カズサビーチ

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 80
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104606085

作品紹介・あらすじ

黒船より前に浦賀に来航した米国船が存在した! 日米初遭遇の歴史的瞬間がいま鮮やかに甦る。「本船はこれより、エドへ向かう!」1845年、捕鯨船マンハッタン号は洋上で日本人漂流者22人を救助。彼らを送り届けるため、被弾覚悟で鎖国中の日本に針路を取った。言葉の壁を越えて育まれる船乗り同士の友情と敬意。そして船はついに浦賀入港を許されて――ペリーも注目した開国への第一歩を日米双方から描く興奮の歴史長篇!

感想・レビュー・書評

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  • 初出は2015〜16年の「小説新潮」

    アメリカ東海岸から日本海を目指した捕鯨船マンハッタン号が、鳥島で阿波の輸送船、近海で銚子の輸送船の乗員各11人ずつを救助し、日本へ送り届けようとする。
    外国船に対する打払令を出している状況下で、幕閣の対立を制した老中阿部正弘は、マンハッタン号の浦賀入港を認め、日本人の救助を謝して食料、水、燃料の無償供与を行った。

    この時の船長クーパーが記録した情報が、8年後ペリー提督に利用されることになった、としている。

    作者らしい、海の男たちが相手を本物だと認めて敬意を払いあう様に、わかっていてもほろりとさせられてしまう。

  • ペリー来航の前に浦賀に入港していた米国船。洋上で日本人漂流者を救助した彼らは、被弾覚悟で鎖国中の日本に針路を取った。言葉を超えた友情と敬意に江戸幕府老中は…。

  • 夜明け前の畑で働く農夫を、船長は望遠鏡で見ていた。日焼けした顔が、勤勉な野良仕事の勲章に思えた。世界の街を見てきたクーパーの目には、ジャパニーズの農夫さ特級の働き者に見えた
    ジャパニーズは礼節を重んじる、聡明で勤勉な国民であった

  • カズサは上総を言うのだろうと目星をつけて読みはじめた。展開はわかりやすい。鯨が豊富だと聞いた米捕鯨船が日本海を目指し、途中救った日本人の漂流民11人を途中日本本土に寄って送り届ける。欲抜きに人道的に接した。言葉が通じない中での船乗り間の温かな交流がメイン。そして、鎖国中に拘らず、応接した日本人武士の矜持、庶民の生活ぶりから、植民地化するより協力を求める選択に至った理由がうかがえた。2021.5.7

  • 初めて山本一力作品に触れた。平尾信子氏の著作からヒントを得執筆したとのこと。どこまでが実話でどこまでが創作かは今の私の知識ではわからない。ただ、クーパー船長の男気や阿部老中の指示、アメリカ人乗組員と救助された日本人との交流、中々面白かった。

  • 「ジョンマン」シリーズと同じトーンで書かれた、冒険話だがおもしろい。日本人の優秀さが描かれ読者も納得する。

  • 2017.12.18
    「カズサビーチ」が日本のビーチだとは思わなかった。ジョン・マンの続きかなと思ったけど違った。武士、日本国民の勤勉さ、振る舞いが素晴らしいと思われていたとは。それと強さも。何となく鎖国から開国への流れ、日本が植民地化されなかったひとつの理由がわかるような 内容だった。面白い!

  • 読みにくい

  • 小説新潮2015年1月号〜2016年6月号掲載を2016年12月に新潮社から刊行。ペリーの黒船より前に、上総浜にやってきた黒船のお話。人命救助で立ち寄っただけという状況なので、自然な対応なのかなと思う。悪い話ではなかったが、格別な話でもなかった。

  • お勧めの本ですので、読んでみたいです。

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著者プロフィール

1948年高知市生まれ。都立世田谷工業高校卒。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空関連の商社勤務等を経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞。2002年『あかね空』で直木賞を受賞。江戸の下町人情を得意とし、時代小説界を牽引する人気作家の一人。著書多数。

「2023年 『草笛の音次郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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