水を抱く

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 475
感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104595068

作品紹介・あらすじ

ぼくはもう、フツウのSEXじゃ満足できない。白昼の路上、夜の渋谷、目黒のホテル、バーのテーブルの下……彼女に場所など関係なかった。剥き出しの欲望を振りかざし、凶暴なまでの快楽に溺れる年上の女・ナギ。その女をしばる過去が何であれ、構わない。真っ暗な性の闇に堕ちてもなお、ぼくはナギとつながりたい――。著者史上、最高にエロくて切ない、純愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • わたしが石田衣良さん贔屓しすぎなのか、
    世間が石田衣良さんを、というかこの手の官能小説っぽい小説に厳しいのか。

    私は好きですよ。笑
    というか、性描写含む物語をこんなに美しくかけるのまずすごい。下品じゃないのですよね。


    会う=寝ると解釈しきらない主人公俊也をナギが「上品だよね」と言う、かなり最初の方のやり取りでもう石田衣良さんらしさ、上品さを感じた。
    こんな誰とでも寝る、「チョー」とか「うける」とか「ヤバイ」とかいってそうなナギだけれど、決してそんなことなくて、彼女の言葉遣いは丁寧なものに設定されていて。

    そこがこの小説に嫌味を感じない点だと思います。だから好きです!



    印象的な言葉

    「俊也はいまだにナギの本名がわからなかった。ーそれでも困らないのは、スマートフォンの電話番号とメールアドレスが手元にあるからだろう。」

    これって現代のネット社会の良さと悪さどちらも兼ね備えてるなあと。
    会えなくても連絡先を知ってるから繋がってるという安心感。
    高校の卒業式で「まあLINE知ってるから会おうと思えば会えるし。一生の別れではないし〜」と感じてあまり悲しくならなかったのを思い出しました。
    ネット社会の今、減少している「一生の別れ」。
    現代は一昔前より別れを恐れてないよなあと。考えさせられました。


    「非正規雇用の荒波に沈んだ残りの三割は、いつの間にか消息をきかなくなった」

    これも日頃感じていることだったので印象に残りました。
    私の周りでもおこってることだけれど世間的にもやっぱりそうなのですね。


    このように、社会問題も物語にちりばめられているところが卓越されてるなあと感じます。






  • 俊哉は、情緒不安定で自暴自棄なナギと出会い、新しい性の扉を開く。

  • 面白くない。
    『ラブソファに一人』はすごくいいと思ったのに。

    ここまで官能によりすぎてる描写は好きじゃない。
    東日本大震災をバックテーマにしてるけど、それもあんまり。無理して社会現象に結び付けなくていいと思う。

    その話が出てきたあたりから完全に興が削がれてしまった。
    ここまで「性」をメインに書かれると私にはつらい。

    いくつかうなずくフレーズはあったけど、期待して読んだ分肩透かしを食らった気分でした。

  • 心を病んだsex addict の女性の話なんだけど.....
    うたい文句のような濃やかな愛情も感じられず、かといってエロ小説に徹するわけでもなし。
    設定の安易さにげんなりするのみ。
    やっぱりこの人の作品は、性に合わないわ。

  • 主人公は医療機器会社の有能な営業マン・俊也。ネットで知り合った年上の女性・ナギとの危ういラブゲームに翻弄される日々を縦糸、島森医師への大口営業を横糸に綴られる、なんていうかねっとりしたお話でした!

    .
    ナギの奔放な言動の背後に見え隠れする彼女の痛みとはなんなのか?
    これほどの日々を送っているのだから、半端なことでは許しませんよ!と思って読んでいたのですが、
    う~~ん、これは・・・!!(大汗)

    そして、正直、ナギとのあれこれに興味が持てず、途中から出てきた島崎医師への営業活動(#^.^#)に関心をシフト。この難しそうな人に俊也はどうアプローチするのか、どうかライバル会社との競争に勝てますように、とかなり肩入れして読んでいたのだけど、こちらもあれれ??の展開。

    石田さん、IWGPが大好きだったし、4TEEN、6TEENも読ませてくれたから、一応出ると読む、の作家さんではあるのだけど。

    そういえば、ここのところの
    「カンタ」では発達障害を扱って、これはあんまりでしょう~~!のお話展開だったし、
    「チッチと子」「コンカツ」も悪くないけど…(面白くもない。すみません!)だった。
    あ、でも「明日のマーチ」は非正規就業の若者たちが意外なところから明るい方向へ、という話で好きだったんだよね。

    と、こんな風に列記してみると、
    「今」の空気を感じさせるモチーフをひとつのお話に仕立ててる、という仕事が多くなってるのでは?

    もちろん、「今」感は大事だと思うのだけど、生意気ながら少々安易なアレンジが多い気がします。
    あれとこれを都合よくくっつけて、という風に読めてしまうのは読者として楽しくないです。



    ネタバレです。






    今回もあの3・11の地震が大きな背景として使われていたし。
    それを全ての理由にしてしまうのは、ちょっとお手軽すぎて無理があるし、なんかあの災害に対して失礼な気がします、なんて凄いこと言ってますが、私。

  • 完全に壊れてしまっているナギという女に、心奪われていく俊也。ナギの壊れ方は尋常じゃないし、彼女に惹かれる俊也も理解できない。ナギが壊れた原因に、東日本大震災があるなんて…。震災被害者の方には、色々な背景があるんだろうけど、東北の方がこの結末を読んだ時、どんな風に感じるんだろう。関西に住む私でも、あまりいい気持ちはしなかったなぁ。

  • うーん。微妙。読みやすかったんだけど。
    後半展開が急すぎて雑にまとめたような印象を受ける。
    「書きたいとこ書いたからもういいや」みたいな。いいわけないのに。
    ナギに身も心も依存して、会社での立場が危うくなっても別れないと断言する割には島波にあっさり抱かせるの、違和感。心理描写が薄っぺらすぎる。
    あと大震災との絡め方もめちゃめちゃ雑。ナギの壊れ方との結び付きもとってつけたようで、冷めちゃった。
    俊也が沙紀になるくだりは官能的で良かった。
    あとこれは、どんでん返し系とかミステリ系とかばっかり好んで読んできた自分が悪いんだけど、誠也も島波も怪しーく見えちゃって困った。え、ナギと関係ないの2人って拍子抜け。
    いきなり知らない女が現れて、急にナギの秘密を洗いざらい話して俊也が受け入れて終わりって物語として物足りなさすぎる。

  • 純愛小説ととるか、官能小説ととるか、悩ましい本。ナギの性依存性になった経緯やストーカーが現れる展開が、雑な感じ。ラストも物足りない。

  • ナギの過去には同情するが、セックス依存にまでなる過程がどうもしっくりこなかった。
    純愛というより、官能小説に感じた。
    医者にナギを譲る場面も、あれだけ変態アピールをしていたのに、そこだけ割とさらり。可哀想と思えなかった。
    ナギの話し方、そんな喋り方しないでしょ、と違和感。
    石田さんの他の作品は人気なので、そちらを読んでみたいと思います。

  • 東日本大震災で、強烈な心の傷を負い、性行為依存症のなぎ。
    医療器具メーカーに務める俊介。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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