ビッチマグネット

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104580057

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読む作家さん。癖強かったな~
    直接脳に語りかけられてるみたいな口語体で変な気持ちに。そのおかげかそれぞれの登場人物のイメージがつきやすかった。
    個人的には共感できないし、決して読みやすくはなかったけどなんかページをめくる手が止まらない、不思議な読書体験でした、、、

  • またしても暴力的でありながら圧倒的な熱量の家族愛。そこに散りばめられた分析された普遍的な人間の性質。舞城王太郎さんって人間にうんざりしながら人間のこと大好きなんだろうなあって思う。とても好きだ。

  • このごちゃごちゃ考える感じ、思春期に読んでたら影響受けそうだなぁ。

  • 浮気したまま、いなくなってしまった父親。
    すり減っていく母親。
    どうやら、ビッチを引き寄せてしまうマグネットを持っているらしい弟。
    その姉である主人公。

    姉弟の言動にうわうわうわうわ〜って引いてしまうけれど、さらにドン引きさせるあかりちゃん。
    いやぁ、あかりちゃん、怖かった。
    そんなあかりちゃんから弟を守る所はかっこよくて小気味良かったし、時々ハッとするようないい事言っちゃったりするのだ。この姉は。


    鬱の度合いをはかるBDIテストで①〜④を選ぶテストなのに、全てに⑤を自分で作っちゃう所とか、何かすごくよくわかる。



    正論ってのは他人を正すためにあるんじゃないんだよ。正論ってのはあくまでも自分っていう潜水艦の周囲の状況を確かめるために発信するソナーなんだよ。自分が正しいと感じる、信じる意見をポーンと打って、返ってくる反響で地形を調べるのだ。ソナーで道が拓けるわけじゃない。

  • 前回読んだ本の作者、大島真寿美さんが面白いと言ってたので読んでみた。
    不倫した父親や女運のない弟を家族に持つ女子高生が、人のものの考え方について日々もんもん考えて最終的には臨床心理士になる明るく勢いのあるお話。太宰治の『女生徒』の現代版という感じもあるかも。舞城さんの作品は初めて読んだけどここまで人の心の中を丁寧に考察&描写するのは根気がいったろうな〜と感服した。

  • ビッチを引き寄せる超能力を持つ弟とその姉、母、父の話。姉の突拍子もない行動になんだかはっとなってんん?っとなってああ、なるほど、という感じだった。それぞれがきちんと自分の道に行きつけてよかった。

  • 読むたびに感情に対する解像度を上げてくれる舞城さん。本作も凄かったです。
    "ビッチマグネット"って、今なら"メンヘラホイホイ"になるのかなあと思いました。でも何となく、"ビッチマグネット"という響きのほうが可愛さと優しさを感じます。
    読みながら、みんな平等に病んでいるけれど、いかに自己愛にフォーカスしすぎず生きていくかが難しいのだと思いました。
    ビッチでいいじゃん、それが本質ならば仕方ないし、自分にできることも関わることができる他人も限られているし、とも思います。
    主人公は饒舌に語りながらも、彼女の主張はシンプルで好きでした。
    最後の『ファイトクラブ』パロディで、あれ?読み方を間違えていたかも…?と不安になったので、いつか読み返したいです。

  • 舞城王太郎の作品の中では大人しい方ではあるものの,根底から滲み出るバイオレンスと讃歌はいつも通りのようだ。されど生を謳歌,というのは私の好みだ。

    複雑な家族構成というのが本作のポイントで,ある種の処世術を教示しているとも取れる。「精神の成長と自立」とは,要は他者を他者と見做すという,一見自明の論理に気づくことではないだろうか。

    少し前の純文学に見られるような「愛と暴力」あとは取ってつけたような不条理は,ありきたりではある。本作はそれらのテーマに正面から当たりながらも,キャラクター造形はアップデートされており,現代の問題として処理できるものとなっている。なによりも「ビッチ」(bitch)という表現が良い。

    本作に不足しているのは,単純に言えば構成力だと思った。いわば関連性に薄い組曲と言った感じで,苦闘のなかの雄弁さと比べるともったいない。どうも長々と語らせようとすると失速する傾向にある。また,肝心なところで説明口調や自問にハマるのも難点か。

    全体として,普遍的な正しさを追求しようとする姿勢に収まるものと納得させた。偽善や虚飾に塗れた現代において,これは重要であろう。

  • 舞城さんの長編を読んだのは久々だったけど、なんだかすごくエネルギーを使った感じがする。笑
    今回はそこまでぶっ飛んだ内容ではないけど、ずっと香緒里の脳内を見ているようだった。自分でも心と身体がアンバランスで突拍子もない言動や行動をしてしまうことってあるよなー。それを突き詰めていくと、香緒里のような思考になるのかもとか思ったりもした。
    いや、しかし香緒里の弟(友徳)への愛情がすさまじいな。最初は引き気味だったけど、あかりちゃんから友徳を守るあたりは本当にかっこいいよ。そんでもって、あかりちゃん怖っ!!実際にこういう女っていそうだなと思えるからこそ余計に怖い。
    最後のお母さんが結婚を先延ばしにした理由もびっくりっていうか、本当にキモッ!!って感じで思わず笑ってしまった。
    舞城さんが家族愛を描くとこんな風になるのか、と妙に納得。

  • 姉弟それぞれの、特に姉の、自分の考えに対して突き詰めるように執拗でアンバランスなところに、何度か、以前の自分もこんな風だったかもなあと思った。ずうっと凄い勢いで色んなことを考えているような地の文が、疲れるような入り込むような共感するような、へんな感じ。自分のことを問答無用で思い出すよう仕向けられているようで、何となくモヤモヤしたりもしたけれど、この本自体は嫌いじゃない。独特のノリに飲まれてさくさく読めた。

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著者プロフィール

1973年福井県生まれ。2001年『煙か土か食い物』でメフィスト賞を受賞しデビュー。2003年『阿修羅ガール』で第16回三島由紀夫賞を受賞。『熊の場所』『九十九十九』『好き好き大好き超愛してる。』『ディスコ探偵水曜日』『短篇五芒星』『キミトピア』『淵の王』など著書多数。2012年『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦著)の25周年に際して『JORGE JOESTAR』を刊行。近年は小説に留まらず、『バイオーグ・トリニティ』(漫画・大暮維人)の原作、トム・ジョーンズ『コールド・スナップ』の翻訳、短編映画『BREAK』や短編アニメ『龍の歯医者』『ハンマーヘッド』の原案、脚本、監督などを手掛けている。

「2015年 『深夜百太郎 入口』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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