが、山田さんの深く精緻で多岐にわたる分析的な読みと、どこか大事なところを隠しているような飄々とした穂村さんの解説との対比が面白い。
    これは作者と第三者という違いなのか個々の持ち味なのかと思いながら読んでいたら、あとがきで穂村さんが、作者が後で自作を解説するということの難しさと山田さんの読みの面白さについて触れていて、なるほど両方なんだなと理解した。
    私は作者自身(穂村さん)の解説もとても興味深く読んだのだが、山田さんの解説があったから余計に面白かったのかもしれない。

    短歌そのものの良し悪しはよくわからないですが、心のままに読むだけでなく読み方を知って面白くなるということもあるんだな。世界が広がった気がします。

  • 以下引用

    林あまりさんに原稿を見せたときに、それを入れなきゃダメだと言われて、そのとき、「悪い歌が歌集に入るより、いい歌を落とすことを恐れなさい」って言われて納得しました。僕もそのあとに、誰か新人にアドバイスを求められると、「誰かに一度でも引用された歌は全部入れるように」っていうふうに言っています。(p.51~52)

    タイトルの歌って絶対タイトルの歌だって思って読まれるに決まってるから、それが気に入らないっていうのは、ちょっと嫌なことなんですよね。ただ、どの歌が注目されて人に知られていくかは、作者も選ぶことができないので、選ばれている、みんなよく知っている歌が必ずしも好きな歌ってわけじゃないですよね。でも、誰かに引用されるとか、とり上げられて褒められるって、すごく「選べない」ことなんですよね。だから、そこで他者の判断やその偶然性にチップを張るというのは、けっこう重要なことで、そういう偶然性を排除しちゃうと、新しい地名が全部「ナントカが丘」になっちゃうみたいな現象が起きたり、ペンネームに全部「月」っていう言葉が入ってくるみたいな現象が起きたり、人間の意識の幅ってあんまりないんだよね。だから、子供の名付けの話で、出産後に、友だちが初めてお見舞いに来てくれて、その時、友だちがエリカの花を持ってきてくれて、その赤ちゃんが初めて見た花がエリカだったからえりかという名前にしたみたいなエピソードを聞くと、非常に腑に落ちるというか、そういう偶然性ですよね。それは、まさに祝福じゃないですか。そうすると、その子はそのあとエリカの花を見るたびに、自分が祝福されてこの世に生まれてきたっていうことを追認するということになる。人間はやっぱりそういう偶然性に守られてないとまずいと思うんです。頭の中で考えたすごくかっこいい名前とかかっこいい地名が、逆に無意味でダサい感じがするのは、その偶然性に対する感性を欠いているからだという気がしますね。(p.52~53)

    だってそれとは別に自分の価値を生成しないと、社会は自分にお金をくれないし、女の子は自分に愛をくれないし、そのスキルや価値が証明されなくても無償の愛情をくれるのは親だけだから、それは邪魔なものに変わるでしょう、ある時から。自分を守っていた引力圏が今度は邪魔なものになる。動物の場合はもっと本能的にそれが起こるけど、人間の場合、ずっとその引力圏に留まろうと思えば留まれてしまうから、そうすると危険な感じになりますよね。でも、そうはいっても、実際、経済的に自立したり、母親とは別の異性の愛情を勝ち得たあとも、母親のその無償の愛情というのは閉まらない蛇口のような感じで、やっぱりどこかにあるんだよね。この世のどこかに自分に無償の愛を垂れ流している壊れた蛇口みたいなものがあるということ。それは嫌悪の対象でもあるんだけど、唯一無二の無反省な愛情でね。それが母親が死ぬとなくなるんですよ。この世のどこかに泉のように湧いていた無償の愛情が、ついに止まったという。ここから先はすべて、ちゃんとした査定を経なくてはいけないんだという(笑)。だから、これ[ゆめのなかの母は若くてわたくしは炬燵のなかの火星探検:引用者注]はその蛇口が閉まったというときの、ふわふわ感ですよね。地面がなんか急にふわふわするような。(p.107~108)

  • そうか、短歌ってこういう味わい方だったんだ、ということをちょっと学ばせてもらった感じがある。山田さんがほむほむの短歌をどう捉えたかに対して、ほむほむがさらに種明かし的に述べる、というやりとりの連続。面白かった。(13/4/10)

  • いきなり自分で自分の歌を解説するのでなく、他者のフィルターで詠み説かれた歌を再度、解説する形が歌会のようでした。この中で林あまりさんが穂村さんに言っていた。誰かの口に登った歌は捨ててはいけない。が印象的でした。ふむふむ。

  • ―――穂村弘が書いてきたエッセイはすべて、自らの短歌に対する膨大な注釈である―――

    短歌→山田さんの評→穂村さんの解説、という順番で構成されている本書は、短歌っておもしろいんだよーと全力で叫んでるみたいに見えた。

    短歌の面白さに気付けず、穂村さんのエッセイばっかり読んできた人間としては、「膨大な注釈」という山田さんの見解がとてもとてもしっくりきた。
    短歌はえてして入りづらい。
    短い言葉、多くを語らぬものほど、いかようにも選択肢があって答えがなくて読者次第だからだ。
    それを「わからない」と遠ざけることも、「わかる」と暴走することもできるのだけど、私はどっちもしてこなかった。
    だって難しいんだもん。
    でも、この本を読んで、そんな難しくないんだよーおもしろいよーということが少しだけわかったので、読んでよかったな。

  • 請求記号:911.16/Hom
    資料ID:50070352
    配架場所:図書館1階西 学生選書コーナー

  • 山田航の穂村弘短歌評に、穂村弘がコメントを付した本、とのこと。ここのところ穂村弘をはじめ、現代短歌を読むようになったけど、どれだけ意味を分かって読んでいるかと言えば怪しいわけで。この山田航の評を読んでも正直よく分からない。まぁでも、短歌は面白いとは思う。自分でも作りたいと思うし。この山田さん、1983年生まれだそうで、ほむほむより21歳も若いのだ。すごいなぁ。

  • ハロー 夜。ハロー 静かな霜柱。ハロー カップヌードルの海老たち。
    この歌が秀逸

  • サイン会いってきましたー!
    なんだかこの二人の空気感って似ているようで相入れないような印象なので、一緒の本になっているのが不思議です。

  • 穂村さんの短歌の解説に穂村さんがコメントするというかわった本。穂村さんの書くもの好きだけど短歌集までは読んだことがなかったので、まず短歌を読んでうわぁと思い、山田さんの解説を読んでへぇーと思い、穂村さんのコメントでさらにほぉー、と3度も楽しめる。「手紙魔まみ」が気になった。今度読んでみよう。

  • 穂村弘の短歌に歌人の山田航が評をつけ、さらにそれを穂村自身がコメントをする、という自註と他者の評が1首にそれぞれついている、という変わった形式の一冊だ。
    著名な短歌も多く、あ、これ知っている、という歌がいくつかあった。
    それに対して、「妄想?」というくらい裏読みをしたり論じたりする評に、短歌について解説するっていうのはなんとなく興ざめなかんじかも、と思っていた既成観念が覆った。ふぅん、そいういう捉え方するんだ、と面白い。またそれに対して穂村が否定したり肯定したりしているのが面白い。
    誤読もあり、というか、意図通りに伝わらなくてもあり、というのが短歌であり外に向けて発表された作品である、ということなのかもしれない。
    掲載されているのは知らない短歌のほうが圧倒的に多いのだけれど、こんな歌を詠んでいたんだなぁ、とどちらかというと評者やエッセイストの穂村弘ばかりを見ていた自分には目新しさがあって興味深かった。

  • 面白い。短歌ってこんな緻密なもんなのか。
    あの少ない文字数にいろんなものが凝縮されてるんだってことをわかりやすく解説している。
    でも、わからないものはわからないな。

    気に入った短歌は“冷蔵庫が息づく夜にお互いの本のページがめくられる音”

  • 歌論集というものがどうも好きになれずに、自分の勝手に歌集を読んできた。歌の解釈なんてくそくらえだ。考えるんじゃない感じろ!
    しかし山田航の歌論は、私の歌論の印象をぶっ壊して軽々とその面白さを見せつけてくれた。穂村の自分の歌に対する解説と、山田の論への反論も面白い。
    交換日記のようである。

    また山田と穂村の世代の差が、お互いの意見の違いとなっているのがよくわかる。

  • 文句なく傑作。
    日本語とはこんなに奥行きが合って味わい深いものかと感心する。
    想像力と洞察力、表現力すべてが卓越している。

    なんでもモリモリにしがちだけれど、
    大切なものこそ本当にシンプルで、それだけで充分伝わるのだと思った。

    とても滋味深い。

  • 穂村弘の短歌50首を山田航が解読し、さらに穂村弘が解説をする、という本。
    穂村さんの創作における「秘密」が垣間見える。

  • 穂村さんの歌集を手に取ったことがないことに今更気付く。

  • 31文字しかないものをこんな風に鑑賞するものかと。音まで気にして読んでいなかったですし、サバンナの象のうんこ…もなんかオカシイから好きと感じても、それが、大人になることの拒絶からくる幼児語、子どもの世界とまで読み深めることがなかったです。一首一首の短歌評とそのあとに続く本人のコメントで明かされる作品の意図のずれも含めて、いちいち「へえー」と思いながら一気読みしました。

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世界中が夕焼け―穂村弘の短歌の秘密の作品紹介

穂村弘の〈共感と驚異の短歌ワールド〉を新鋭歌人・山田航が解き明かし、穂村弘が応えて語る。ほむほむの言葉の結晶120首を収録。

世界中が夕焼け―穂村弘の短歌の秘密に関連するサイト

世界中が夕焼け―穂村弘の短歌の秘密はこんな本です

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